シルクロードS 今年も緩ペースとみる/トレセン発秘話
◆ダンスディレクターを出走させる笹田調教師は「坂のあるコースならともかく、京都内回りは…」
「クラスが上がってペースが速くなった方が競馬はしやすい」
折り合いを欠く馬などによく使われる表現だが、どうにも最近は必ずしも「クラスが上がる=ペースが速くなる」とは言い切れなくなってきた。
力関係、脚質のハッキリした上級クラスの方がむしろ流れが落ち着き、終わってみれば条件戦の方が逆にペースが速かったというケースが増えてきたのだ。
昨年3月の高松宮記念当日がその典型例で、高松宮記念より同日の1000万下(岡崎特別)の方が前半3ハロン通過が0秒5も速かったというのだから、芝スプリントGIの名が泣いてしまう。
日曜(31日)のGIIIシルクロードS(京都芝内1200メートル)も、近年は電撃戦とは言えないようなレースばかりだ。
過去5年で前半3ハロンのラップが後半3ハロンより速かったのは2回だけ。しかも、2回ともわずか0秒1差。あとは後半3ハロンの方が速い、スプリント戦としては異例の“緩い競馬”が続いている。
そんな傾向を知っているからだろうか。ダンスディレクターを出走させる笹田調教師は「1200メートルに距離短縮されるからといって、折り合いに関しては安心できない」と慎重な姿勢を取っているのだ。
「坂のあるコースならともかく、京都内回りは直線が平坦で短い。加えて流れも速くならないようなら、前が止まらないから…」
折り合いに難のあるダンスディレクターにとって、1200メートルになるから競馬はしやすい、とは必ずしも言えないのだ。
メンバーを見渡すと、「ハナに行った方が持ち味が生きるし、ここも自分の競馬をするだけ」(飯田雄調教師)というローレルベローチェに、同じく逃げてこそのアクティブミノルがいる。この2頭の絡みで、今年こそはスプリント重賞らしい激流になるとの見方はもちろん可能なのだが…。
近年の傾向から、坂路野郎は今年も意外に淡々とした流れになるのでは、と予測している。となれば前を狙うのが正解? 今年、刻まれるラップは果たして!?
(栗東の坂路野郎・高岡功)