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新種牡馬タートルボウルの好配合馬ラバピエス

  • 2016年06月01日(水) 12時00分
ヴァンクールシルク(牡 美浦・木村哲也 父ヴィクトワールピサ、母ルシルク)
 母ルシルクはブレイクランアウト(09年共同通信杯-GIII)の半姉で、本馬のほかにグランシルク(父ステイゴールド/ニュージーランドT-GII・2着)、クードラパン(父ダイワメジャー/フェアリーS-GIII・4着)を産んでいる優秀な繁殖牝馬。母の父Dynaformerはブライアンズタイムに配合構成が酷似したRoberto系のスタミナ血統なので、一発大物を出す魅力がある。父ヴィクトワールピサは初年度産駒から桜花賞馬ジュエラーを筆頭にパールコード、ナムラシングン、ジョルジュサンク、アジュールローズなど多くの活躍馬を出している。芝向きの中距離タイプで仕上がりは早く、それでいて成長力も期待できるのでおもしろい。直線の長いコースでも小回りのローカルでも同じように力を発揮できるタイプだろう。

ウインブライト(牡 美浦・畠山吉宏 父ステイゴールド、母サマーエタニティ)
 全姉ウインファビラスは阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)2着、新潟2歳S(GIII)2着など好成績を挙げている。「ステイゴールド×アドマイヤコジーン」の組み合わせは、本馬のほかにペルソナリテ(15年新潟2歳S-GIII・4着)がおり、現時点で競走馬となった馬はこの2頭のみ。確実性の高い組み合わせといえる。アドマイヤコジーンの代表産駒でスプリンターズS(GI)を勝ったスノードラゴンは、ステイゴールドと同じロイヤルサッシュ牝系なので、上記2頭と配合構成が近い。母は「アドマイヤコジーン×ジェイドロバリー」という仕上がり早の血統。姉と同じくローカルの2歳Sでいいところがありそうだ。

ビッグディザイア(牡 栗東・松永幹夫 父キングカメハメハ、母レッドディザイア)
 母レッドディザイアは2016年5月20日、腹膜炎を発症し10歳の若さで生涯を閉じた。現役時代は秋華賞(GI)とアルマクトゥームチャレンジラウンド3(首G2)を勝ったほか、桜花賞(GI)とオークス(GI)で2着となり、フラワーボウル招待S(米G1)で3着と健闘した。2番子の本馬は父がキングカメハメハ。キングカメハメハは名牝との交配で確実に結果を出すタイプで、「キンカメ+サンデー+Nijinsky」という構成も悪くない。芝向きの中距離タイプ。

マイネルブロッケン(牡 栗東・五十嵐忠男 父アイルハヴアナザー、母マイネレーツェル)
 母マイネレーツェルはフィリーズレビュー(GII)、ローズS(GII)の勝ち馬。4歳以降は不振だったが、3歳までは優秀な成績を残し、エリザベス女王杯(GI)でも4着と健闘している。初子のマイネルネーベル(父キングカメハメハ)は2勝を挙げている。3番子の本馬はアイルハヴアナザーを父に持つ。同馬は現役時代にケンタッキーダービー(米G1)とプリークネスS(米G1)の米二冠を制覇。Flower Alley→Distorted Humor→フォーティナイナー→Mr.Prospectorとさかのぼる父系に属し、母方にはRoberto系とRibot系の血が入り、自身はDanzig 4×4。スタミナと底力に恵まれたパワー型の中距離タイプだ。産駒は芝・ダート兼用の中距離タイプ。芝向きの子を作るにはサンデー系血脈のアシストが不可欠だと思われるが、本馬は母の父がステイゴールドに加え、芝向きのスピードを伝えるサクラユタカオーが入るので芝でも十分やれそうだ。Caucasus≒マルゼンスキー5×4はおもしろい。ステイゴールドの影響か馬体は小柄。仕上がりは早く、6月の阪神開催を目指して調整されている。

ラバピエス(牡 栗東・大久保龍志 父タートルボウル、母サルスエラ)
 ヴェルステルキング(父サクラバクシンオー)の半弟。母サルスエラは不出走馬ながらヴィルシーナ(13、14年ヴィクトリアマイル-GI・2回)の4分の3同血で、フレールジャック(11年ラジオNIKKEI賞-GIII)、マーティンボロ(14年中日新聞杯-GIII、14年新潟記念-GIII)の4分の3姉でもある。ハルーワソング牝系は今後大きく発展することが予想されるファミリーで、母サルスエラも繁殖牝馬として期待できる。父タートルボウルはNorthern Dancer系の新種牡馬。全体としては非主流のヨーロッパ血統で構成されており、2代父Dyhim Diamondはスペインのリーディングサイアーで、3代父Night Shiftは地味ながら優れた能力を発揮した種牡馬。Sadler's Wellsやデインヒルといった癖の強い主流血統を含まないので、むしろ日本競馬に向く可能性があり、マイル前後に適性がありそうだ。母サルスエラはHalo 3×4で、父タートルボウルにうまく日本向きのスピードをサポートしていると思われる。芝向きのマイラーで仕上がりは早い。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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