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ついに登場!女傑ブエナビスタの初子コロナシオン

  • 2016年05月04日(水) 12時00分
アドマイヤエスパー(牡 栗東・橋田満 父ディープインパクト、母アゼリ)
 ロイカバード(16年きさらぎ賞-GIII・3着)の全弟。母アゼリは米24戦17勝、ブリーダーズCディスタフ(米G1)などG1を11勝した女傑で、米年度代表馬に選ばれただけでなく、すでに名誉の殿堂入りも果たしている。09年に米キーンランドのセールで吉田勝己氏が225万ドル(約2億225万円)で落札し、日本に連れてきた。アメリカ時代にWine Princess(13年フォールズシティH-米G2、12年モンマスオークス-米G3)を産んでいる。本馬の父はディープインパクト。実績のあるLyphardクロスを持ち、Mr.Prospectorやトライマイベストが入るパターンも悪くない。全兄ロイカバードを見ると若干晩成傾向はあるかもしれないが、高確率で走ってくるだろう。

ベルダム(牝 栗東・石坂正 父ディープインパクト、母ドナブリーニ)
 ドナウブルー(12年京都牝馬S-GIII、12年関屋記念-GIII)、ジェンティルドンナ(12、13年ジャパンC-GI、14年有馬記念-GI、14年ドバイシーマクラシック-首G1、牝馬三冠)の全妹。母はDanzigを経たNorthern Dancer 3×4という好パターン。Alydar、My Bupersを併せ持つのでミッキーアイルに似ており、「Danzig×Alydar」の母の父Bertoliniはサトノダイヤモンドが持つLureと同じ組み合わせ。馬体重は現在420kg台とのことなのでドナウブルーに近いタイプか。

ムーヴザワールド(牡 栗東・石坂正 父ディープインパクト、母リッスン)
 タッチングスピーチ(15年ローズS-GII、15年エリザベス女王杯-GI・3着)の全弟で、母はフィリーズマイル(英G1・芝8f)の勝ち馬。その全姉にモイグレアスタッドS(愛G1・芝7f)を勝ったSequoyah、血統構成がまったく同じ馬(父が同じで母同士が全姉妹)にオペラ賞(仏G2・芝1850m)を勝ったInsight、本邦輸入種牡馬サフロンウォルデンがいる。青葉賞(GII)を勝ったヴァンキッシュランと同じく母方にSadler's Wellsを持つディープインパクト産駒。Sadler's Wellsは欧州2400m向きなので鈍重なところを伝えるが、本馬は母方の奥にスピード豊かなアメリカ血統が詰め込まれているのでバランスが取れている。配合的なポテンシャルは高い。全姉が3歳秋に重賞を勝ったので完成は遅めとなる懸念はあるものの、その点をクリアできれば世代の中心馬となりうる素材だ。

コロナシオン(牝 栗東・池添学 父キングカメハメハ、母ブエナビスタ)
 母ブエナビスタは桜花賞(GI)とオークス(GI)の牝馬二冠に加え、ジャパンC(GI)、天皇賞・秋(GI)などGIを6勝し、年度代表馬に選ばれた女傑。2代母ビワハイジは阪神3歳牝馬S(GI)の勝ち馬で、ブエナビスタをはじめ6頭の重賞勝ち馬を産んだ希代の名繁殖牝馬。本馬はブエナビスタの初子となる。「キンカメ×スペシャルウィーク」はリオンディーズと同じで、Sir Gaylordが入る点も似ている。母ブエナビスタは競走馬として2代母ビワハイジを凌駕したが、繁殖牝馬としても名を残すとすれば、この配合から走る馬を出さないはずがない。いきなり大仕事をやってのけても不思議はない。

ミリッサ(牝 栗東・石坂正 父ダイワメジャー、母シンハリーズ)
 シンハライト(16年チューリップ賞-GIII)、アダムスピーク(11年ラジオNIKKEI杯2歳S(GIII)、リラヴァティ(15年福島牝馬S-GIII・2着)などをきょうだいに持つ良血馬。JRAで走った兄姉5頭はすべて勝ち上がっている。母方にGlorious Songを持つダイワメジャー産駒は実績のある配合パターン。なおかつきょうだいは牡も牝も関係なく走っている。本馬も結局は重賞クラスに出世していきそうだ。芝向きのマイラー。

アスティル(牝 栗東・池添学 父ステイゴールド、母ヒストリックスター)
 桜花賞(GI)、札幌記念(GII)など4つの重賞を制したハープスターの4分の3妹。父はディープインパクトからステイゴールドに替わった。母ヒストリックスターは不出走馬ながら、アドマイヤドン、アドマイヤベガ、キャプテンベガ、アドマイヤボスの半妹にあたり、2代母ベガは桜花賞(GI)とオークス(GI)の二冠を制している。全姉リュラは昨年秋にデビューして3、6着とまだ勝ち上がっていないが、本馬はそれよりも馬体がひとまわり大きいとのことなので楽しめそうだ。距離は幅広く対応できるだろう。

アドマイヤプリヴ(牡 栗東・友道康夫 父ルーラーシップ、母モンローブロンド)
 母モンローブロンドは、ランフォルセ(重賞4勝)、ノーザンリバー(重賞6勝)、ノットアローン(08年ラジオNIKKEI賞-GIII・2着)、アコースティクス(ダービー馬ロジユニヴァースの母)をきょうだいに持つ良血馬。Halo 3×4に Mr.Prospector を併せ持つだけあってスピードは非凡なものがあり、現役時代はファンタジーS(GIII)で2着となった。初子のビキニブロンド(父キングカメハメハ)は芝短距離路線で準OPまで出世し、3番子プラチナブロンドはジャングルポケット産駒にもかかわらず全3勝はいずれも芝1200m。5番子サーブルオール(父ハービンジャー)はニュージーランドT(GII)7着馬。本馬はビキニブロンドの4分の3弟。トニービン3×4が素軽さのネックとはならず、芝向きのマイラーとなりそうだ。

ハリーレガシー(牡 栗東・音無秀孝 父ヴィクトワールピサ、母バルドウィナ)
 桜花賞馬ジュエラーの全弟、ワンカラット(09年フィリーズレビュー-GIIなど短距離重賞を4勝)の半弟。母バルドウィナはペネロピ賞(仏G3・芝2100m)の勝ち馬で、Northern DancerはもちろんNasrullahさえ持たない純ヨーロッパ風のアウトサイダー血統。それでいて産駒に重さが感じられないのは素晴らしい。父ヴィクトワールピサは現3歳世代が初年度産駒。現役時代にドバイワールドC(首G1)、有馬記念(GI)、皐月賞(GI)を制した名馬で、アサクサデンエン(安田記念)、スウィフトカレント(小倉記念)の兄弟でもある。ジュエラーのほかにパールコード、ナムラシングン、ジョルジュサンクなどを出しており上々の成績だ。近親に多くの活躍馬がいるように活力旺盛。馬のデキがまともなら重賞クラスで活躍可能だろう。

リカビトス(牝 美浦・奥村武 父ディープブリランテ、母エンシェントヒル)
 父ディープブリランテは新種牡馬。現役時代は引っ掛かり癖を克服して日本ダービー(GI)を制したほか、道悪の東京スポーツ杯2歳S(GIII)を勝ち、皐月賞(GI)ではゴールドシップの3着となった。500kg前後の馬体はディープインパクト産駒としては大きく、産駒も総じてサイズが大きい。父の最大の長所である中距離向きのスピード&瞬発力を産駒に伝えることができれば楽しみだ。初年度の血統登録頭数は123頭。新種牡馬のなかではルーラーシップ(131頭)に次ぐ頭数なので期待できそうだ。母エンシェントヒル(その父エンドスウィープ)はダートのOP特別を勝った経験があり、Raise a Native 4×4。本馬はこれを継続発展させる形でMr.Prospector 6×4のクロスを持っている。父の血統のなかでMr.Prospectorは重要な役割を果たしていると思われるので、これを継続した配合は好感が持てる。半姉コルコバード(父ステイゴールド)はスイートピーS(OP)3着馬。馬体は小柄とのことだが姉に劣らぬ活躍を期待したい。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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