今年の牝馬クラシックの構図は
素直な疑問符をつけたくなる、それはどう仕様もないとき。わからないから、わからないと素直に首をかしげる。それは、自然なこと。てらわない美しい疑問符のかたちと、詩人の吉野弘はあらわしている。それは、声をかけられた小鳥が、不思議そうに首をかしげるのと同じ。意味不明な訪れには、素直にかしぐ小鳥の首でありたいと言う吉野の言葉、思索を始めるきっかけにしたい。
桜花賞出走をめざすフィリーズレビューは、抽選をくぐり抜けて枠に入れたソルヴェイグが、その幸運をものにした。今度は勝ち切るレースをしたいと言っていたキャンディバローズは、昨秋、京都のファンタジーSを勝っている重賞ウィナー。好スタートを切ってハナに立ち、その逃げっぷりは楽に見えた。阪神の内回りならこのまま押し切れるし、しぶとい踏ん張りはあったが、ソルヴェイグにあっさり交わされ、最後にはアットザシーサイドにも2着をさらわれていた。このアットザシーサイドは、阪神ジュベナイルFでは目に見えない疲れからか動きが良くなく5着に終わっていたが、それでもメンバーの中では最先着、リフレッシュしたとなれば見直したくなるのは当然だった。つまり、大方の支持を集めた2頭が2、3着に来たのだから、トライアルとすればそんなに荒れたとは言えない。だが、どうもすっきりしない。
風の如く、耳もとで鳴る意味不明な訪れと吉野が述べていた、それが、勝ったソルヴェイグの存在で、ただわからないと不思議そうに首をかしげるしかないのだった。伏兵は物かげに潜んでいると言うが、2番という好枠を生かしたかたちで、ペースの落ちついた流れの3番手の内々で力を温存、前を行く武豊騎手さえ見ていれば間違いないと川田騎手の手は動かず、ひたすらタイミングを計っていたのだった。2着のアットザシーサイドは、この流れで折り合うのに一番苦労したが、それでも最後は一番の脚を見せていた。つまり、どこまで事前にレースを読めていたか、それに尽きるのだった。
素直に首をかしげ、これまでのトライアルを見直し、いざ桜花賞へ。メジャーエンブレムを追うチューリップ賞組、それにフィリーズレビュー、アネモネS組、こんな構図でいいのかどうか。