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帝王君臨

  • 2004年06月28日(月) 20時01分
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 6月30日、大井「帝王賞」は、フルゲートを大きく割り込む11頭立てとなってしまった。昭和61年、JRA交流に移行して以来の最少頭数。南関東側のエントリーが結局わずか6頭だったこと(他地区0頭)。JRA出走枠5頭、そこからの補填ができない規定になっていること。なんとも理不尽。馬の強い弱い、JRA=地方のレベル差、それはまた別の問題として、ごく素朴に、ファンの喜ぶ番組を提供する姿勢が薄い。例えば今回、JRA側の補欠馬は、ユートピア、サイレントディール、ビワシンセイキ、さらにストロングブラッド、リージェントブラフという豪華さだった。現実に、この5頭を加えてちょうどフルゲート16頭。どう想像しても大井にもっとファンが呼べる。むろん馬券の売り上げも大きく違ってくるはずだ。

 ダート統一Gの狙いと興趣は、JRA=地方競馬の対決図式が究極で、それはもう誰もがわかっている。だから帝王賞の場合、JRA出走枠を5頭と決め、ホスト地方側にアドバンテージがあるのはさして不思議なことでもない。しかし今回現実に、地方サイドはハナから白旗が上がる情勢だった。川崎記念の覇者エスプリシーズに態勢が整わず、ダイオライト記念・ミツアキタービンは骨折で戦線離脱、さらに直前マルカセンリョウも体調不良で回避した。ケースバイケース、今後も含めやはり柔軟な対応が必要だろう。長く言われるギャンブル不況はさておき、常に地方競馬が自らの首を絞めている事実がある。

 当世競馬ファン気質。しばしば友人知人と話して思うが、とりわけ若年ファンはJRA=地方、さしたるこだわりを持っていない。地方びいき、妙な肩ひじを張ってきた記者などには少し意外なくらい、あっけらかんと今の統一Gを楽しんでいる。「ホクトベガはどこの馬場にも強いオールラウンドでしたよね。でもアグネスデジタルは大井はダメ。カネツフルーヴはよく走ったけど、アドマイヤドンには敵わないし。中山、東京と少し違うところが面白い。推理のしがいもあるじゃないですか…」。なるほど。大井帝王賞。あえて定義すれば、真のダート最強馬を証明する最後の踏み絵か。アンドゥオール、タイムパラドックス、新しい顔が出てきた今年はなおさらそうなってほしい思いがある。

 帝王賞(サラ3歳以上 定量 統一G1 2000m)

◎アドマイヤドン   (57・安藤勝)
○サンデーバニヤン  (57・鷹見)
▲アンドゥオール   (57・松永幹)
△タイムパラドックス (57・横山典)
△スターキングマン  (57・武豊)
△ナイキアディライト (57・石崎隆)
△ビッグウルフ    (57・蛯名)
 コアレスハンター  (57・御神本)

 アドマイヤドンはまさしく王者と納得する。統一G1すでに4勝。それも距離2000m、盛岡、大井、JBCクラシック2連覇に、絶対能力と凄みを感じた。前走ドバイ大敗は残念だが、そのチャレンジ自体、かつていわれたひ弱さ、頼りなさを、雄弁にはね返したといえるだろう。行き脚がついたところで一気のまくり。ごく普通の仕上がりで負ける要素はない。

 サンデーバニヤン○は、ひいきと期待値、さらにホームの利を加えたものだが、デビュー2歳時から相当のインパクトを感じた大器。アンドゥオール、タイムパラドックス、初コースの面々が少し戸惑うと想定すれば好勝負のイメージもわいてくる。前走大井記念は最後まで余裕十分。何より体全体をしなやかに使ったフォームに惚れ直した。その新顔2頭の比較は、前々走マーチS、プリサイスマシーンを一瞬のうちに捕えたアンドゥオールを上にみた。

 スターキングマンは統一Gの副将格だが、今季2戦を見る限り昨秋ほどのデキにあるかどうか。むしろ逃げて完全燃焼ナイキアディライト。前走久々の勝利がG2・かしわ記念というあたり、やはり天才的な何かがある。直前ベルモントストーム(JDダービー出走)相手に5F59.8秒、圧巻の追い切りを披露した。少なくとも同世代ビッグウルフに、昨夏JDダービーの借りを返したい。コアレスハンターは中間予定したかしわ記念が使えず、スターキングマン同様勢いで見劣りする。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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