【2歳】
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ハノハノボーイ(牡 美浦・武市康男 父ヴィクトワールピサ、母ワルツオブキャット)
母ワルツオブキャットはホッカイドウ競馬で走り、短距離ばかり使って6戦4勝の成績を挙げた。母の父Songandaprayerは現役時代にファウンテンオブユースS(米G1・ダ8.5f)を勝ち、ケンタッキーダービーでは半マイル通過44秒8というレース史上最速のペースを刻んで逃げまくった快速馬だった。種牡馬としては仕上がり早のスピードタイプを量産して成功し、日本ではサープラスシンガーが函館スプリントS(GIII)で2着となった。父ヴィクトワールピサは芝向きの中距離タイプで、昨年のJRAファーストシーズンサイアーチャンピオン。ジュエラー(16年シンザン記念-GIII・2着)、ジョルジュサンク(16年すみれS-OP・1着、15年京都2歳S-GIII・4着)、コパノマリーン(16年フェアリーS-GIII・5着)、ナムラシングン(16年つばき賞-3歳500万下)などを出している。母方からスピードを取り入れたいタイプなのでこの配合は悪くない。芝・ダート兼用のマイラー。
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メモリーリング(牝 美浦・小笠倫弘 父トーセンホマレボシ、母トーセンスマッシュ)
サウジアラビアロイヤルC(重賞)を勝ったブレイブスマッシュ(父トーセンファントム)の半妹。母の「トウカイテイオー×リアルシャダイ」は、マイルCS(G1)を勝ったトウカイポイントを筆頭に、チタニックオー、トウカイオスカー、トウカイアロー、アースシンボルなどコンスタントに活躍馬が誕生したニックス。トウカイテイオーの長く柔らかなツナギと、リアルシャダイの硬く立ったツナギがうまく中和したのではないか、という馬体的な根拠のある組み合わせだった。父トーセンホマレボシは新種牡馬。現役時代は先行力を活かして京都新聞杯(GII)をJRAレコードで快勝し、日本ダービー(GI)でも3着と粘った。残念ながら屈腱炎を発症し、このレースを最後に引退した。半兄に天皇賞・秋をJRAレコードで勝ったトーセンジョーダン(父ジャングルポケット)がいる良血で、父は不動のリーディングサイアーのディープインパクト。近親にカンパニー、レニングラード、トーセンスターダムなど多くの活躍馬がいる。馬産地における産駒の評判は上々なので、重賞勝ち馬を半兄に持つ本馬には大きな期待が掛かる。芝向きの中距離タイプ。
【3歳】
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アナザーワールド(牝 栗東・荒川義之 父ディープインパクト、母ロイヤルアタック)
母ロイヤルアタックは公営金沢競馬で6戦4勝。北日本新聞杯(重賞)を勝ち、日本海ダービー(重賞)では2着となった。母の父ジェネラスは英・愛ダービー(G1)、キングジョージ6世&クイーンエリザベスS(英G1)を勝った名馬。種牡馬としてはスピード不足で成功しなかったものの、父ディープインパクトとニックスの関係にあるCaerleonを父に持つので、配合的には期待が持てる。母方に入るVaguely Nobleも父と相性が抜群で、このパターンからトーセンラーとスピルバーグの兄弟や、ショウナンアデラ、カミノタサハラ、サトノルパン、ファタモルガーナ、レッドオーヴァルなど多くの活躍馬が出ている。芝向きの中距離タイプ。
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サンタモニカ(牝 栗東・松永昌博 父マンハッタンカフェ、母エアラホーヤ)
マジェスティハーツ(神戸新聞杯-2着)の4分の3弟。父がハーツクライからマンハッタンカフェに替わった。母エアラホーヤはデビュー戦(芝1200m)を逃げて楽勝するなど、現役時代に非凡なスピードを見せたものの、脚部不安のため[1-2-0-1]とわずか4戦で引退、繁殖牝馬となった。2代母テンザンストームの父Storm Catは父マンハッタンカフェと相性良好。なおかつ、母が持つNorthern Dancer 4×4も成功パターン。「マンハッタンカフェ×ボストンハーバー」の組み合わせは、JRAで過去2頭がデビューしていずれも勝ち上がり、そのうちの1頭ムクドクはOP特別を勝っている。仕上がりの早い芝向きのマイラーだろう。
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フイウチ(牝 美浦・奥平雅士 父カジノドライヴ、母マチカネベニツバキ)
母マチカネベニツバキはJRAで走り、芝2000mで3勝を挙げた。繁殖成績はまずまずで、JRAで走った5頭の産駒はすべて勝ち上がっている。それらはほとんどダート向きなので、パワーを伝えるカジノドライヴ産駒の本馬もダート向きに出るはずだ。母方のパワーの源泉は、3代母シャイニーアンドブライトのGlamour≒Sparkling 4×1だろう。La Troienneの影響が強いこれらの血は、父カジノドライヴの重要な構成要素でもあるので、配合的にはおもしろい。ダート向きのマイラーだろう。