再びダートグレード競走への挑戦も
中央時代は栗東の松田博資厩舎に所属し5勝を挙げ、オープンレースを中心に走ってきたタイムズアロー。昨年夏から船橋の川島正一厩舎に移籍し、南関東の一員として再出発をしました。初戦のオープンレースを優勝するも、その後の重賞レースは勝ち切るまでもう一歩……。
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内は逃げるムサシキングオー、その外がタイムズアロー、大外から伸びてくるのは芦毛のケイアイレオーネ
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タイムズアローは2着のムサシキングオーに半馬身差をつけての優勝
「力があるのはこれまでの成績からもわかっていましたが、気性の難しい馬で、レースでも普段の調教でも騎手たちはかなり苦労していると思います。我が強くて、追われるとそのアクションで反抗するし、抜け出すとフワッとするし。今回はあえて馬任せにやってみたのもハマったと思うし、騎手もうまく乗ってくれました」(川島調教師)。
タイムズアローは2月17日の報知グランプリカップに出走し、8歳にして念願の重賞初制覇を飾りました。移籍してから7戦目。
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ついに悲願の肩掛けを取りました
真島大輔騎手を背に道中は逃げるムサシキングオーの2番手にピッタリつけ、最後の直線では追い出しをずっと我慢して、最後に半馬身交わす内容。着差以上の強さだったと思います。ステッキも全く入れていないように見えんたんですが……。
「目一杯追うと反抗するので、そこは併せる感じで乗ろうかなと。ステッキを使う感じであれば使うけど、あまり使わないようにしようと思っていました。直線を向いて4分の3馬身くらい出た時に、ステッキを持っている合図というか、肩ムチを軽く入れました。遊んじゃダメだよって。
2走前くらいから折り合いもつくようになって力まなくなってきた分、直線でも集中してくれるようになりました。道中いかにリラックスして走れるかというのも課題だったので、あのペースでも我慢してうまく走ってくれましたね。
西村さん(西村栄喜騎手)がずっと一生懸命に調教をつけています。乗り難しい馬ですが、やっと結果を出せてよかったし、馬が強かったです」(真島騎手)。
タイムズアローはサミットストーンの調教パートナーとしても知られる船橋の西村栄喜騎手が調教に乗っています。
西村騎手はそもそも荒尾競馬所属で、楠賞全日本アラブ優駿などを制したコウザンハヤヒデや九州アラブダービーの覇者コウザシンオーなどの手綱を取り、期間限定騎乗で行っていた韓国の釜山慶南競馬場でも重賞を勝っている経験豊富なベテランです。
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調教パートナーの西村栄喜騎手
荒尾競馬廃止後船橋へ移籍し約4年、レースでは人気薄の馬を上位に持ってくるなど存在感はたっぷり。もうすぐ自身の1000勝も待っています。
「(タイムズアローは)近くに馬がいればそれを見て止まったり、回転したり、外に飛んでいったり、自分でブレーキをかけてしまうところがあって、前に馬を置いて後ろからついていくような調教をずっとしてきました。
前に馬がいればいつまでも追いかけていって、併せていれば絶対に負けないくらいなのでそこはすごいと思うんですが、ちょっとでも馬を抜くとやめてしまうので、抜いてもやめさせないようにして、やめちゃダメだよって。調教を終える時でも、前の馬を1馬身でも2馬身でも抜いてから終える感じで。
最近は1頭でも乗れるようになったしそういう癖も少なくなってきました。8歳でも馬は若いのでまだ良化する部分はありそうです」(西村騎手)。
今でも荒尾魂の心を持ちながら日々奮闘している西村騎手。荒尾時代にたくさんの馬たちから教えてもらったことは、西村騎手の馬乗りの技術の中で、これまでもこれからも生き続けていくんだなぁと……。
さて、タイムズアローの次走は未定ということでしたが、昨年手応えをつかんだマーキュリーカップ(盛岡・2000m)にもう一度挑戦したいという思いはあるそうです。
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担当の松崎正志厩務員(向かって右)は笠松時代に騎手をしていて、オグリキャップやオグリローマンの母親ホワイトナルビーの主戦でした
「やっとタイムズが重賞を勝つことができてお待たせしましたっていう感じですね。自分の走りさえできればスケールの大きな馬だと思うので、これからまたダートグレードレースにも挑戦していきたいです」(川島調教師)。
8歳にして未知の魅力たっぷり、勝負の年とも言えるでしょう。タイムズアローが更なる大舞台に向かってどんな走りを見せていくのか楽しみにしたいと思います。
次回は3月7日(月)にお会いしましょう!