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フラワーパーク最後の産駒レッドミモザ

  • 2015年12月02日(水) 12時00分
グレイトパール(牡 栗東・中内田充正 父キングカメハメハ、母フォーチュンワード)
 母フォーチュンワードは京王杯2歳S(GII)4着馬で、牝馬ながら挑戦した朝日杯FS(GI)でも6着と健闘した。本馬の半姉ラブミーテンダー(父ゼンノロブロイ)は現在5戦1勝で、ダート1400mの新馬戦を勝ち上がっている。本馬の父はキングカメハメハ。母方にDeputy Ministerを抱えるキングカメハメハ産駒は、牝馬三冠馬アパパネを筆頭に、ヤマカツエース、ミュゼスルタン、スイートジュエリーなどの活躍馬が出ており、連対率21.6%、1走あたりの賞金253万円。これはキングカメハメハ産駒全体の連対率19.6%、1走あたり217万円を上回っている。3代母ビクトリアクラウンはエリザベス女王杯など4つの重賞を制した名牝で、5代母オーハヤブサはオークス馬。ここを起点に千代田牧場の名牝系が育った。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

グレーパール(牝 美浦・萩原清 父クロフネ、母オイスターチケット)
 全兄のブラックシェルはNHKマイルC(GI)2着、ダービー(GI)3着。全姉シェルズレイはローズS(GII)2着、チューリップ賞(GIII)2着。後者の息子シャイニングレイ(父ディープインパクト)は昨年暮れのホープフルS(GII)を制した。テスコボーイ4×3の母オイスターチケットがスピードを安定供給していることがこの血統のコンスタントな活躍につながっていると思われる。母の父ウイニングチケットは日本ダービー馬で、「トニービン×マルゼンスキー」という組み合わせ。クロフネを父に持つスプリント女王カレンチャンは、母スプリングチケットが同じ「トニービン×マルゼンスキー」なので、本馬と4分の3同血に近い血統構成となっている。配合的には申し分ないので、シェルズレイ、ブラックシェル級の活躍を期待したい。

ジークカイザー(牡 栗東・池江泰寿 父ディープインパクト、母ヒルダズパッション)
 母ヒルダズパッションはバレリーナS(米G1・ダ7f)など5重賞を制し、ガルフストリームパークのダート7ハロンのトラックレコード(1分20秒45)を樹立した。ディープインパクト産駒のAlzao≒El Pradoのクロス(3×3)はサンプルが少ないこともあり、いまのところこれといった産駒は出ていない。JRAで4頭出走して勝ち上がりは2頭、現1000万条件のジューヴルエールが出世頭となっている。El Prado(Northern Dancer+Sir Ivor)と同様の配合構成を持つShareef Dancerを持つパターンからはディサイファ、ワールドインパクト、ダノンジェラートが、同じくTouch Of Greatness(Elusive Qualityの母)を持つパターンからは2歳牝馬女王ショウナンアデラが出ているので、この先大物が出てくる可能性は十分ある。母が持つ Nureyev≒Sadler's Wells 4×3は決して素軽くはないが、現役時代に抜群のスピードを誇った名牝だけに、これらがスピードを支える重厚さとして機能するようなら期待十分。ミッキーアイルのような先行力のある快速タイプだろう。仮にパワーが前面に出た場合はダートでやれそうだ。

ディアスプマンテ(牝 栗東・荒川義之 父ヴィクトワールピサ、母クィーンスプマンテ)
 母クィーンスプマンテは09年のエリザベス女王杯(GI)を11番人気で逃げ切った。2番手追走のテイエムプリキュアと、2頭で後続を20馬身近く引き離す大逃げを打ち、ブエナビスタ以下を抑えて逃げ切ったレースは印象深い。2代母センボンザクラは準OPで活躍した馬で、「サクラユタカオー×ノーザンテースト」のニックスから誕生した。父ヴィクトワールピサは新種牡馬。現役時代にドバイワールドC(首G1・AW2000m)、有馬記念(GI・芝2500m)、皐月賞(GI・芝2000m)などを制した名馬で、アサクサデンエン(05年安田記念-GI)、スウィフトカレント(06年小倉記念-GIII)を兄弟に持つ良血。現時点でJRAで12頭が勝ち上がり、1億3000万円余りの賞金を稼いでいる。JRAにおける新種牡馬ランキングでは勝利数、賞金ともに現在トップ。父はNorthern Dancerを持たないので、Northern Dancer 4×4の母は悪くない。本格化するのは古馬になってからだと思われるが、POG期間中にもそれなりに走ってきそうだ。

レッドミモザ(牝 栗東・松永幹夫 父キンシャサノキセキ、母フラワーパーク)
 母フラワーパークは高松宮記念(GI)、スプリンターズS(GI)を制し、JRA賞最優秀短距離馬に選ばれた快速馬。一方、父キンシャサノキセキも高松宮記念連覇を含めて7つの重賞を制し、JRA賞最優秀短距離馬に選ばれた。父母ともにスプリントチャンピオンという快速血統だ。母は繁殖牝馬として7頭の産駒を送り出し、そのうち1戦しかできなかった1頭を除く6頭が勝ち星を挙げるという抜群の安定感を誇る。東京新聞杯(GIII)を制し安田記念(GI)でも2着となったヴァンセンヌ(父ディープインパクト)が代表産駒。ほかに毎日杯(GIII)4着のフィレンツェ(父サンデーサイレンス)、マーガレットS(OP)を勝ったクリアンサス(父Redoute's Choice)などが出ている。母の父ニホンピロウイナーは「Abernant≒チャイナロック3×2」が配合上の鍵で、父キンシャサノキセキはこれとよく似た構成のFlower Bowlを持つので、「Flower Bowl≒Abernant≒チャイナロック5×5・4」となる。さらに、母が持たないサンデーの血が入るのもポイント。なかなかの好配合馬だ。京王杯2歳S(GII)で2着となったアドマイヤモラール(父キンシャサノキセキ)は、母カツラドライバーがフラワーパークと同じ「ニホンピロウイナー×ノーザンテースト」なので、本馬とは8分の7同血という関係。母が21歳時の産駒で、母にとって本馬は最後の産駒となる。マイル以下の短距離で重賞級の活躍が期待できる。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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