スパーキングレディーC(7月20日川崎 サラ3歳以上牝馬 別定 交流G3 1600m)
◎トーセンジョウオー (53・蛯名)
○ジーナフォンテン (57・張田)
▲レマーズガール (57・武豊)
△グラッブユアハート (55・安藤勝)
△ロイヤルセランガー (52・内田博)
△アートブライアン (55・石崎隆)
△ブルーマドンナ (55・石崎駿)
ブルーロバリー (52・的場文)
カネマサヴィーナス (52・今野)
ジョウテンセレブ (55・酒井)
移籍したジーナフォンテンも含めJRA断然の顔ぶれになった。中でもフレッシュな魅力は3歳トーセンジョウオーだろう。前走初コース、初交流重賞、手探りにみえた関東オークスをいきなり完勝。退けたアクイレジアが、続く牡馬相手の交流G1ジャパンダートダービー2着だから、同馬の評価も一気に上がる。当時4コーナー先頭、文字通り正攻法で2100m2分15秒9、昨年レマーズガール15秒6とほぼ互角。遡ってJRA5戦、ダートは連対10割で、しかも前躯が勝ったマイラー体型。53キロの軽量なら、一気に突破のシーンが浮かぶ。現在の交流ダート重賞路線、故障馬も多く、とりわけ牝馬はきわめて手薄。上昇度と勢いがそのまま買える。
レマーズガールは交流重賞すでに4勝の実績があり、それもことごとく川崎コース。ただ、関東オークス→スパーキングLC→エンプレス盃、ひとまずきっちり勝ったものの、レースぶりの凄み、インパクトといえば何やらむしろ後退してきた感がある。相性の良さと貫禄で女王の座を守れるかどうか。基本的に早熟型の印象で、道中モタつくとそう楽観できないだろう。それなら今回JRA移籍3戦目ジーナフォンテン。一昨年このレース、昨年エンプレス盃勝ちと実績互角で、馬自身いいフィーリングを取り戻せば、再び好レース可能な底力がある。グラッブユアハートは対レマーズ4戦4敗と分が悪く、その非力さ、詰め甘さを、安藤勝巳がどうカバーするかにかかるだろう。ロイヤルセランガーは今回川島正行厩舎にトレードで初ダート。ただしパターンはあのネームヴァリューに似ており、自身G1・阪神ジュベナイルフィリーズ小差4着。大駆けをイメージしても不思議ではない。昨年牝馬重賞を2勝したアートブライアンは久々の前走がいかにも冴えず、末脚強力ブルーマドンナも一進一退。3歳ブルーロバリー、カネマサヴィーナスは、トーセンジョウオーとの差をどう詰めるか。再び手探りの戦いになる。
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「夏は牝馬…」という古くからの競馬格言がある。昨今は思い出したように言われるだけで、なるほどお話として単純すぎること、それよりもっともらしいデータ(例えばスピード指数などというやつ)が闊歩してきたこと。いつの間にかファンへの認識度、アピール度も低くなった。ただしかし04年夏、現実にこの猛暑である。先週7月12〜15日、連日35℃の炎天下で行われた浦和競馬など、なるほどやはり…という結果が出ている。4日間、計42レースで、牝馬は27頭が勝ち、21頭が2着だった。連対率にして6割強。1本人気の牡馬がしばしば“原因不明”の大敗を喫し、大穴炸裂。実際、7月13日第1レース、浦和競馬史上最高配当の3連単497万円は、人気薄牝馬のワンツースリーだった。
「夏に強い芦毛、夏に弱い黒鹿毛」なども、同様に伝統的競馬セオリーだろう。太陽光線をはね返す芦毛、逆に吸収してしまう黒鹿毛。あまりに素朴かつ子供じみていて、信ずべし、信ずべからず…は当然だが、サラブレッド=生き物と考えれば必ずしも無視できない話ではある。そういえばかつて山口瞳さんは、「夏は高齢馬を狙え」と、ご自身の経験則を書かれていた。「年を重ねた馬は、厳しい夏のやり過ごし方を知っている。そのぶん若い馬より逆境に強いのだ」。なるほど。ただ、今回の浦和競馬についてだけ調べてみると、高齢馬(7歳以上)は、計62頭出走して勝ち馬はただ1頭。トータル[1-3-2-56]と苦戦だった。さてこれから2か月、どんな結果が出てくるか。