クラシック出走にこぎつけた各馬
ただひたすらに坦々と大道を行くが如しであれば、こんないいことはない。そうはいいかねる日々があまり多いから、嶺あり谷ありがあるのが人生と、当然の如く思っている。峠を越えればまた峠、仰ぎ見つつもただ登り続ける。息をついても、やはりそれしかない。しかし、それだけだろうか。心眼をひらいていくうちにもっと異なる心境になっていける筈だ。起伏の連続としか見ていなかったことが、実は、それも含めて坦々と続いていく大道なのだと。全てを承知してひたすらわが道を歩む、それしかない。あるのは懸命な思いだけ。ひとつ乗り越えた心境、そこに到達できれば、この先を照らすことが出来る。
クラシックレース出走にこぎつけた若駒たちの中の多くが、こんな思いではないか。皐月賞戦線では、きさらぎ賞を勝って3戦3勝のサトノダイヤモンド、同じく3戦全勝の弥生賞馬マカヒキに2歳チャンピオンのリオンディーズは、ただひたすらに大道を歩んで決戦のときを迎える立場と言っていいが、スプリングステークス組のマウントロブソン、マイネルハニー、ロードクエストは、嶺あり谷ありの起伏を体験してここに辿り着いたと言える。
道中、もっとスムースだったらもっとはなして勝てていただろうとマウントロブソンのシュタルケ騎手は語っていたが、2着、3着がクビ、クビの大激戦、それぞれに各騎手の執念がこもっていた。あったのは懸命な思い、そして全てを承知してひたすらわが道を歩み、この先を照らす姿だった。メンコをつけて落ち着きの感じられたマイネルハニーはクラシック登録がない。2着で大舞台の出走権利を得たが、追加登録をするかどうか。ここまで登りつめてきたという達成感はあるだろう。3着のロードクエストは初めて手綱を取った池添騎手は、いかにも大事をとった騎乗ぶりで、次は久々を戦った効果をみせる可能性は高い。出走権を得るという目的を達成し次なる一歩へと、それぞれの道を見据えている。さらにはアドマイヤダイオウなどの若葉ステークス組に、ハートレーなどの賞金獲得組など、懸命な思いで出走にこぎつけたものなど。
自分の人生と見くらべ、共鳴できるものを選ぶか、大道の理想を行くものにするか、静かに決断を下したい。