今週末の競馬で橋口弘次郎調教師、松田博資調教師、武田博調教師(栗東)が定年で引退。netkeibaのコラムニスト井内利彰さんと花岡貴子さんは、橋口調教師と松田調教師と親しいお付き合いをされてきました。それだけに“引退”への想いはひとしお。そこで、井内さんから橋口調教師へ、花岡さんから松田調教師へ、直筆の手紙を書いていただきました。おふたりだからこそ知っている名伯楽の技術や人柄、教わったこと、忘れられないエピソード…溢れる感謝の想いを記します。
坂路小屋で、厩舎で、薫陶を受けた思い出と感謝の念
▼感謝の念が、便せん4枚に綴られている
橋口先生、35年の調教師生活、本当にお疲れ様でした。木曜日の調教後に厩舎へお邪魔して、お茶菓子を出していただき、競馬の話だけでなく、野球の話や雑談まで1時間以上も話していた頃が懐かしいです。
そんなことを毎週繰り返しているうちに、橋口厩舎の馬だけではなく、競馬全体をしっかりと見ることができるようになってきたかな、なんて思っています。ローズキングダムがスプリングSで3着に敗れた時に教えてもらった「ゴール板を過ぎてからの脚色理論」は今でも予想の役に立ってます。
そして、今までも忘れることができないのは、2010年の夏に僕が先生に叱られたこと。「君の取材は一切受けない」と言われた瞬間は、どうしてそこまで怒られるのだろうと思ってしまいましたが、よくよく考えてみると、情報発信者として間違っていました。それから半年後にあることがきっかけで、今まで通りのお付き合いをしていただけることになりましたが、あれがあったからこそ、ここまで大きな失敗もせずにこの仕事を続けることができたと思っています。もし、別の調教師で同じミスをしていれば、トレセンに出入り禁止になったかもしれませんし。
▼通算重賞96勝、G19勝(16年2月22日現在)、14年にはワンアンドオンリーで念願のダービーを制覇した。撮影:下野雄規
トレセンだけでなく、ノーザンファームしがらきをはじめとした栗東近郊の牧場にも