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同期の中で一番最初に初勝利を挙げた木幡巧也騎手
木幡巧也騎手「同期の中で一番最初に初勝利したいって思っていたので嬉しいです」
赤見:まずは初勝利(3月27日中山1R)おめでとうございます。
木幡:ありがとうございます!一つ勝てて本当にホッとしました。自厩舎(牧光二厩舎)がたくさん乗せてくれているので、「早く結果を出さなきゃ!」という気持ちが強くて。だから本当に良かったです。プレッシャーっていうのはなかったんですけど、焦りはかなりありました。自厩舎の馬で初勝利ができてすごく嬉しいです。
赤見:レースは2番手から運びましたが、直線は柴山雄一騎手との叩き合いになりましたね。
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柴山騎手(外)との叩き合いを制して初勝利を挙げた木幡巧也騎手(撮影:下野 雄規)
木幡:直線でいったん柴山さんが出ていたので、「うわ〜やばいな」と思いながら乗っていたんですけど、追っていたら馬ががんばってくれて、本当に馬に助けられました。かなり必死で、叩いて叩いてみたいな感じで。アタマ差で勝てて本当に嬉しいです。
赤見:自厩舎の牧先生は、デビュー初週からかなり騎乗馬を用意してバックアップしていましたね。
木幡:本当に有難いです。だからこそなおさら結果を出さなきゃいけなかったんですけど、それが今やっと勝てたので良かったです。牧厩舎に入れたのは父(木幡初広騎手)との縁が大きかったと思うんですけど、熱くて厳しい先生で、でもすごく深い愛情があって。先生だけじゃなくてスタッフも皆さん温かくて、本当にいい環境にいさせてもらってます。早く成長して恩返しがしたいです。
赤見:初勝利を挙げたと思ったら、同じ日の第3レースで再び牧厩舎の馬に騎乗して勝利! やはり一つ勝ったことは大きかったですか?
木幡:大きいですね。精神的な面が相当大きいと思います。だいぶ楽になりました。3レースに乗せてもらった馬もすごくチャンスのある馬だったので、結果を出すことができて嬉しいです。前回脚を余して負けてしまったので、その経験が今回活きたのかなと思います。ただ、デビューしてから「勝てない勝てない」と焦っていたので、2勝目を挙げた時は、なんか、「あれ?」って感じでした。一日2勝もさせてもらって、滅多にできることじゃないのでありがたいです。このまま波に乗りたいですね。
赤見:実際に騎手としてデビューしてみていかがですか?
木幡:想像はしていましたけど、やっぱり現実は厳しいです。勝負の世界ですから、甘くないですね。まだまだ未熟なところがあって、先輩ジョッキーたちにたくさん迷惑を掛けているので、早く技術的に成長して追いつきたいです。これからも向上心を持って、しっかり技術を磨いていきます。
赤見:勝ったレース以外で、特に印象に残っているレースはありますか?
木幡:先週土曜日の1レースです(3月26日中山1Rライムチャン2着)。あれは勝てるレースだったんですけど自分が溜めすぎてしまって…。枠も良かったし、すんなり逃げられたんですけど勝負所で追い出すのに溜めすぎてしまったんです。ものすごく悔しかったですし、先生からも怒られました。反省しています。
赤見:お父さん(木幡初広騎手)やお兄さん(木幡初也騎手)からは何か言われましたか?
木幡:父はレースが終わったあとに一緒にパトロールビデオを見て、「もっとこうすれば良かったんじゃないか」って随時教えてくれます。自分がジョッキーを目指すことになったきっかけの尊敬している騎手なので、これからも父にいろいろと馬乗りのことを聞いて行きたいです。兄はまだ今年は1勝で、僕もそうですけどどちらもまだ未熟なので、切磋琢磨して一緒に上に上れたらなと思っています。
赤見:家族がライバルというのも、なかなかない関係ですね。
木幡:そうですね。下の弟が競馬学校にいて来年デビューする予定なので、身近なライバルがさらに増えることになります。今は自分のことで精いっぱいなのでそんなに意識はしていないですけど、いつか家族4人でレースに乗るのが夢です。その時はもちろん自分が勝ちたいです!
赤見:お父さんの背中は偉大ですか?
木幡:偉大ですね。昔より大きく見えます。実際にデビューしてみてその偉大さをより感じるようになりました。競馬の流れとかまだまだ全然わからないので、父には長年積み重ねた経験があるので、そういうのを盗めたらと思います。
赤見:お父さんやお兄さんと比べられてしまう面もあると思いますが。
木幡:当然ありますけど、そこはがんばるしかないです。「やっぱり兄貴の方がいいな」って言われても、聞こえないふりしてます。そういうのを気にしてたらレースなんてできないので、強気でいきます!
赤見:ちなみに、デビューから4週経ってすでに賞金が入ったと思いますが、何か買いましたか?
木幡:家族にご飯をご馳走して来ました。両親と弟と一緒にしゃぶしゃぶに行ったんです。父は競馬の時はいつも怖い顔をしていますけど、そういう時はニコニコですよ(笑)。
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すでに入った賞金で家族に食事をご馳走した木幡巧也騎手(撮影:下野 雄規)
赤見:同期にはJRAとして16年ぶりの女性騎手デビューとなった藤田菜七子騎手や、菊沢隆徳調教師のご子息である菊沢一樹騎手もいて、大きな注目を集めていますね。
木幡:注目していただけることは、騎手としてとても嬉しいです。ただ、僕自身は二世とかそういうことはまったく気にしていないですね。デビューしてしまったら二世とか関係ないし、同じ舞台で戦うので。僕は留年しているから、今の同期と過ごした時間は短い間だったんですけど、その中では仲良くやっていけたのかなって思います。若干やっぱり1個上っていうのはあって、気を使ったり使われたりもしましたけど。僕、精神面は強い方なんですよ。心臓に毛が生えてるっていわれるくらいで(笑)。デビューしたら同期の中で一番最初に初勝利したいって思っていたので、まず一つ目の目標をクリアできて嬉しいです。
赤見:では、今後の目標を教えて下さい。
木幡:向上心を持ちつつ実績を積んで行って、馬主さんや厩舎スタッフ、ファンの皆さんに感謝の気持ちを忘れないで、新人らしくがむしゃらに追っていきます。信用と信頼を得られるジョッキーが一番だと思うので、そのためには勝ち続けないといけないじゃないですか。ジョッキーとして、一人の人間としての気持ちをどんどん高めていって、立派な人になりたいです。