▲日々一緒に過ごしてきたローレルベローチェと初GIに挑む中井裕二
高松宮記念で多くの有力馬に混じって、あるコンビがGIに初挑戦する。ローレルベローチェと騎手・中井裕二。気性に若さが残る馬と、勝ち鞍が減りつつあった若手騎手は、1年前に出会えたことで、毎日が大きく変わった。調教もレースも日々一緒に過ごし、互いを補い合う1頭と1人のコンビに注目した。(取材・文:大恵陽子、写真:榎田ルミ、大恵陽子)
OP特別で見せたガッツポーズの意味
1月9日、京都競馬場のメインレースは淀短距離S(OP、芝1200m)。ローレルベローチェが見事な逃げ切り勝ちを収めた。
まるでウイニングランのように、ゆっくり歩いて検量室前へと帰ってくると、馬上の中井裕二は両手を大きく天に突き上げ、くしゃくしゃの笑顔で喜びを爆発させた。
「やりましたっ!!」
▲3連勝でオープン特別の淀短距離Sを快勝
▲馬上の中井は喜びの笑顔を見せた
グレードのつかないオープン戦で、GIのような光景が広がった。このガッツポーズの裏には、これまでのローレルベローチェと中井の地道な努力があった。
中井が初めてローレルベローチェに跨ったのは、2015年1月25日の4歳以上500万下(中京、ダ1200m)。
「すぐ怒る馬やなって印象でした。いい意味で気持ちのオンオフがハッキリしていて、返し馬の時からスイッチが入ったらどこまでも走って行きそうな感じがしました。気持ち自体はいいものを持っているけど、体がまだついてきていなかったので、ここまでトントンと勝つとはあの時は思っていませんでした」
気性面で難しさのあったローレルベローチェ。当時担当していた調教助手の飯田哲矢は「調教からレースまでずっと続けて乗ってくれる騎手がいいのではないか」と、父であり調教師の飯田雄三に相談。頭に浮かんだのが競馬学校時代から親交のあった中井だった。
中井がデビューしたのは2012年。1年目に23勝を挙げ、同期の菱田裕二とともに「ダブル裕二」と呼ばれ注目を集めた。翌2013年は37勝を挙げたものの、この年の夏に所属厩舎を離れフリーになった影響から2014年は11勝と大きく勝利数を減らしてしまった。