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【予想の流儀】柏木集保「予想は記憶をかたちにする作業である」

  • 2015年12月21日(月) 12時01分



熟練者たちが長い時間をかけて作り上げてきた「予想の流儀」に迫る企画の一回目は、競馬専門紙『日刊競馬』に在籍する柏木集保。netkeibaをはじめ各メディアでも独自の哲学を発信している彼ならではの「流儀」とは――。

分厚いバインダーにレースの「記憶」を集約させていく



 柏木集保が予想において重視しているのは、回顧だ。目の前で起こったレースを正しく振り返り、記憶に残すことができなくては、未来につながらない。「予想は記憶をかたちにする作業」と柏木はいう。彼が常に持ち歩く分厚いバインダーのルーズリーフには、全レースの馬柱の切り抜きが貼りつけてある。そこには「アオル」「ヨレル」といったレース中の出来事から、馬体重、ラップタイムやレース後に気が付いた点、各馬の印象などが書き込んである。柏木の予想は、まず、それぞれのレースの「記憶」をこのバインダーに集約するところから始まっているのだ。

バインダー

▼馬柱だけでなく、レース結果や騎手コメントなども貼りつけられている



 いまも柏木は土・日と競馬場に足を運んでいる。現場にいるからこそもたらされる印象も、彼にとってかけがえのない記憶なのである。朝いちのレースから、出走するたびに記者席の扉を開け、スタンドから双眼鏡をのぞき、レースが終わるとバインダーに書き込んでいく。レース前後で編集されるバインダーが完成するのは、最終レースが終わり、競馬場から人気がなくなるころ。そうしてこの手作りの資料は、予想するために欠かせない「記憶」になるのである。

 週が明けて月曜日、特別登録が手もとに届くと、バインダーの資料と照らし合わせて予想の「あたり」をつける。水曜日の出走想定、木曜日の登録馬と出走情報の精度が高まっていくごとに、フォーカスを絞り込んでいく。そして木曜日の夜から、記憶をかたちにする作業に入る。「予想は体力勝負。どれだけ記憶を引き出せるかが大事」という彼にとって、<出走頭数×諸条件>で成り立つ百もの要素から、「記憶」を用いて答えを導き出す、真剣勝負のときだ。

時間の限り、繰り返し各馬を検討していく



 予想に入って最初にすることは、

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