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【的場文男騎手SP】大井の帝王に質問!(4)『自分が納得できること それが美しい引き際』

  • 2016年04月25日(月) 12時01分
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▲騎手仲間のこと、自身の引き際のこと、的場騎手の胸の内に迫ります。


今回が的場騎手のインタビューの最終回。まだまだたくさんの質問をいただいていますので、出来る限りお答えしていきます。今回のテーマは「騎手」。新人の藤田菜七子騎手、岩田康誠騎手との意外な関係から、騎手仲間では誰と仲が良いのかまで、知られざる騎手の世界をのぞいていきます。そして最後は「引き際」について。的場騎手の秘めた思いとは。(取材:赤見千尋)


(前回のつづき)

若手は「マトちゃん」岩田騎手は「師匠」


赤見 今回は、藤田菜七子騎手に関する質問から!

『誰もが聞きたいことだと思いますが、新人の女性騎手、藤田菜七子さんは私から見ても騎乗センスがすごく高いと思うんですが、騎手目線から見てどういう所がすごいのか、お話していただきたいです。 (しーさーさん・男性)』

的場 川崎デビューの日に一緒だったね。中央のレースビデオも見てるけど、新人であれだけ乗れればいいと思いますよ。頑張ってほしいね。まあでも、女性の騎手はやっぱり大変ですよね。競艇なんかは女性選手も多いけど、競馬はまだまだ男の仕事だから。そこで女性がやっていくにはよほどの根性がないとダメだし、相当な努力も要ります。あとは、長続きできるかどうかということ。

赤見 そこが一番難しいところですよね。

的場 大変だと思いますよ。そういう中で赤見さんは、高崎で7年も乗ってこられて、偉いと思います。大変ではあるけれども、女性が騎手になって、これだけお客さんが競馬場に足を運んでくれるのは最高にいいこと。あの日の川崎もすごかったし、赤見さんも高崎にだいぶ貢献したと思う。そうやって女性が競馬を盛り上げてくれるのはとてもいいことです。

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▲3月3日川崎でのデビュー戦、女性騎手の息の長い活躍を的場騎手は願っている(撮影:武田明彦)


赤見 続いては、的場騎手の交友関係についての質問です。

『的場騎手と仲良い騎手を教えてください! (ゲストさん・男性)』

的場 なんだかね、若い連中が慕ってくれるんですよ「マトちゃん」なんて言ってね(笑)。

赤見 えー! 大井の帝王に対して!

的場 うん。瀬川(将輝)とか早田(功駿)とか、あとは上田健人とかあの辺だね。みんな良い子だし、僕も若い子に対しては友達感覚だから。すごく気楽に付き合うから、向こうも気楽に寄って来るっていうのかな。僕のとこにしょっちゅう来るもんだから、「お前ら! そんなに寄って来るんじゃないっ!」って言ってね。イタズラをしてきたりもするんですよ。まったく(笑)。岩田なんかはね、僕のことを「師匠」って呼びますよ。

赤見 なんで師匠なんですか??

的場 なんでって思うでしょ? 僕も岩田に聞いたの、「なんで師匠なんだよ。内田には教えたけど、お前には教えてないぞ」って。そうしたらね、「僕は的場さんのレースビデオを見て勉強したんです。だから的場さんは、僕の師匠なんです!」って。

赤見 そういうことですか。いろいろな方面から慕われているんですね!

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▲「若手からがマトちゃん、岩田騎手からは師匠。いろいろな方面から慕われているんですね!」


辞めるときくらいは自分を褒めたい


赤見 ここからは競馬界や的場騎手の人生についての質問です。

『今の若手騎手について。技術的なものは良いものがあっても、勝負に対しての強い気持ちや執念みたいなものがベテラン騎手より薄いかなと感じます。的場さんから見てその辺りどうなんでしょうか? (ゲストさん・男性)』

的場 勝負に対しての気持ちは、ベテランも若手も一緒じゃないですか。勝つためにみんな、相当努力してますよ。だけど、これだけ騎手がいるものですからね。大井だけで30人以上、南関で言うともっといるわけで。何十人、何百人いる中で、トップはたった1人。みんなナンバーワンになりたいという一心で頑張っているんだけど、そう簡単になれるものではないですからね。

赤見 どんなスポーツでも、トップに立つというのは大変なことですね。

的場 そうなんです。ゴルフだって野球だって、トップ選手はほんの一握り。巨人軍だって、一軍二軍合わせて70人もいるんですよね。育成枠を含めたらもっと多い。その中でスタメンで出られるのはたった9人です。僕もその9人の中に入る気持ちで頑張っていて、若い騎手も同じように頑張っています。それに騎手の技術も、全体的に上がっているんじゃないですか?

赤見 そう感じますか?

的場 ええ。馬の質が上がってきたのと一緒。だって、ジャパンCだって最初のうちは、日本の馬がまったく歯が立たなくて、二流馬が来たってきれいに全部勝たれちゃって。だけど、日本人というのはすごく負けず嫌いだから、世界中の血統を取り入れて、お金もかけて、いまや日本の競馬は世界でもトップクラスです。はっきり言って、ヨーロッパやアメリカにも負けてないですよ。それと同じように騎手の技術も上がっている。トップになるのが1人2人だから目立たないだけで、若い騎手もみんな頑張っています。

赤見 若いパワーに対して、こんな質問が届いています。

『若い騎手と比べて、これは負けてない・負けられないことは何ですか? (umaxohさん・男性)』

的場 負けてないことは…もうなくなったね。若い子には負ける。ただ、「負けちゃいけない」っていう意気込みでは乗っていますよ。

赤見 その気迫が騎乗にも表れています。では、最後はこの質問で締めたいと思います。

『還暦というある意味人生の節目を迎えた今、この先目指すものは? (真田慶次さん・男性)』

的場 節目の7000勝というのは頭にあるんですけど、できるかどうかはわからない。ただ、この年になっても年間150近く勝たせてもらえて、それは何より関係者やファンの皆さんのおかげなんです。それは本当に感謝しています。

赤見 年間100勝以上をずっと続けてこられていて。これはものすごいことだと思います。

的場 まあ、この年だから「辞める時」は間違いなく近づいているんですけど、その時まで、自分にできることを精一杯やり切るのが美しいのかなって思っています。せっかくこの年まで騎手をやってこれたんだから、最後は自分が納得できるように。引き際っていうのは大事ですからね。自分のことは褒めたくないんですけど、辞めるときくらいは自分を褒めてあげようと思っています。本当は、自分に甘いことはしたくない性分なんですけど、「よくここまでやって来たな」って、そういう言葉を自分にかけてあげたいと思っているんです。(了)

おじゃ馬します!

▲たくさんの質問に本音で答えてくださった的場騎手。ありがとうございました!




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■TCKレーザーショー

東奈緒美 1983年1月2日生まれ、三重県出身。タレントとして関西圏を中心にテレビやCMで活躍中。グリーンチャンネル「トレセンリポート」のレギュラーリポーターを務めたことで、競馬に興味を抱き、また多くの競馬関係者との交流を深めている。

赤見千尋 1978年2月2日生まれ、群馬県出身。98年10月に公営高崎競馬の騎手としてデビュー。以来、高崎競馬廃止の05年1月まで騎乗を続けた。通算成績は2033戦91勝。引退後は、グリーンチャンネル「トレセンTIME」の美浦リポーターを担当したほか、KBS京都「競馬展望プラス」MC、秋田書店「プレイコミック」で連載した「優駿の門・ASUMI」の原作を手掛けるなど幅広く活躍。

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