netkeibaの人気コラムニストたちが、競馬ビギナーさんに「ぜひ読んでもらいたい!」という競馬書籍を紹介するこの企画。8人目の登場はコラム「血統ビーム的傾向と対策」でもお馴染みの亀谷敬正さんです。
競馬入門書の敷居を一気に下げたダビスタ現象!
僕は『ダビスタ』で競馬を始めたと思われがちですよね。先日の某スポーツ雑誌でもそういうキャラを頼まれました(笑)。
でも、後楽園の近くに住んでいたこともあって、ダビスタが出る前から競馬が好きだったんです。現役の原辰徳選手を見に東京ドームに行った帰りに、ウインズの外にあるモニターで武豊騎手を見てファンになりました。意外と言われますが(笑)ミーハーなんです。
当時は馬券の本もよく読んでいました。アンドリュー・ベイヤーの『勝ち馬を探せ!』も読み込みましたね。『西田式スピード指数』とか、馬柱のパターンで予想する方法も研究しました。そうそう。メディアに出てユーザーに協力を仰ぎプログラマーを雇おうと思ったのですが、西田式のソフトを作ったプログラマーに開発を手伝ってもらえたのは嬉しかったです。
ただ、僕が血統という、いまの自分の土台となる要素を覚えたのはダビスタです。ゲームのなかでいろんな血統が頭に入っていくうちに、違う種牡馬名でも、同じ血を持った馬に共通項があり、馬券の相関関係も高いことがわかってきたんです。
その共通項をイメージするには、まず血統表を覚えないといけませんが、ダビスタをプレイしていると自然に血統が頭に入ってくるから、覚えやすい。そうすると、現実の競馬の結果と血統がリンクして見えるようになってくるんです。
普通に競馬を見るだけだと、血統とレース結果の関係を意識しづらい。でも、ダビスタをやっていると、嫌でも、父と母を見て頭に浮かぶようになるんですよね。僕はダビスタのおかげで、血統が馬券のデータとしても有効だと気がついたんです。メディアに出るキッカケだけでなく予想のヒントも作り出してくれるダビスタ様には大感謝ですね。
フジテレビONE『競馬血統研究所』出演時の、ダビスタ作者・薗部博之さんとのツーショット(写真提供:競馬血統研究所)
オススメの書籍はもちろん『ダービースタリオンGOLD全書』ということになります。編者・著者である成沢大輔さんが急逝されて、これが遺作ということになってしまいました。ホーク爺さんの呼びかけで、ひとり2〜3頭ずつ、種牡馬解説を書こうということになったんですが、僕はパイロとキングヘイローの解説を書かせていただいています。
種牡馬のデータは、62ページに渡って取り上げています。執筆陣には市丸博司さん、斎藤修さん、村本浩平さん、競馬番組の放送作家の村上卓史さんなど、お馴染みの名前がズラリ。もちろん僕が今も(笑)所属しているダビスタ四天王のメンバー横井顕さんも書かれてますよ。
そしてダビスタ作者の薗部博之さんもバランスオブゲームの解説を書いているように、皆さんが好きな種牡馬を選んで書いてます。誰がどの種牡馬を選んだかを見られる裏のお楽しみもあります。
種牡馬辞典としても、じゅうぶんに見ごたえがある一冊で、繁殖牝馬の解説や、配合の組み合わせ表など、ゲームをしない方でも楽しめる内容になっています。もちろん、ダビスタの本ですから、ゲームとあわせて読めば楽しさも価値も倍増するのは当然ですけどね。
いままでダビスタの本ってたくさん出てますが、田端到さんや須田鷹雄さんとか著名な競馬ライターもダビスタ本を出されているんです。で、その本が今まで出された競馬本で最も売れていたりする(笑)。部数がさばけるので安価で出せるのも大きい。
著名な競馬ライターの皆さんは、ダビスタを通じて、安価な競馬の入門書も大量に出していたことになりますよね。それで競馬ファンになった人も多いはず。ダビスタ現象は、競馬入門書の値段や内容の敷居を一気に下げたわけです。これ以上の入門書がありますか?
■タイトル:ダービースタリオンGOLD全書
■著者:成澤大輔 (編・著)
■出版社:KADOKAWA/エンターブレイン
■発行日:2015年3月30日
■価格:1,944円
■ご購入は:
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