「まだよくなる余地はあるのでこれから楽しみ」
中央時代は芝とダートの1400m以下のレースで4勝を挙げたテムジン。栗東の松永幹夫厩舎と美浦の田島俊明厩舎に所属し、最終的には準オープンクラスで走りました。
今年に入ってから南関東のリーディング・小久保智厩舎(浦和)の一員として再出発をし、負けなしの3連勝中です。1200m、1400m、1600mと全て違う距離を、中団から最後にしっかり差し切る内容。
3月15日の大井のレースで笹川翼騎手を背に優勝
3戦ともコンビを組んでいるのは、南関東の若きエース・笹川翼騎手です。テムジンに乗った感触を聞いてみました。
「賢くてオンとオフがしっかりしている馬です。返し馬ではポケーッとして全然進んでいかないんですが、レースに行くとピリッとして馬が競馬を知っている感じですね。乗り味はすごくいいです。スタートセンスはありますが、行きたがるところはあるのでゆったり行かせるようにして、切れる末脚を生かしてきました。もっと上のクラスでもやれる手応えはあるので、楽しみな存在です」(笹川騎手)
担当の池田道男厩務員は、サトノタイガーでもお馴染みです。サトノタイガーも中央競馬から移籍し、JBCスプリントやカペラSで2着となり、スプリンター路線の地方競馬大将格に上り詰めました。
「(テムジンは)最初はどうなのかなって思いましたが、初めて追い切りをした時に、一変してこれだけ動くんだぁって驚きました。普段から大人しくて、無駄なことは一切しないし、手の掛からない馬です。まだよくなる余地はあるのでこれから楽しみにしています」(池田厩務員)。
気になる今後ですが、小久保調教師のお話しでは、他地区の地方重賞なども視野に入れていきたいそうです。これからさらにキャリアを重ねていって、どんな活躍をしていくのでしょうか。
3月15日の大井レース後、泥んこになりながらも一生懸命走りました
実は、テムジンに関したことでこんな出来事がありました。
浦和競馬の所属馬は、浦和競馬場から車で20分から30分ほどの所にある、埼玉県さいたま市緑区の野田トレーニングセンターで過ごしています。
レースの時はもちろんですが、場合によっては追い切りをする時も、野田トレセンから浦和競馬場へ移動して行うこともあります。
とある日、テムジンが浦和競馬場で最終追い切りを行いました。引き返してくると、近所の野球少年団のチビッコたちがズラリと勢ぞろい。
テムジンの追い切りが終わるのを柵の向こう側で待つチビッコたち
静かに見守るチビッコたち
浦和競馬場は競馬開催以外には市民憩いの場所として開放されていて、野球やサッカー、ランニング、犬の散歩、日向ぼっこや昼寝(笑)など、いろんな形で気軽に使用できるのです。
チビッコたちはこれから野球の練習をするために、テムジンの追い切りが終わるのを待っていました。個人的には、チビッコたちがテムジンを目の前にして、はしゃいで大声を出したらどうしようって……。
でも、心配は無用で、チビッコの1人から、『でっかい』という声はボソッと聞こえてきましたが、あとはみんな無言でかたまっていました(笑)。競走馬を間近に見て、その大きさに圧倒されたような雰囲気。それでも目はキラキラと輝かせながらテムジンを追っていて、この中から未来の競馬ファンが出てくれば素敵なことだなぁと、ほっこりしながら取材を終えました。
競走馬を間近で見て、チビッコたちもその大きさにビックリしたようです
地域密着・浦和競馬場、チビッコたちは元気に野球の練習を始めました
次回は5月2日(月)にお会いしましょう!