▲重賞連勝中のエイシンヒカリ、満を持してGI挑戦
逃走劇で重賞2連勝を飾ったエイシンヒカリが、天皇賞・秋の舞台に登場する。外ラチまで大きく膨らみながらも勝ったアイルランドTから1年。管理する坂口正則調教師にお話を伺った。(取材・文・写真:大恵陽子)
衝撃のアイルランドT
「ヒヤヒヤでしたよ」
坂口正則調教師は苦笑し、昨秋のアイルランドTの衝撃を語った。
「大きいところを狙うなら、いつかは東京コースも走らないといけない。初めての左回りで、直線も戸惑ったんじゃないかな」
1000m通過58秒2のハイペースで飛ばしたエイシンヒカリは直線に入っても脚色が衰えず、そのまま逃げ切るかに見えた。
しかし、ラスト300m付近から徐々に右へと膨らみ、みるみるうちに外ラチぎりぎりの所までいってしまった。最内から大外まで大きくコースロスをしながら再び伸びて勝利するという常識破りのレースをやってのけ、注目の的となった。
▲昨年のアイルランドT、度肝を抜かれた大外逸走での逃げ切り(撮影:下野雄規)
今ではすっかり逃げ馬のイメージがついたエイシンヒカリだが、意外にもデビュー戦(京都・芝外1800m)は好位から差す競馬だった。
インの4番手から直線では逃げ馬の内をすくって、わずかなムチに反応しグンと加速し、圧勝。4月26日、皐月賞の翌週のことだった。
「元々体質に弱い所があったのと、5月の遅生まれなのでデビューも遅くなりました。でも、調教から動いていたのでやれる手応えはありました」