
そういえば以前、腹筋が割れたらここで披露してくれると約束したような…
マイラーズC3着、新潟大賞典4着と、重賞でも見せ場を演出している小牧騎手。今年から始めたトレーニングの成果が徐々に出ているようで、今回はそんな小牧騎手に“騎手の筋肉”についての質問をピックアップ。そういえば以前、腹筋が割れたらここで披露してくれると約束したような…。はたしてシックスパックの行方は!?
(取材・文/不破由妃子)
見栄えのしない馬でも、いざ走らせたら強い馬もいる
──今回は、ジョッキーと競走馬の“体”についての質問をご紹介したいと思います。まずは、「内田騎手や柴山騎手はすごく筋肉質だと聞きましたが、騎手という職業にとって、筋肉はけっこう大事な要素なのでしょうか? 足や腕、胸などに筋肉が付いているほど、馬が伸びやすくなったりするのでしょうか?」というものです。
小牧 それは関係ないと思うよ。筋肉の付き方は、言うまでもなく個人差があるし。まぁ筋肉は重いから、あんまり付けすぎるのもアカンていうけどね。それに、馬を御すのはけっこう力がいるから、乗っているだけでも筋肉が付くし、体幹も自然と鍛えられると思う。だから、必然的にいい体になるんちゃうかな。
──そんななかでも、ムキムキの人とそうではない人がいるんですよね?
小牧 そうやね。ユタカくんをはじめ、背の高い人にムキムキはおらんし。内田くんも、僕の印象ではそれほどでもないような。柴山は確かに筋肉質やね。そのぶん彼は、体重を落とすのに昔から苦労してるわ。
──そういえば小牧さん、腹筋は割れました?
小牧 いや、そうでもないな…。最近も腹筋は重点的に鍛えていて、だいぶいい体にはなってきたけど。
──確か、シックスパックになったら、『太論』で披露していただけるというお話でしたが。
小牧 そうやった、そうやった。一体いつになることやら(笑)。僕はね、鍛えたところで、昔からあんまり筋肉が付くタイプじゃないねんな。だから逆に、疲れにくい体なんだと思う。
──最近はどんなトレーニングメニューを?
小牧 不安定なものの上に両膝を乗せて、そのまま倒れんように姿勢を保つトレーニングとか、大きめのボールの上に座って、小さいボールを10回続けて受け取るトレーニングとか。最初は全然ダメやったけど、だいぶできるようになってきたわ。表面的な筋肉というより、インナーマッスルを鍛えるトレーニングが中心やけど、これがけっこうキツイねん(笑)。そういえば、トレーニングを始めてから、馬上でバランスを取りやすくなったのか、落馬せんようになったと思うわ。
──それは大きな成果ですね。ついこのあいだも、阪神と福島で大きな落馬事故があったばかりですから…。
小牧 阪神の事故では、康太の馬(ワイズセレクション)は僕の馬(レッドジェイド)に乗っかけたからね。1コーナーで接触したことに気づいてパッと後ろを見たら、何頭か倒れていて。一瞬、「やってもうたか…」と思って、レース中も気が気じゃなかったわ。
──パトロールを見ましたが、小牧さんの進路取りには問題ありませんでしたよね。
小牧 うん。動いてなかったからね。ただ、コーナーやったから、そのときは一瞬、僕が(内に)入ってしまったんかと思って。ほんの少しの動きが事故につながるからね。改めて気をつけなアカンと思いましたわ。

ほんの少しの動きが事故につながるからね。改めて気をつけなアカンと思いましたわ
──本当ですね。続いては、「以前、オーストラリアの牧場で働いていたときに、馬の整体師の方が『GIを勝つような一流馬は、筋肉の付き方が均等でバランスがいい』と話していたのですが、小牧騎手が感じる一流馬とそうではない馬の差はどういうところですか?」という質問です。
小牧 人間と一緒で、馬も1頭1頭違うからねぇ。見栄えのしない馬でも、いざ走らせたら強い馬もいるし、その逆のパターンもある。馬体ももちろん重要やけど、それより競走馬は血統が大きいんちゃうかな。でも、パッと見て“いい馬やなぁ”と思う馬は確かにいるよ。
──それはどこを見てそう思われるんですか?
小牧 トモの張りやね。あとは毛ヅヤ。その2点をまずは見るかな。でも、それが走る走らんに直結するかといったら、そんなことはないからね。トモがしぼんでいて毛ヅヤが悪い馬でも、走る馬は走る。ただ、ずっと見続けている馬であれば、トモの張りや毛ヅヤは体調のバロメーターにはなるけどね。