毎週レースが行われて、毎週勝ち負けに一喜一憂し、翌週は気持ちを切り替えて次へ…。競馬の世界にいると、一週間があっという間に過ぎます。そして一年、さらに一年とあっという間に時間が過ぎてしまいます。
2014年11月9日の東京競馬、奥多摩ステークス。シゲルスダチがレース中の事故で亡くなりました。はやいものであれからもう1年が経とうとしています。小さなからだでしたが、すごく存在感のあるイケメンちゃんでしたから。いまでも、馬房をのぞくとヒュッと真っ白な顔を突き出してきそうな気がしてなりません。感傷に浸る気持ちはないのですが、すごく前向きに天馬になったスダチのことを時折思い出します。
この1年のあいだに後藤騎手が亡くなるというショッキングな事実もありました。なんだか、大きな出来事が起きすぎて、整理できていないのかもしれません。
でも、体は無くなっても、魂は生きている。そう思いたいんですよね。実際、いまでも写真などでスダチの愛らしい姿をみるたびに、楽しかったことがたくさん思い出され、癒されますね。
今週は美浦トレセンに行く用事があったので、馬頭観音に手を合わせてきました。美浦トレセンの所属馬がなくなると、その多くはこの馬頭観音でお弔いの儀式が行われます。スダチも同様です。
いまでも伊藤正徳厩舎の計らいで建てられた卒塔婆はここにあります。あの日以来、これまで以上にときどき時間があるときはここに出向いて手を合わせています。そのたびに、スダチの卒塔婆があるのを確認しつつ、こっそり前のほうに置いているので今でも比較的見つけやすい場所にありますよ。おそらく、それはこれからも続けていくと思います。卒塔婆も数が増えると古いものから炊かれると聞いていますが、そんな事情もあるのでおそらくしばらくはここにあるのではないでしょうか。
神戸の妙光院には多くのスダチファンの皆さんがスダチに会いにきて下さっていると伺っています。ありがたいですね。1年前、妙光院でお弔いをしたとき、後藤くんは「なにかできることはある?」といって立派な御花を贈ってくださいました。このことも、いつか懐かしい思い出に変わるのでしょうか…。スダチとごっちゃん、天国で一緒に競馬してるといいな。
さて。今週はアパパネの妹にあたるパローマがデビューしますね。パローマとは、メキシコでよく飲まれるテキーラベースのカクテルの名前だそうです。気のいいところをみせて、追い切りでもしっかり動いています。前川助手からは「芝でよさそうなかんじの馬ですね。フットワークが軽くて実戦向きです」と期待できるコメントをいただきましたよ。馬体重は約420キロ。余談ですが、角居師はパローマをみて「アパパネだわ」とつぶやいた、という話もお伝えしておきますね。

右がパローマ 1頭おいて一番左がヴァンキッシュラン
ちなみにパローマは11月7日の6レースに出走しますが、この写真で一緒に写っているヴァンキッシュランは同日の4レースに出走予定です。ヴァンキッシュについては「まだトモは緩いですが、見込みは十分」(前川助手)とのことでした。頑張って欲しいですね!