5月24日、札幌競馬場で行われる2歳トレーニングセール(写真は昨年のトレーニングセール)
モーリスに続くような「原石」を探し求めて多くの購買者が来場することになるだろう
来る5月24日(火)、札幌競馬場を会場に開催される予定の「2歳トレーニングセール」(主催・HBA日高軽種馬農協)が2週間後に迫ってきた。
すでに名簿も完成しており、今日の時点で計253頭(欠場6頭、追加6頭で、総数に変化なし)がエントリー済みである。
父馬欄を見て行くと、ひじょうに多彩な顔ぶれが揃っており、ざっと100頭近い種牡馬の名前が連なっている。さすがにディープインパクトやキングカメハメハ、ステイゴールドなどはいないものの、以前の「売れ残り」をかき集めたようなセリのイメージはもうなくなっている。
名簿グラビア巻頭を飾るのは、もちろん同セール出身馬のモーリスである。思えば、昨年のトレーニングセール時には、すでに重賞勝ち馬になっていた(4月5日、ダービー卿チャレンジトロフィー)ものの、その後のGI4連勝までは予想できなかった。この名馬が2013年の同セールにて1050万円で取引された馬であることが知れ渡り、このセールが改めて「掘り出し物」の多いセリであると内外に向けての何よりの宣伝になったことは確かだ。今年もまた、モーリスに続くような「原石」を探し求めて、多くの購買者が来場することになるだろう。
上場馬5頭以上の種牡馬を拾っていくと、次のような馬がピックアップされる。ヴァーミリアン5頭、カネヒキリ7頭、サマーバード8頭、サムライハート5頭、ジャングルポケット6頭、タニノギムレット6頭、ディープブリランテ7頭、トランセンド5頭、トーセンホマレボシ6頭、ナカヤマフェスタ5頭、パイロ6頭、マツリダゴッホ6頭、メイショウボーラー8頭、ロージズインメイ6頭。見渡したところ、飛び抜けて多頭数の種牡馬がいないのは、それだけまんべんなくバラエティに富んだ血統の上場馬が揃ったからだとも言える。
またアイルハヴアナザー3頭、ヴィクトワールピサ2頭、ゴールドアリュール4頭、シンボリクリスエス2頭、スクリーンヒーロー2頭、ストリートセンス4頭、タートルボウル2頭、ハーツクライ2頭、ハービンジャー3頭、ブラックタイド4頭、ワークフォース3頭というように、生産地でも人気の高いこれらの種牡馬産駒も複数が上場予定だ。
一方、上場馬の飼養管理者は全部で51牧場が名前を連ねるが、こちらはかなりのばらつきがある。1頭、2頭という頭数で臨む育成牧場がある半面、実に20頭超の頭数をエントリーさせている牧場もある。浦河のグランデファームは最大22頭の上場頭数を抱える。続いて日高町の門別牧場が21頭、浦河の山口ステーブルが19頭の上場である。
これらの育成牧場は毎年熱心にこのセールに向けて1歳市場でも馬を仕入れており、トレーニングセールに賭ける強い意気込みが窺える。
その半面、トレーニングセールとなれば、少なくとも土〜火の3泊4日でスタッフを札幌競馬場に出張させなければならないため、育成牧場にとってはいかにも負担が大きい。
セリ自体は24日(火)だが、23日(月)は公開調教がほぼ終日実施されることになる。そしてその前日22日(日)は事前下見日に設定されており、10時から午後4時までが充てられている。それに間に合わせるためには、土曜日21日からの入厩が望ましく、したがって前後4日間が必要なのである。そのために、トレーニングセール上場馬を預かることのできない育成牧場も当然出てくる。複数のスタッフをセールのために割けない育成牧場も少なくないのである。
ともあれ、生産地での今年最初のセールがこの2歳トレーニングセールだ。今年の1歳市場の動向を占う意味でも、トレーニングセールがどんな売れ行きを示すのかが大きく注目される。
なお、先月26日に中山競馬場にて開催されたJRAブリーズアップセールに欠場した9頭のJRA育成馬のうち、6頭がこのトレーニングセールに上場されることになっており、すでにその顔ぶれも公表されている。6頭の中には、疝痛による開腹手術を実施したためにブリーズアップセールを欠場せざるを得なかったゴートゥザノースの14(牝、父サマーバード、道立静内農業高校生産)の名前もある。ブリーズアップセールからの転身組は一番最後の上場順になっており、254番〜259番が充てられている。こちらにも注目したい。