半端なく迫力満点の動きだったビッグアーサー
今週の栗東は22日が全休日の関係で、24日に追い切りが集中。もちろん高松宮記念の出走予定馬に関しても、23日ではなく、24日の最終追い切りがほとんどでした。にもかかわらず、美浦所属の高松宮記念出走予定馬の最終追い切りは23日。これに疑問をお持ちの方もいると思うので、少し解説させていただきます。
22日の坂路調教のデータを見ていただければお分かりだと思いますが、全休日にも関わらず、美浦所属馬は調教を行っています。これは高松宮記念を含む、特定のレースに出走を予定している馬は翌日が「全休明け」にならないように調教してもよいですよ、という意味。美浦所属馬が中京や阪神でレースを使う場合に前日以前に輸送しなくてはいけないので、そのあたりを考慮すると、少しでも早目(つまり通常通り)に追い切った方がよいでしょうということ。
でも、これは栗東所属馬が日経賞などを使う場合にも起こりえることですが、栗東所属馬に関しては22日に調教したのは地方交流競走を使う馬のみ。このあたり、月曜日までレースを開催するのであれば、もう少し融通の利いた調教日程にすべきではないかと思いますし、実際に現場からはそういった声が出ています。
【高松宮記念/ミッキーアイル】
昨年の今時期。ハナに行かない競馬をするため、追い切りもCWを利用するなど、調教にいろんな工夫をしていましたが、今年は前走のレースでハナを主張したように、スピードに任せて結果を求める方針に切り替えました。実際、NHKマイルCを含めて、そのパターンで結果を残してきたわけですから、この調教内容には個人的に大賛成。
その結果が最終追い切りで自己ベストを更新する坂路4F49.7秒。前走時マークしたベスト時計を更新してきたわけですから、今が一番スピードに特化した調教を行っているといってよいでしょう。これで1200mを使えば、今後は1400mすら長くなってしまう可能性もあると思いますが、そこまでして調教したかぎりは結果を求めたいところでしょう。
スピードに特化した調教を行っているミッキーアイル(3月15日撮影)
【高松宮記念/ビッグアーサー】
前走シルクロードS時は中間の調教を見ていても、変な気負いがあって、うまく追い切りを進めていけない、そんな印象を受けていました。しかし、前走負けたことで一旦リフレッシュ放牧に出し、立て直しを図ったことで、この馬本来の動きを見せるようになったと思います。
むしろ、これまで以上の素晴らしい状態だと感じたのが、3月16日の1週前追い切り以降。ここで4F49.5秒という時計を意図的に出し、究極の仕上げを目指してやってきました。最終追い切りの理想は「全体が52秒くらいで、終いの1Fが一番速くなって12秒くらい」と藤岡健一調教師。私もそうなるだろうと思っていましたが、3F目が驚愕の11.4秒で、最後の1Fは失速する形。ここは予定と違っていたようですが、その加速力は半端なく迫力満点の動きでした。
加速力は半端なく迫力満点の動きだったビッグアーサー(3月23日撮影)
【高松宮記念/ハクサンムーン】
スプリンターズS12着後は早々にオーシャンS、高松宮記念というローテーションを発表。さすが古馬といった貫禄の調整で、前走は2着と結果を残し、中2週で4回目の高松宮記念出走となります。これまで3着、5着、2着という結果ですから、そもそも大崩れするとは思えませんが、昨年の最終追い切りは4F51.8秒、1F12.2秒とかなり速い時計をマークしていました。
ところが、今年は前半からゆっくりしたラップで、4F54.3秒、1F12.2秒。前走時の状態が昨年とは違うということもあるのでしょうし、それを示すように、前走のオーシャンSは前半3F32.7秒で飛ばしており、これは過去4回のオーシャンSで最も速いラップ。決して衰えがあるとは思えませんが、全体時計が遅い点は2014年5着時の4F55.2秒に似たところがあるだけに、少し気になるというのが最終追い切りからの感想です。
全体時計が遅いことが少し気になるハクサンムーン(3月17日撮影)
【高松宮記念/ウリウリ】
中4週の中京芝1200mという条件はCBC賞と同じ。当時は1週前追い切りを坂路で行い、最終追い切りはCWでしたが、今回も全く同じ。付け加えると、左回りになる日曜日のCWでラスト1Fを伸ばす調教をやっているのも当時と同じなので、ここを目標にきっちりと調教を消化してきたという印象を受けます。
そのあたりは前走時の追い切りともリンクしていて、前走は1週前追い切りの坂路があまり速い全体時計ではありませんでした。そして、最終追い切りが一杯に追う内容。明らかに本番に向けてのレースだったのではないでしょうか。今回は1週前追い切りを坂路で自己ベストの4F時計。そして、最終追い切りは馬なりで併せ馬にも先着。状態に関しては申し分ないはずです。
状態に関しては申し分ないウリウリ(3月15日撮影)
【高松宮記念/エイシンブルズアイ】
2歳で新馬勝ちしたように、早くから素質の高さを期待されていた馬。3歳ではマイル路線を席巻するのではないかと思っていましたが、5歳になってスプリント重賞を制覇。結果的にスプリントのG1をチャレンジすることになりましたが、前走の勝ちっぷりが鮮やかなので、それも当然だろうと思います。
中2週ということで、調教に関しては緩すぎず強すぎず。24日の追い切り直前、馬場入り前に写真を撮影しましたが、凛々しい表情を見ていると、ここも突破しそうな面構え。坂路ではラスト1Fが最速になるラップをマークしており、状態に関して心配することはありません。あとは中京の重たい芝に対応できるかどうか。中京を経験していない点が気になるくらいです。
状態に関して心配することはないエイシンブルズアイ(3月24日撮影)
◆次走要注意
・3/19 若葉S【ノガロ】(3人/4着)
道中で外を回され、スムーズなレースができなかったことが敗因だと思いますが、最終追い切りの坂路で4F時計の自己ベストを更新したように、徐々に長い距離には対応できないスピードが前に出ているのではないでしょうか。
個人的にはマイル路線に変更した時に狙ってみることにします。
[メモ登録用コメント] [芝マイル]最終追い切り坂路4F52秒以下なら勝ち負け
・3/20 スプリングS【ミッキーロケット】(2人/5着)
2400mを使ったことがあるし、今回もメンバー最速上がりをマーク。距離を短くする必要はないと思われるかも知れませんが、この距離だからどうしても後方からの競馬になるという見方もできると思います。
この馬もノガロ同様、坂路4F時計でのスピードが前面に出てきたので、マイル路線の変更がひとつのきっかけになると考えています。
[メモ登録用コメント] [芝マイル]最終追い切り坂路4F52秒以下なら勝ち負け
◆今週の追い切り特報
・毎日杯【スマートオーディン】
1番人気になることを承知の上での推奨。とにかく、今回は攻める追い切り内容で、前走の着順を払拭するつもり。これだけ動ける状態になって、レースでどんな走りを見せるか。ここはマツクニ流の復活劇に期待しています。