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仕上がり早のマル外良血馬ユウジ

  • 2016年04月20日(水) 12時00分
【2歳】
ガールズブランド(牝 栗東・目野哲也 父プリサイスエンド、母スマートアルテミス)
 父プリサイスエンドはエンドスウィープを経てフォーティナイナーにさかのぼる系統で、ダート向きの優れた資質を伝えて種牡馬として成功している。活躍の場は地方競馬が中心だが、中央のダートでもグロリアスノア(10年根岸S-GIII、10年武蔵野S-GIII)が重賞戦線で活躍した。配合的には「Mr.ProspectorとNijinskyを併せ持つ繁殖牝馬」と相性抜群。前出のグロリアスノアを筆頭に、ショウリダバンザイ(浦和桜花賞、ロジータ記念、道営記念)、スプラッシュエンド(OP)、ロラパルーザ(OP)、カフジテイク(OP)といった同産駒のトップクラスは、ことごとくこのパターンから誕生している。本馬はチューリップ賞(GIII)を勝ったジョーディシラオキの孫で、母の父キングカメハメハはMr.ProspectorとNijinskyを併せ持っているので成功パターンに当てはまる。ダート向きのマイラーだろう。

シゲルブルドッグ(牡 栗東・坂口正則 父シンボリクリスエス、母ハルワカ)
 母ハルワカはワカクモ3×4というユニークな牝馬クロスを持っている。ワカクモは現役時代に桜花賞を勝ち、年度代表馬テンポイント、障害の王者キングスポイントの母となったほか、子孫からワカオライデン、フジヤマケンザンといった名馬を送り出した名牝。このクロスが功を奏したのか、ハルワカの初子ハルサンサン(父サウスヴィグラス)は南関東公営で活躍し、TCK女王盃(JpnIII)を勝った。本馬はその半弟。父シンボリクリスエスは芝・ダート兼用タイプで、サクセスブロッケン、ストロングリターン、アルフレードといったGI馬を誕生させている。本馬は母の父がワカオライデンなのでパワー寄り。ダート向きの中距離タイプだろう。

スターオービット(牡 美浦・奥平雅士 父ネオユニヴァース、母カネトシコンサイス)
 母カネトシコンサイスは不出走馬だが、兄弟のアイアムルビー(準OP)、トーセンマイティ(準OP)、デヴァスタシオン(14年北海道2歳優駿-JpnIII・4着)はいずれもパワー型のダート馬として出世している。2代母CativaはバーバラフリッチーH(米G2・ダ7f)など米20戦10勝。パワー型のアメリカ血統で構成されており、その特長をしっかり伝えている。本馬は「ネオユニヴァース×Smarty Jones」という組み合わせ。父ネオユニヴァースは芝・ダート兼用タイプで、ゴールスキー、ガンジス、タカオノボルといったダートの強豪を送り出している。ダート向きのマイラーだろう。

メイトサン(牡 栗東・安田隆行 父ダイワメジャー、母ボシンシェ)
 2代母Hatoofは英1000ギニー(英G1)、英チャンピオンS(英G1)、ビヴァリーD.S(米G1)、E.P.テイラーS(加G2)など8つの重賞を制した名牝。これにKingmamboを付けて誕生した母ボシンシェは、現役時代にイギリスで2戦0勝ながら、繁殖牝馬としての期待は高い。これまでにデビューしたハイレベルバイオ(父マンハッタンカフェ)とグレンツェント(父ネオユニヴァース)はいずれも勝ち上がり、とくに後者は伏竜S(OP)で2着するなど現在4戦2勝という戦績で、ダート中距離路線での活躍が期待されている。本馬の父はダイワメジャー。代表産駒のカレンブラックヒル(12年NHKマイルC-GIなど重賞5勝)は奇しくも本馬と牝系が同じ(4代母がいずれもTananarive)で、母の父がMr.Prospector系。芝でもダートでもやれそうだ。

ユウジ(牡 栗東・森秀行 父War Front、母Satans Quick Chick)
 母Satans Quick Chickは現役時代、北米でレイヴンランS(米G2)など21戦5勝。初子のTricked Up(父Distorted Humor)はまだデビューしていないものの、昨年3月のファシグティプトンザフロリダセールで50万ドルの高値で落札された。本馬の父War Frontは現役時代にアメリカでダート6ハロンのG2を勝ち、G1で2着となった程度の競走馬だったが、種牡馬としてはAir Force Blue(カルティエ賞最優秀2歳牡馬)、Declaration of War(13年英インターナショナルS-英G1、13年クイーンアンS-英G1)をはじめ多くの活躍馬を送り出して大成功している。2016年の種付け料は20万ドル。今年から種牡馬入りした米三冠馬American Pharoahと同額で、トップのTapit(30万ドル)に次いで全米ナンバー2に相当する。War Frontは芝・ダート兼用タイプで、本馬は母が「Sky Mesa×Devil's Bag」なのでダート向きだろう。仕上がりは早く、スピードに恵まれているので、ローカルの短距離戦なら芝でも十分やれそうだ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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