◆母母父に欧州の名血を隠し味に潜ませる馬が走るのも当レースの特徴
「過去1年の芝1200mのリーディング種牡馬はサクラバクシンオーなんですよ」と言うと「えっ。まだバクシンオーなの?」と意外に思う人が結構多いようです。
芝1200mのおよそ過去1年のリーディング(2014年3月以降)も首位はサクラバクシンオー。意外に思う人が多いのはダイワメジャー産駒のほうが出走数は圧倒的に多いからでしょう。
サクラバクシンオー産駒は昨年の3月以降の出走数は186回。ダイワメジャー産駒は276回。それでいて勝利数はバクシンオーが首位。常々書いていますが、今の日本競馬(少なくともスプリント路線の血統勢力図)はイビツな構造になっていることを端的に示すデータです。
そして今年の高松宮記念にはサクラバクシンオー産駒の有力馬、ビッグアーサーが出走します。同馬は今の日本競馬の賞金の計算方法とレース体系のイビツさのせいで今までGIに出走できなかった馬。ついにGIレースに出走できます。
母父はキングマンボ。キングマンボは名スプリンター・ロードカナロアの父キングカメハメハの父。母母父は欧州の名血サドラーズウェルズ。
当レースはハクサンムーン、スノードラゴンと2年連続で母母父ミルリーフ系が連対中。ミルリーフ系はサドラーズウェルズと同じく欧州の名血。母母父に欧州の名血を隠し味に潜ませる馬が走るのも当レースの特徴。スプリンターとしての血統レベルは当レースでも屈指の存在。
父よりも「母父フレンチデピュティの牝馬」に注目したいのがウリウリ。フレンチデピュティはストームキャットと同タイプの種牡馬。よってストームキャット同様、ディープとのニックス配合になってしまうのが血統の面白いところ。同配合の弟は先日の弥生賞を勝利したマカヒキ。
そして牝馬にGI馬が多いのもフレンチデピュティ系の特徴。スリープレスナイト、カレンチャンは父系にフレンチデピュティ。いずれも芝1200mGI勝ち馬。強い馬を出しやすい配合で牝馬の名スプリンターを出しやすい母父。
父がディープインパクトですから、今の中京芝なら、馬場が乾いて差しが決まる馬場なら狙いたい馬。ディープインパクトは道中の追走スピードは遅く、直線は末脚比べになる条件を得意とする産駒が多い種牡馬。今週末の中京芝は路盤が乾いていれば、追走スピード(全体の走破時計)は遅いが末脚は活かせる馬場になるはず。そうであれば、ディープ産駒のウリウリには適条件となるでしょう。
ディープインパクトと同配合の弟オンファイアを父に持つのがウキヨノカゼ。3年前の当コラムで父と母が隠れ名血である。と取り上げたことが懐かしいですね。父も母も名血ながら主流(リーディング上位)ではないのは、極端な特殊馬場では有利。
ただし、高松宮記念は枠順も重要。高松宮記念(新装中京)は6枠より外が圧倒的に走りやすいレース。内枠から連対した馬は、すべてJRA非所属時代があった騎手が乗っている馬。馬場と枠の見極めもより重要度が増すレースです。