▲ノンコノユメを管理する加藤征弘調教師が勝機を語る
ジャパンダートダービー(JpnI)を制して、3歳のダート馬の頂点に立ったノンコノユメ(牡3)。秋初戦の武蔵野S(GIII)では、斤量58キロを背負った上に初めての古馬対戦という厳しい条件を見事に撥ねのけて優勝を果たした。長らく関西馬の勢いが勝ってきたダート戦線だったが、ノンコノユメの登場によって関東にも希望の光が差してきたと言っても過言ではない。チャンピオンズC(GI)でも自慢の鬼脚がさく裂するのか。中2週での臨戦過程、春シーズンとの違い、そしてチャンピオンズCの展望など、管理する加藤征弘調教師に話を聞いた。(取材・文・写真:佐々木祥恵)
デビュー戦から絶対の自信
ノンコノユメを加藤が初めて見たのは、2歳になってからだ。
「動きが良い馬がいる」と社台Fの吉田照哉氏から紹介を受けたのがきっかけだった。調教での走りを見ると「芝でもいけそうな感じがしました」と加藤がいうように、根っからのダート馬という印象でもなかったようだ。デビュー前の追い切りの動きもすこぶる良く、「出れば勝てる」くらいの手応えを感じていた。
初陣は昨年11月23日の東京競馬場のダート1600m戦。3キロ軽い石川裕紀人騎手を起用した。スタートは出たものの、出脚がつかずに中団の後ろからの競馬となったが、直線で脚を伸ばして粘るラテラスをねじ伏せ、加藤の「勝てる」という見立ては的中した。
12月の中山と年が明けて2月の東京と石川騎手が手綱を取って500万下を2戦し、2着、3着と勝ち星には手が届かなかったが、クリスチャン・デムーロ騎手に手が替わった4戦目の中山で2勝目を挙げている。
この時も行き脚がつかずに最後方からの競馬になったが、3コーナー手前から動きはじめ、4コーナーでは大外から先頭に並びかける勢いで直線に向き、早めに抜け出してそのまま押し切るという強い競馬だった。
その後、4月の中山の伏竜S(OP・横山典弘)の5着を経て、クリストフ・ルメール騎手を鞍上に迎えた5月の東京の青竜S(OP)では、相変わらず後方からレースを進め、直線に入ってからグイグイと脚を伸ばし、鮮やかに差し切って3勝目をマーク。その勢いのまま、6月の東京でユニコーンS(GIII)に優勝して重賞初制覇を成し遂げた。
デビュー以来、出遅れたり、行き脚がつかない競馬が続いていたことについては