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戸崎圭太騎手(3)『才能ある後輩を意識しつつ、目指せ3年連続の頂点!』

  • 2016年01月25日(月) 12時00分
おじゃ馬します!

▲2016年、トップジョッキー戸崎圭太の目指すものとは


戸崎騎手のインタビュー最終回。今回のテーマはズバリ「2016年の抱負」です。今やJRAの顔となった戸崎騎手。トップに立ってもなお、見ているのはさらに上。今の自分自身に足りないもの、脅威に感じている後輩ジョッキーの存在も明かしつつ、今年の目標、これから目指していく騎手像を、力強く語っていただきます。(取材:赤見千尋)

騎手としての理想形に近づけて行きたい


赤見 2016年の競馬がスタートしましたが、今年はどんな年にしていきたいですか? 目標に挙げていることを教えてください。

戸崎 まずは、リーディングですよね。昨年連覇することができたので、ぜひとも続けて行きたいです。

赤見 3連覇!

戸崎 したいですね。それに、JRA賞は勝利数以外にも勝率、賞金という部門もありますので、そういうところも目指していきたい。狙えるものは全部狙っていきたいと思います。あとは1つ1つのレースを大事に乗って、ケガなく騎乗停止なく、1年間を乗り続けたいですね。

赤見 今やJRAの顔となったわけですけれども、2年連続頂点に立ったことで見えた景色というのはありますか?

戸崎 いや、特にはないですよ。自分の中では何も変わらないです。というのも、獲ったことは獲ったことでいったんは終わりだと思っているので。新しいシーズンが始まったら、また1からですからね。

赤見 周りの変化というのはあるんじゃないですか?

戸崎 それも、でも、「おめでとう」って言ってもらえるくらいですよ。納得されるような乗り方ができているわけではないというのは、自分でも分かっていますからね。課題はまだまだたくさんありますし、騎手として本当の理想形に近づけて行きたいです。そうすれば、周りからも納得してもらえると思いますしね。「あいつが乗って負けたなら仕方ない」って思われるくらいの騎手にならないといけないです。

赤見 トップに立ってもなお、志が高いですね。

戸崎 うーん、騎手をやっていること自体が楽しいんですよね。昨年海外に行ったことが刺激になったって言いましたけど、その辺からモチベーションがさらに上がったと言いますか。

赤見 楽しそうなのは伝わってきますし、年末の5連勝なんて、見ていてもうらやましいですもん! 一度でいいから「戸崎圭太」になってみたい。

戸崎 そうですか!? まあ、太陽ですからね(笑)。

赤見 そう、太陽ですから! ルージュバックの桜花賞みたいなGIのプレッシャーは、遠慮したいですけどね(笑)。それにしても、大舞台のプレッシャーもそうですし、トップに立ったことでの責任も出てきますよね。

戸崎 そこは意識していないといけない部分でもあると思います。乗せてくださる関係者の方々、馬券を買ってくれるファンの方々を裏切らないように、しっかり結果を出していきたい。それには、ミスのない納得できる騎乗ですよね。それを踏まえて、本当の意味で認められる騎手になりたいんです。

赤見 パドックとか馬道で、ファンの声は聞こえますか?

戸崎 聞こえますよ。負けて帰って来ると、厳しい声ももちろん聞こえていますし。

赤見 以前お話を伺った時に、「人気で負けた時に何も言われなかったら、あれ?って思う」って。

戸崎 そうですね。見てくれていて、応援してくれてるからこそ、そういう声も出るんだろうなって。何も言われなくなったら、逆にダメだと思いますよ。

おじゃ馬します!

▲「人気で負けた時に何も言われなくなったら、逆にダメだと思いますよ」


騎手として良いものを持ってる


赤見 戸崎騎手は考え方が前向きですよね。JRAに移籍してからの3年間で、辛かったこととか、ピンチだった出来事ってありますか?

戸崎 ピンチ? ん〜、ないですね。この仕事をしていると、常に切羽詰まってはいるんですけど、それをピンチとか辛いとは思わないんです。

赤見 すごい。そういうところが太陽ですよね。

戸崎 いやいや、そういうわけでもないんですけど。必死は必死なんですよ。あっ、ピンチと言ったら、ひとつありました。あれですね。海外の騎手とコミュニケーションを取りたくて、習ってる英会話を駆使して話かけるんですけど、「こいつ、分かってないな」っていう顔された時。あれはすっごくピンチです!

赤見 そこですか(笑)。でも、外国の方って英語で話し掛けるとブワーッて返って来ますよね。

戸崎 それはありますね。ちょっと通じて、「あ、こいつはしゃべれるな」って思われると、すごい勢いで返ってくる。そうなったらもう、「Uh-huh」だけですよ。もっとスマートに、こなれた感じでコミュニケーションが取れたらいいですよね。

赤見 明るい性格といい、前向きさといい、本当に天性の騎手ですね。たしか、中学生の時から生徒会長をやっていたんですよね。

戸崎 そうですね。まあ、調子が良いだけですけどね(笑)。明るいところとかめげない性格は、親に感謝してます。

赤見 どちら似ですか?

戸崎 どっち似なんだろう……、どちらかと言うと母親ですかね。それが本当に良いことなのかは分からないですけども。

赤見 いやいや、大事なところだと思います。競馬の世界もどんどん変化していますし、流れに対応できる柔軟さも必要ですよね。

戸崎 ルメールとかミルコをはじめ、海外の騎手がどんどん入って来てますからね。それは昔では考えられなかったことでしょうし。まあ、自分も地方競馬から入って来ていますし、自分自身も変化して、周りの変化もうまく受け入れられることが大事なんだと思います。

赤見 下からの突き上げも感じますか? 脅威に思っている後輩とかは?

戸崎 石川裕紀人なんかはね、見ていて上手いなと思いますよ。しっかり乗ってますよね。

おじゃ馬します!

▲注目の若手騎手として名前の挙がった石川裕紀人騎手


赤見 良い馬も回ってくるようになりましたよね。

戸崎 結果を出していて、乗り数も増えてるんでしょうね。騎手として良いものを持ってるなって感じますよ。

赤見 追うより追われる方が、立場として大変だとも言いますが。

戸崎 たしかにそれはあるのかもしれないですけど、自分自身がしっかりやっていくことだと思うんです。やっぱりこの年になってみて、体が本当に動けるのも、もう何年もないのかなと思うようになったんですよね。だからこそ悔いのないように、思いっ切り乗っていきたいっていうのがあります。

赤見 それにしても、36歳には見えないですよね。全然見えない。

戸崎 そうですか? もっと上に見えます?

赤見 そうだったら言わないですよ(笑)。今日みたいに11レースに騎乗しても、体力的には大丈夫ですか?

戸崎 そういうのは大丈夫ですね。お酒に弱くなったのは、感じてるんですど。このままいくと、お酒に関しては衰えて行くんだと思うんですけど、競馬はまだまだ元気に、しっかり乗っていきます。

赤見 今年の「戸崎圭太」にも目が離せないですね! 今日は競馬終わりのお疲れの中、ありがとうございました。

戸崎 いやいや、まあ、本当にね、疲れてるところに…。冗談です(笑)。今年もどうぞ応援してください。

(文中敬称略、了)

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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