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意地と貫禄

  • 2004年08月23日(月) 18時49分
 8月18日、大井「アフター5スター賞」。ハタノアドニスが古豪の意地と貫禄で連覇を飾った。絶好のスタートから迷うことなく先手必勝。前3F35秒4、スプリント戦としては楽なペースで、直線並んできたトミケンマイルズを二の脚、三の脚で突き放している。同馬はJRA在籍時を通じ37戦12勝、重賞6勝目。先週記者は当欄で“世代交代”をテーマとしたが、終わってみれば古くからの競馬格言、「もう(限界か)は、まだ(健在)…」を絵に描いたような結果となった。「ミスなく乗れるように気をつけた。実績のある馬だからホッとしてます」(早田騎手)。「ここはどうしても勝ちたいと思っていた。この子(アドニス)は競り合ってから強いんだよ」(高橋三郎調教師)。今後は9月29日「東京盃」目標だが、馬の状態を見つつ9月8日浦和「さきたま杯」をはさむプランもある。

アフター5スター賞(サラ3歳上 別定 南関東G3 1200m梢重)

○(1)ハタノアドニス   (57・早田) 1分11秒7
◎(2)トミケンマイルズ  (57・張田) 首
△(3)ブラウンシャトレー (57・石崎隆) 2
▲(4)カセギガシラ    (55・内田博) 2
 (5)コアレスフィールド (57・佐藤隆) 3
………………………………………………
 (6)アイディンワンダー (57・白田)
△(12)ブルーオオマサ   (55・山田信)
△(16)ザブレス      (53・的場文)

単400円 馬複370円 馬単1060円
3連複660円 3連単4240円

 ただし、1分11秒7の時計。ごく客観的には“凡戦”という見方も出るだろう。アドニスは昨秋このレースを10秒8で勝ち、以後東京盃10秒6、JBCスプリント10秒0、レコードに近いレベルで走っている(当時1190m)。今回明らかにそれ以下の内容で、しかし勢いにあふれているはずのトミケンマイルズが、現実に最後の最後差し返された。「道中の行きっぷりからして鈍かった。使い込んで少し疲れがあるかもしれない」(張田騎手)。8歳対4歳、若さが上回るとみたのは、凡庸な予想者の先入観でもあったのだろう。もう1つ、トミケンマイルズの距離適性について。後続を持ったまま5馬身ちぎり、あれだけ強かった前走サンタアニタトロフィー。少し息が入る1600mの方に、よりフィーリングが合うかもしれない。

 ブラウンシャトレーはテンから追い通しの追走で、結果3着なら地力の証明。4ヶ月ぶりも考えると次走上積みが当然見込める。ただ同馬の場合、秋の目標をどう絞るか選択が難しい。スプリントでは忙しく、クラシックではひと息長い。昨年も書いたこと。JBCにもう1部門、“マイル”がやはり不可欠だろう。カセギガシラは好位キープから突き離され、2キロもらった斤量からも力負けは否めない。コアレスフィールドが格と距離適性で入着した。逆にいえば、南関のスプリンターが順調に育っていない。おやおやと感じたのは、ステイヤーのはずのアイディンワンダーが、道中素晴らしい行き脚で先団に迫ったこと。ここを使った意図はともかく、状態は再びピーク。本当は2300m「ブリーダーズゴールドC」でその真価が見たかった。JRA馬相手でも善戦のイメージがある。

      ☆     ☆     ☆

 2歳馬情報。先週当欄で、川崎・ミライ(父トーヨーリファール)を現時点のイチ推しと報告したが、19、20日の大井競馬、デビューした新馬はなかなかレベルが高かった。将来性も含め期待できそうな2頭を紹介しておく。

・ラストチャンピオン(牡、高橋三郎厩舎、父アジュディケーティング、その父ブライアンズタイム)1000m1分01秒9

・ジョイフルヘイロウ(牡、荒居貴美夫厩舎、父キングヘイロー、その父Woodman)1000m1分02秒6

 ラストチャンピオンは青鹿毛の496キロ。堂々とのびやかな馬体で、とにかく見映えがする馬だ。好スタートからいったん下げる形で、直線大外を一気の差し切り。レースぶりもほぼ満点がつけられる。「まだ強い調教をしていないし、1度使ってからと思っていた。フットワークがとにかくいいね」(高橋三郎調教師)。スピードに乗って重心が沈む、いかにも走る馬…という脚さばき。父アジュディケーティングより、むしろ母系のブライアンズタイムが強く出ているかもしれない。高橋三郎スタッフが大事に育てていくことになるだろう。ここまでの大井デビュー馬ではNo.1の大物感がある。

 ジョイフルヘイロウは能力試験でさして目立たず、しかしいざ実戦で一変した。道中後方から2番手、モタつき気味にみえたが、直線大外に持ち出すと豪快に伸びてきた。時計、着差以上の勝ちっぷり。463キロ、柔らかみのある馬体で、何より内面(心臓)がいいのだろう。父キングヘイローはご存じ高松宮記念を勝った新種牡馬。芝、ダートを問わず、切れる短〜マイラーを輩出していきそうだ。こちらも次走に夢が大きい。

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日刊競馬地方版デスク、スカイパーフェクТV解説者、「ハロン」などで活躍。 恥を恐れぬ勇気、偶然を愛する心…を予想のモットーにする。

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