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POG取材、ピーク

  • 2016年03月30日(水) 18時00分
ポイントフラッグ14

浦河では先週木曜日(24日)の吉澤ステーブルに最も多くの取材陣が集まった(写真はポイントフラッグ14)


競馬に関心を持ってもらうきっかけとしてPOGはひじょうに面白い存在



 今年のPOG取材は、3月21日(月)の週から始まり、今週は二週目になるが、目下のところ進捗率はほぼ半分といったところではなかろうか。

 各社とも、先週初めから取材チームが北海道入りし、馬産地に滞在してスケジュールを組み、各育成牧場を回るという流れは例年と変わらない。大手になればなるほど合同取材になるのはいつもの通りで、浦河では先週木曜日(24日)の吉澤ステーブルに最も多くの取材陣が集まった。

 午前8時に取材陣が集合し、まず点呼をとる。各社が揃っているかどうかが確認された後、牧場スタッフより撮影馬(取材対象馬)リストが配布される。

 今年、吉澤ステーブルの一覧表に掲載されているのは全部で24頭である。BTC(軽種馬育成調教センター)界隈随一の規模を誇るだけあって、名血馬も多い。ディープインパクト産駒だけでも6頭を数える。

 牧場側は、馬主や調教師ができるだけ偏らないように配慮するため、ディープインパクト一色というわけでもない。その他種牡馬では、キングカメハメハ、キングズベスト、ステイゴールド、マンハッタンカフェ等の名前が目につく。またサウスヴィグラス、スクリーンヒーローなどというのもいる。

 吉澤ステーブルでは、ここ数年、立ち写真の撮影と各馬へのコメント取材が、同時進行で行われる。1頭ずつスタッフに引かれてきた馬が、所定の位置に立ち、撮影を終えるまでの間に、一方で別のスタッフを取り囲む形で、各馬の調教進度や特長、性格、移動予定時期などについての取材を進めて行くのだ。

 馴致の行き届いているこの牧場では、立ち写真もほとんど苦労することなく撮影できる。大暴れするような馬は皆無で、多少行ったり来たりし、やや落ち着かないようなしぐさを見せるだけで、概して従順である。

 牧場の撮影スタッフもベテランならば、馬もまた撮られ慣れている、とも言えるだろう。

 やはりこれは場数をどれだけ踏んでいるかで決まる。馬の立ち写真は左向きが基本なので、タテガミを右側に倒し、場合によってはガムテープで固定するというような配慮も必要になる。細かな気配りをしてもらえるかどうかによって、立ち写真の馬の印象はかなり大きく変わるので、自然に牧場による差が出てくる。

 この日は幸いにも朝から好天微風に恵まれて、取材日としては理想的な日であった。先週はずっと冬型の気圧配置になったため、気温は低めで天候の変わりやすい不安定な一週間だったが、この日は太陽光線が確保できて、撮影は至って順調に進んだ。概ね撮影は2時間余で終了し、それと同時にコメント取りも終わって、牧場を辞したのは午前10時半であった。

 割り算すると、120分で24頭を撮り終えたことになり、1頭当たりの所要時間は平均5分である。このペースで撮影が進むとひじょうに楽だが、牧場によってはそう簡単に進まないところもある。また天候急変によって、撮影を中断せざるを得ない場合も出てくる。その時、その時によって進捗状況が大きく変わるのは言うまでもない。

 しかし、概して生産地でのPOG取材は、どの育成牧場でもきっちりと対応してもらえており、それだけPOGに対する理解が進んできているということだろう。

 そして、各媒体とも、この時期に一斉に取材を敢行し、概ね5月連休前後に揃って関連本を出す流れが定着している背景には、総じて紙媒体全体が苦戦しつつある中で一定部数を計算できる刊行物になっているからである。

 個人的には、POGの盛り上がりは、決して悪いこととは思わないものの、そこだけが突出してしまうのは如何なものかとは感じる。だが、まずはどんな切り口であれ、競馬に関心を持ってもらうことから始まるわけで、そのきっかけとしてPOGはひじょうに面白い存在と言えるだろう。

 吉澤ステーブルには、今年から種牡馬となったゴールドシップの全妹(ポイントフラッグ14)もリストに上がっていた。兄とは違う毛色の牝馬で、いかにもステイゴールドらしい体型とメンタルの持ち主に見えた。偉大な兄の全妹というだけで、必要以上に注目を集めてしまうのはややかわいそうな気もするが、それだけ期待もまた大きいということでもある。いつ頃デビューし、どんなレースをするのか見守って行きたいと思う。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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