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少女はキンシャサにのって。

  • 2016年03月24日(木) 12時00分


はじまりのはじまり
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アルビアーノを見ているとキンシャサノキセキを思い出す。
どちらも外国生産馬で、馬主がノーザンF系の吉田和美氏だからかもしれない。
でもキンシャサノキセキとアルビアーノの戦績を眺めていると共通点は多い。っていうかキンシャサで経験したことを凝縮させてきているようにも感じる。

キンシャサノキセキは新馬こそ芝1200だったけれど、そこからマイル路線を歩んで、NHKマイルで3着し、秋はマイルチャンピオンシップを5着した。

アルビアーノはNHKマイル2着、マイルチャンピオンシップ5着。似ている。

キンシャサノキセキは4歳時もまだマイルに未練を残すかのような使われ方をしてたけど、5歳になって吹っ切れたのかスプリンター路線を歩み出し、高松宮記念2-1-0-1、スプリンターズS0-2-0-1という成績を残した。

8歳でも高松宮を制して、その後引退したけれど、引退までの4戦はすべて外国人騎手が騎乗していた。
結果的に4歳時のマイルへの未練は無駄だったように思える。

アルビアーノは4歳でオーシャンSにルメールで出走する。オーシャンSにルメールで出走するということはふつうに考えて、高松宮もルメールで出走するということだろう。つまり、マイルへの未練を立ち、早々と外国人騎手にチェンジし、スプリンター路線に変更してきたということだ。キンシャサノキセキで経験したことを凝縮させているように感じるのはそのためだ。

おそらくここは1人気必至。Mデムーロとともに通年2年目で勝ちまくっているルメール騎乗なら1人気でもきっちり走らせそうではある。
でも今回が1200初出走というのは、ほんの少し気になる。キンシャサノキセキはデビュー戦で1200を1着して以後、マイル路線を歩んだ。4歳時はマイルへの未練を残したと書いたけれど、1200のセントウルSには出走していた。デビュー以来の1200だったからか、1人気で3着に敗れた。

鞍上ルメールなら、そのあたりのことも抜かりはないかもしれないけれど、初の1200競馬に戸惑い、追い上げて2着、いや3着の可能性も考えられなくはない。レース後コメントで「初メテノ1200デ、馬ガ少シ戸惑イマシタ。デモ次ハ、大丈夫デ〜ス」とか言いそうだ。

つまり、思う。仮にアルビアーノがキンシャサノキセキのように強いスプリンターになるとしても、今回は取りこぼす可能性もあるのではないか?

以上、はじまり(3月3日付け)のはじまり。
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以下、はじまりのつづき。

そのオーシャンSで、アルビアーノは1人気で5着だった。
位置取り 15-15-15 5着 上がり33.8(1位)

出遅れて(出遅れたからか)、後方に控え、直線では挟まれる不利がありながらも、上がり1位で伸びて、5着した。

ルメールは「初メテノ1200デ、馬ガ少シ戸惑イマシタ。デモ次ハ、大丈夫デ〜ス」とは言わなかったようだけど、「ポテンシャルノ高イ馬デスシ、スムーズダッタラ、勝テテイタト思イマス」とコメントしていた。

ドバイでワールドワイドなレースがあるというのに、Mデムーロはドゥラメンテでもって世界に挑もうというのに、ルメールは日本の高松宮でアルビアーノに騎乗する。去年の暮れの香港国際競走にMデムーロは赴き、ルメールは阪神JFでメジャーエンブレムに騎乗した。そして阪神JFを勝った。このときと同じだ。

「次ハ、大丈夫デ〜ス」とは言わなくても、次に勝つための騎乗だったことは明白だ。

キンシャサノキセキの初めての高松宮は5人気で2着だった。
その前走の阪急杯(芝1400)は2人気で5着だった。着差は0.6秒。追い込んで届かずだった。

アルビアーノはオーシャンSを1人気で5着。着差は0.5秒。追い込んで届かず。
高松宮の予想オッズは4、5人気だ。

うむ、血統は違うけれど、3歳時の成績、高松宮に臨むにあたっての前走成績……
キンシャサに似ているとは思ったけれど、ますますキンシャサに似ている気がしてきた。
もはやアルビアーノからは逃れられない。でないとオーシャンSでの「はじまり」が「はじまり」でなくなってしまう。

っていうか、ノーザンFが、ディフェンディングチャンピオンとして出走する予定だったエアロヴェロシティを迎え撃つために準備してきた馬がアルビアーノだと思っていた。そのためのルメール確保だと。だもの、当然注目だ。

エアロが回避してしまったのは残念だけど、エアロという目標物を失ったからといって、迷走してしまうタイプの馬でも騎手でもないはず。

名古屋と香港はエアロの勝利で、接近遭遇してきていると思っていたので、今年も好走すれば(好走すると思っていた)、名古屋と香港の距離がさらに縮まって、ドバイを向こうに回し、芝の1200(ドバイはダート1200と芝1000)は高松宮という流れがもっと加速する?とも思っていた。それゆえにエアロ回避は残念でならない。

エアロヴェロシティがいないからというわけではないけれど、アルビアーノ同様に気になる馬がもう1頭いた。同じ4歳牝馬のレッツゴードンキだ。

レッツゴードンキは外国産馬でも、吉田和美氏の馬でもないけれど、また、クラシックへの未練はアルビアーノ以上に感じられたけれど、マイルチャンピオンS、阪急杯の走りを見ていたら、アルビアーノ同様に気になり始めてしまった。

レッツゴードンキ
マイルチャンピオンS 6着(0.5差)
阪急杯        6着(0.2差)

アルビアーノ
マイルチャンピオンS 5着(0.3差)
オーシャンS     5着(0.5差)

キンシャサノキセキ
マイルチャンピオンS 5着(0.5差)
阪急杯   4着(0.2差)
高松宮   2着(クビ差)
(阪急杯・高松宮は最初の挑戦時のもの)

6着・6着のレッツゴードンキ
5着・5着のアルビアーノ

マイルチャンピオンだけを見ると、レッツゴードンキはアルビアーノよりちょっと弱いように思えるけれど、マイルチャンピオンや阪急杯での着差を加味すると、キンシャサっぽさは感じられる。そもそも桜花賞馬だし、引っかかり癖のある馬だし、昨秋〜直近までの走りを見ると、距離が短いほうが、着差も縮まってるし。

秋華賞  2000 着差2.9
ローズS 1800 着差0.7
マイルCS1600 着差0.5
阪急杯  1400 着差0.2

1F約0.2秒。「-1F」で「-0.2秒」。
1200なら着差0.0秒で勝負できる!?
だったら高松宮でも勝負になる!!

我ながら短絡的だ。
いや、実にシンプルだ。

むふ。シンプルって書くとまっとうな気がする。
もちろん人気があれば、それだけじゃ心配だけど、人気がないなら短絡的いやシンプルでいい。予想では10人気以下だ。ひゃっほー!シンプル一直線だ!

桜花賞までは素質で勝ち負けしていただけで、実は1200でこその馬でした。そんなシンプル、プルプルな着地に期待だ。

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高松宮記念注目馬
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アルビアーノ
レッツゴードンキ

高松宮は4人気までの馬が強い。ず〜っと1着している。
過去10年、いや1200のG1になった過去18年で17回1着している(17年前に8人気のマサラッキが勝ったのみ)。中京競馬場がタフに改修された12年以後もずっと1〜4人気の馬が1着している。

つまりアルビアーノとレッツゴードンキが4人気以内に入ったら1着を期待し、4人気以下なら、そこから1〜4人気の馬へ流せばいいということだ。

なんか簡単だな。でもこれでいいのだ。
今年の高松宮はキンシャサのボウレイを追いかけると決めていたからだ。

ボウレイと書くと、幻想に思えてくるけど、世迷い言系な自分にはちょーどいい。
直系馬主のアルビアーノを表のボウレイとして、非社台系のレッツゴードンキを裏のボウレイとして合わせてみると収まりがいい(気がする)。2頭ともに4歳牝馬で、騎手はルメールと岩田で、表裏的なバランスも悪くない。

2頭の牝馬はキンシャサにのって。おっさんはキンシャサのボウレイにのって。そんなところだ。
のれるかな?のれるといいな。

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日経賞注目馬
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アルバート
有馬記念1着2着4着ホースが出てくれそうな関係で、有馬記念11着のアルバートの人気が4人気で落ち着きそう。
有馬記念の中山2500は中山経験の浅いアッゼニには酷だったとすれば(初騎乗だった)、ルメール騎乗で期待度は上がる。仮に有馬にもステイヤーズで圧勝に導いたムーアが騎乗していたらどうであったろう?そういうことを加味すると、今回本当に4人気ならば、おいしい人気にも思えてならない。

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毎日杯注目馬
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注目馬
アーバンキッド
ディープエクシード

アーバンキッドの騎手は石橋脩。前走はFベリー。
外国人騎手が乗っていた馬に石橋脩って、悪くない気がしている。京成杯を7人気で2着したケルフロイデ(前走Mデムーロで4人気5着)に脳内が支配されすぎているのかもしれないけれど、人気も落ち着きがちで、買いやすくなる。アーバンキッドは前走アーリントンでは1人気だったのに今回は予想5人気だ。

ディープエクシードは前走480キロ。
今年の3歳世代のディープインパクト産の牡馬は470キロ以上で強い。重賞勝ち馬はみんな470キロ以上だ。470キロ以上あれば絶対勝てるわけではないけれど、470キロ以上ないと勝ててないのも事実だ。スプリングSを勝ったマウントロブソンも470キロだった。
ディープエクシードは同じディープインパクト産駒で、人気のレプランシュよりは確実に大きそうだし、同じディープインパクト産駒で同じくらいの人気で、同じくらいの大きさのドゥオーモよりもキャリアがある。

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競馬専門誌・競馬王の元本紙予想担当。今は競馬王その他にて、変な立ち位置や変な隙間を見つけて、競馬の予想のようなものを展開中のニギニギ系。 著書はなし。最新刊「グラサン師匠の鉄板競馬 最前線で異彩を放つ看板予想家の鉄板録」に再び間借りして、4年ぶりに全重賞・根多の大百科的なものを執筆。

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