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北海道トレーニングセール・その2

  • 2016年06月01日(水) 18時00分
北海道トレーニングセール

北海道トレーニングセール会場風景


高額落札順に種牡馬を並べてみると、ひじょうにバラエティに富んでいた

 5月24日(火)、トレーニングセール当日は、前日よりもやや曇りがちで風の強い日となった。

 セリ開始は午前10時。まず、2013年の同セールにおいて1050万円(税込)で落札され、その後、中央競馬で年度代表馬まで出世したモーリスの購買者であるノーザンファーム・吉田勝己氏に対し、特別表彰として木村貢・日高軽種馬農協組合長から記念のトロフィーが贈呈された。

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モーリスの購買者である吉田勝己氏に対し、木村貢・日高軽種馬農協組合長から記念のトロフィーが贈呈された



 長丁場のセールとあって、出足は模様眺めの雰囲気が強く、思ったほど売れ行きが良くない。また落札価格も案外低めに推移し、やや低調なムードでのスタートとなった。

 価格の落差が大きく、500万円に満たない馬も続出する中で、時折、活発な競り合いからあっという間に1000万円を突破し、さらに価格が上昇する馬も出てくる。セリでは毎度のこととはいえ、購買者の注目はだいたい特定の上場馬に集中するのである。

 血統や性別もさることながら、購買者の視線はどうしても前日に行なわれた公開調教での走破タイムに向けられる。総じて好タイムが続出したが、中でも終い1ハロンの時計が、11秒を切るか否かによって、明暗を分けることになったようだ。

 前日の公開調教で、終い1ハロンが10秒台を計時したのはざっと数えて18頭いるが、概してこれらは価格が高くなった。この18頭は1頭残らず落札され、うち13頭が1000万円を超えた。

 最高落札価格馬もこの中から出た。前日、公開調教で11.06秒、10.77秒、合計21秒83という一番時計を叩き出した80番「サルヴァドール14」(牝、父ルーラーシップ、販売申込者・追分ファーム)が、4968万円(税込)まで競り上がり、これが今回のセールを通じての最高落札馬であった。落札者は新ひだか町・(株)ジェイエス。

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最高落札価格となった「サルヴァドール14」の落札場面


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最高落札価格となった「サルヴァドール14」の立ち姿



 また次点は、188番「ファーマペニー2014」(牡、父スクリーンヒーロー)の3240万円(税込)であった。落札者は同じく(株)ジェイエス。販売申込者は日高町・(有)高山牧場。今や日高で繋養されている種牡馬の中では屈指の人気馬であるスクリーンヒーロー産駒として高い評価を得た。

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次点となった「ファーマペニー2014」の落札場面


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次点となった「ファーマペニー2014」の立ち姿



 3番目は151番「ナイツエンドの2014」(牡、父フリオーソ)の3024万円(税込)。新冠町・(有)ビッグレッドファームが落札した。販売申込者は浦河町・(有)グランデファーム。

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3番目の落札価格となった「ナイツエンドの2014」の立ち姿



 高額落札順に種牡馬を並べてみると、ひじょうにバラエティに富んでいることが分かる。ルーラーシップに始まり、スクリーンヒーロー、フリオーソそして、マンハッタンカフェ、ダノンシャンティ、クロフネ、ディープブリランテ、エイシンアポロン、タニノギムレット、ストリートセンスと続き、上位10傑はすべて違う種牡馬の産駒になっている。また、最高価格馬こそ牝馬だったものの、税込1000万円以上で落札された高額取引馬28頭中、牡19頭、牝馬は9頭という内訳であった。

 途中で休憩を挟まず、ぶっ通しでセリが行われたことから、市場には好不調の波が生まれ、売れ行きが良くなったかと思えば、また数頭主取りが続くというようなばらつきが見られた。後半になればなるほど、先に予定の馬を落札してしまった購買者から席を立つのが通例で、最後に近づくほどに徐々に価格も伸びなくなってきた。

 そんな流れが一気に変わったのは、254番「クルミの14」が登場してきた時だ。4月26日の中山競馬場にて開催されたJRAブリーズアップセールを欠場した9頭のうち6頭が本セールの一番最後にセリにかけられ、それまでとは一変して俄然活発な競り合いが現出した。

 これら6頭は、前記クルミの14(1620万円)を除けば、いずれも価格は安めながら全馬が落札された。道立静内農業高校で生産された255番「ゴートゥザノースの14」も、300万円のお台から10万円単位で競り合いとなり、無事に432万円(税込)で落札された。「ノボ」の冠名で知られるLSMに落札された。疝痛による開腹手術を経て、ようやくこれで「行き先」が決まったことになる。

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「ノボ」の冠名で知られるLSMに落札された道立静内農業高校生産の「ゴートゥザノースの14」



 終わってみれば、総売り上げ、平均価格ともに過去10年間で最も数字が伸びた。241頭(牡138頭、牝103頭)が上場され、152頭(牡86頭、牝66頭)が落札、総額で11億1866万4000円を売り上げ、平均価格は735万9632円を記録した。

 市場を振り返って日高軽種馬農協の木村貢組合長は「細々とした運営点に課題はありますが、まずは80点以上をつけられる結果でした。多くの購買者(506名、前年より24名増加)にご来場頂き、多数の購買を頂いたことに感謝申し上げるとともに、この施設(札幌競馬場)をお貸し頂いたJRAさんのバックアップに改めてお礼申し上げる次第です。今日の取引馬の中から第二のモーリスが生まれることを期待しております」とコメントし、市場を締めくくった。

岩手の怪物トウケイニセイの生産者。 「週刊Gallop」「日経新聞」などで 連載コラムを執筆中。1955年生まれ。

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