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“上げ潮ムード”で“ヤル気”を見せる地方競馬

  • 2016年02月06日(土) 12時00分


例年以上の盛り上がりを見せた祝賀パーティ

 4日に行われた「NARグランプリ2015」表彰式。毎年司会を仰せつかっている私は、内心、「今回は盛り上がるかなぁ」と思っていたのですが、それはまるっきり“いらぬ心配”だったようです。祝賀パーティは、ざっと見積もって約300人の方々が参加されて大賑わい。「これを持ちましてお開き」という私のコメントがかき消されてしまうほどで、例年以上の盛り上がりを見せました。

 どうして心配していたかというと、まずは年度代表馬のハッピースプリントにJpn1勝ちがなく、8戦して浦和記念の1勝にとどまってしまったから。改めて振り返ると、僅差の優勝争いに持ち込めたJpn1戦はありませんでした。強豪揃いのJRA勢を相手によく頑張ってくれたんですけどねぇ。

 それと、表彰馬の関係者のみなさんや表彰を受けた方々の中に、Dr.コパさんや故・川島正行調教師のような“パンチの効いた存在”がいらっしゃらなかったこともあります。こんなことを言うと、「オマエごときが何を!」と怒られちゃいますが…。

 でも、先にも書いたとおり、心配は無用だったのです。それは、近年、地方競馬の売上が右肩上がりで伸びているからなのかな、思います。いわゆる“上げ潮ムード”ですね。そういう雰囲気が全体を取り巻いていて、地方競馬に携わるみなさんが「よしっ、もっと頑張ろう!」という気持ちになっている。その証しが、今回のグランプリだったような気がします。

 NARのホームページで公開されている地方競馬開催成績を見ると、東日本大震災があった2011年には総計3253億2000万円余りに落ち込んだ売上が、去年15年には4172億円近くにまで達しました。この間の伸び率はなんと28.2%。3割弱も売上を増やしているわけです。

 ハッキリ言って、これだけの“上げ潮ムード”の中で、“ヤル気”にならなかったらダメでしょう。祝賀パーティでは、このところ次々に活躍馬を輩出しているホッカイドウ競馬の角川秀樹、田中淳司調教師にお話を伺いました。同競馬では調教施設や競馬場の改善が続けられています。ご両人のお話によれば、それが冬期トレーニングの充実や新たな調教方法の試行錯誤につながり、管理馬のレベルアップに結びついているとのこと。これこそが、“ヤル気”の表れだと思います。

 そうそう、今回のグランプリが盛り上がりを見せたのは、優秀女性騎手賞を受賞した別府真衣騎手と木之前葵騎手が顔を揃え、花を添えてくれたことも大きな理由の1つになりました。サービス精神旺盛の2人なので、パーティでは大忙しだったようですが、どうもお疲れ様でした。ちなみにこの2人は、優秀新人騎手賞を受賞した中島龍也騎手らとともに、来月のレディス&ヤングジョッキーズシリーズ(4日名古屋、12日佐賀)で対戦します。

“上げ潮ムード”で“ヤル気”を見せる地方競馬。みなさん、より一層のご声援を!!!

テレビ東京「ウイニング競馬」の実況を担当するフリーアナウンサー。中央だけでなく、地方、ばんえい、さらに海外にも精通する競馬通。著書には「矢野吉彦の世界競馬案内」など。

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