(撮影:高橋正和)
ダートでこその末脚
兵庫ジュニアグランプリが、中央勢4頭中3頭が芝しか経験のないメンバーで予想に悩まされたが、今回はコウエイテンマ以外の4頭はいずれもダートで2勝以上というメンバー。コース適性なども含めてその力比較に頭を悩まされることになった。
ところが前日発売が始まった段階から、当日の開催が始まってもしばらくは浦和のアンサンブルライフの単勝が1.0倍で動かず。コウエイテンマ以外の中央4頭のオッズがじわじわと下がり(人気になり)はじめるのと反比例するようにアンサンブルライフのオッズが上り始めた。おそらく前売り開始直後、アンサンブルライフの単勝に高額投票があったものと思われる。最終的に中央4頭の単勝が3〜5倍台で人気を分け合い、アンサンブルライフは10.2倍まで上がって5番人気で落ち着いた。
逃げたのは、そのアンサンブルライフ。ラクテ、マイタイザンと、これまでに何度か逃げたことのある内枠の地方の2頭が気合を入れて行く素振りを見せたが、スタートで少し気合を入れただけのアンサンブルライフが難なく先頭に立ち、他の地方馬とはスピードの絶対値が違うところを見せた。
最初の3F通過が37秒0で、4F目に13秒9とややペースを落としたアンサンブルライフの直後につけたのが、中央のオーマイガイ、コウエイテンマに、北海道のスティールキング。落ち着いた流れではあったが、勝ったのは中団から早めに位置取りを上げてきたサウンドスカイで、2着には後方から追い込んだレガーロ。逃げたアンサンブルライフが3着に粘り、やはり後方追走から直線末脚を使った船橋のトロヴァオが迫って4着に入った。
勝ったサウンドスカイは、前走兵庫ジュニアグランプリと同じように、先行勢を射程圏に入れたところから直線差し切っての完勝。これでダートに転向してから4連勝で2歳ダートチャンピオンとなった。レース後の佐藤正雄調教師の話によると、3歳になってもう一度芝に挑戦する選択肢もあるようだが、ゴール前での末脚はダートでこそのものと思うのだがどうだろう。芝のデビュー戦で上り3Fを33秒3で4着があったが、後方追走から最後だけ脚を使ってもので、芝での切れというのはまた違うような気がする。
逃げたアンサンブルライフが粘って1馬身半+クビ差の3着は評価していいように思う。1、2、4着馬が上り3F39秒6というまったく同じタイムで末脚を伸ばしたのに対して、先行勢で粘ったのはこの馬だけ。引き続き今回もチークピーシーズを着用し、まだまだムキになって行きたがるところがあったり、道中気を抜くところがあったりだが、それでも以前よりレースぶりが落ち着いてきている。来年の南関東三冠戦線の有力候補の1頭になることは間違いない。
残念だったのは、デビューから6連勝だったポッドガイが左肩跛行で出走取消となったこと。鎌倉記念で見せた、先行勢のうしろに控え、直線先頭のアンサンブルライフをゴール前で交わし去ってというレースぶりは、まさに今回、勝ったサウンドスカイが見せたレースぶりそのもの。出走できなかった馬のことを言っても仕方ないが、あらためて3歳になって復帰しての活躍に期待したい。