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ハンデ重賞の斤量増減別成績について考える

  • 2015年11月03日(火) 12時00分


ハンデ重賞の基本として押さえておきたいデータ

 今週はGIがひと休み。関東はハンデGIIのアルゼンチン共和国杯がメインとなる。

 ハンデ重賞を予想する際に私がよく出すデータが、前走からの斤量増減別成績だ。多くの場合は「前走から斤量増の馬が良い」という結論になり、前走から斤量減の馬はグループとしての成績が劣ることが多い。

 ただ、ハンデ重賞において前走から斤量が減るのにはいくつかのパターンがある。ひとつは、オープンに昇級してきてハンデ重賞に出る場合。ふたつめは、前走もハンデ重賞で、持ちハンデが切り下げられた場合。みっつめは、前走が別定戦などで、そこでの斤量より持ちハンデが軽い場合。

 ひとつめは昇級が絡むので横に置くとしよう。ふたつめは、かなり苦戦が続いているケースがほとんどである。中央競馬のハンデは、上がりやすいが下がるには時間がかかる。近況が良くないグループなので、成績が悪いのは当然だ。

 ではみっつめのグループはどうか。これはレースの斤量条件のアヤによるものだから、場合によっては走ってもよさそうなものだ。

 そこで今回はこんな条件に合う馬を調べてみた。

・出走したレースが古馬の芝ハンデ重賞(距離不問)
・その前走はGIIかGIIIで、ハンデではない芝重賞
・出走レースが2005年以降

 対象馬はのべ907頭。その斤量増減別成績は、
斤量増減別成績

前走はGIIかGIII、古馬の芝ハンデ重賞(距離不問)に出走した斤量増減別成績


 やはり斤量減組は分が悪い。ハンデ重賞では背負うこと承知で向かってくる馬や、前走勝ってハンデが上がる馬のほうが良く、「ハンデ戦ならなんとか…」という馬はあまり良くないということだろう。実際、斤量減グループを前走着順別に見ると、前走着順の悪いグループが勝率、複勝率だけでなく回収率でも足を引っ張っている。

 アルゼンチン共和国杯はハンデといってのGIIである一方、前走条件戦組も挑戦してくるような特殊なレース。すべてこのまま適用できるわけではないかもしれないが、しかしハンデ重賞の基本として押さえておきたい。

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1970年東京生まれ。競馬評論家、ギャンブル評論家。中学生時代にミスターシービーをきっかけとして競馬に興味を持ち、1990年・大学在学中に「競馬ダントツ読本」(宝島社)でライターとしてデビュー。以来、競馬やギャンブルに関する著述を各種媒体で行うほか、テレビ・ラジオ・イベントの構成・出演も手掛ける。競馬予想に期待値という概念を持ち込み回収率こそが大切という考え方を早くより提唱したほか、ペーバーオーナーゲーム(POG)の専門書をはじめて執筆・プロデュースし、ブームの先駆けとなった。

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