きのうで、東日本大震災の発生から丸5年が過ぎました。ちょうど5年だから改めて何かを考えるのではなく、私たちはいまだに復興途上の状況下で生活している、ということを、常に頭の中に入れておかなければいけないと思います。
ただ、今年はやっぱり特別。それは、5年経ったから、というより、曜日配列があの年と同じになっているから、かもしれません。
今は確定申告の時期。そのための資料を整理していると必ず目にするのが、出演料や原稿料などの支払明細書です。そこに、平成25年1月1日から平成49年12月31日までは復興特別所得税が徴収される、との但し書きが添えられているものがあります。見てのとおり、徴収は始まったばかり。この先まだまだ20年以上も続くわけです。その長さにも、復興へ向けた道のりの厳しさが表れています。
自分で言うのもおこがましいですが、当コラムでも過去を振り返り、今を思うことができます。そこで、自分があのとき何を考えていたのか、そろそろうろ覚えになってきた部分もあるので、改めて確認してみました。
パソコンで当コラムを開き、今ならバックナンバーの「13」をクリックすると、5年前のこの時期の見出し一覧が表示されます。試しに、震災発生の翌日、3月12日に更新された「復興のために重要なこと」を読み返してみました。私が訴えていたのは、「“生業”を持った人たちが、できる限りその“生業”を続けることが、被災された方々の支援や被災地の復興のためには最も重要だ」ということでした。
実はこのコラム、震災発生当日にシンガポールで書いて送稿したものです。ちょうどその時は、競馬観戦ツアーの案内役で現地に滞在中でした。ホテルのテレビで大津波の映像を目の当たりにして思ったのが、「日本が壊れた。しばらくはスポーツどころではない。仕事を失ってしまう」ということ。わがままと言われればそれまでですが、とにかく自分の仕事がなくなったら支援どころではなくなる、という思いで書きました。
シンガポールからは12日土曜日の朝に帰国。その日の「ウイニング競馬」の放送は、当然ながら中止になりました。想像していたいたことが早くも現実になったわけです。さらにその後、これでもかというくらいに放映された被害の映像や原発事故の報道に接し、恥ずかしながらかなり取り乱したこともありました。でもなんとか前を向けたのは、当コラムで思うところを書かせてもらったから、と言ってもいいでしょう。
バックナンバーをたどっていくと、2月26日にニュージーランド大地震にまつわるコラムをアップして以降、4月30日更新分まで、震災関連の話を続けていたのがわかります。それから5年。いまだに震災前と同じような仕事をさせてもらっている私は、とても恵まれています。そのことが、少しでも復興のために役立っていればいいのですが…。