ノボバカラとの叩き合いを制したダノンレジェンド
中央の人気騎手が来場しているというだけで、何となく華やいだ雰囲気が漂う
ホッカイドウ競馬では今年度初の交流重賞となる「第20回北海道スプリントカップ」(1200m、1着賞金2200万円)が、去る6月9日(木)、門別競馬場にて行なわれた。この日の日高地方は午前中から断続的に雨が降り続き、そのためにたっぷりと水分を含んだあいにくの不良馬場となったが、このレースには中央所属馬4頭を含む13頭がエントリーしてきた。
中央馬はダノンレジェンドとノボバカラ、G1馬のスノードラゴン、レーザーバレットという顔ぶれ。それを迎え撃つ道営勢はアウヤンテプイを筆頭に7頭、さらに今年は笠松からも2頭(タッチデュール、ブルータンザナイト)がはるばる遠征してきて、バラエティに富んだメンバー構成となった。
雨が上がり霧が立ちこめてきた門別競馬場
前週に行なわれた北海優駿の日もそうだったが、このところ門別競馬場は重賞というと雨に祟られる。しかし、不思議にメインレースの発走時刻が近づくと雨が上がり、傘をささずに観戦できるという不思議な天気回りになっている。この日も午後7時くらいまでは雨が降っていたが、幸い日没後の、あたりが暗くなる頃には止んでくれた。
さすがに交流重賞だけあって人が多い。門別の場合は、スタンドも小さく、ファンの滞留スペースが限られているため、ざっと見渡せばおおよその入場人員が予想できる。今回は、明らかに今年になってからの最多入場者であり、パドック周辺も門別にしてはかなりの混雑であった。(主催者発表によれば入場人員は1242人とのことであった)
メインの北海道スプリントカップは第11レース。午後8時の発走予定である。その2つ前の第9レース「ウイナーズチャレンジ」(JRA認定、2歳オープン)には、メインレースに騎乗予定のデムーロ騎手、戸崎圭太騎手、大野拓弥騎手の3騎手も道営騎手に交じって騎乗し、戸崎騎手の乗ったピンクドッグウッドが1着、デムーロ騎手のバンドオンザランが2着という結果であった。普段見慣れていない中央の人気騎手が来場しているというだけで、何となく華やいだ雰囲気が漂う。
10レースが終わり、いよいよ北海道スプリントカップに出走する各馬がパドックを周回し始めた。それと同時にパドックの柵沿いにはズラリと人垣ができる。馬券は中央馬から売れており、ダノンレジェンドが1番人気、続いて前走のかきつばた記念を制して目下3連勝中のノボバカラが2番人気、実績上位のスノードラゴンが3番人気という順である。
北海道スプリントカップのパドック風景
一方、地元勢の期待を集めたのは7歳馬アウヤンテプイ。前走の「クロフネ・プレミアム」(4月27日、門別、1200m)まで4連勝中と絶好調で、道営の短距離界では随一の実績を持つことから、中央勢に続き5番人気に支持された。
地元勢の期待を集めたアウヤンテプイ(馬番4番)
定刻通り、午後8時ちょうどにスタート。レースはアウヤンテプイ(石川倭騎手)がまず飛び出し好位置をキープしたかに見えたが、すぐにノボバカラ(桑村真騎手)、ダノンレジェンド(デムーロ騎手)が外から交わして先に進む。サクラインザスカイ(宮崎光騎手)とアウヤンテプイがそれに続いて3コーナーから4コーナーを回ったが、直線に入ると、ノボバカラとダノンレジェンドのマッチレース状態となり、残り200mで後続馬を引き離して、ほぼ揃ってゴール板を駆け抜けた。外のダノンレジェンドがハナ差でノボバカラを捉え、3月15日高知の黒船賞以来となる重賞7勝目を挙げた。4馬身遅れて3着にはスノードラゴンが入り、道営勢ではクリーンエコロジーの4着が最先着であった。
直線ではノボバカラとダノンレジェンドのマッチレースに
昨年のこのレースでダノンレジェンドは、1番人気に支持されていながら出遅れが響いて3着に敗れており、今回は見事に雪辱を果たしたことになる。
ダノンレジェンドは牡6歳黒鹿毛、父Macho Uno 母マイグッドネス(母の父Storm Cat)という血統の米国産馬。馬主は(株)ダノックス、管理調教師は栗東・村山明師。これで通算成績は27戦12勝、2着4回、3着3回となった。
北海道スプリントカップの口取り風景
騎乗したM・デムーロ騎手は門別で初のお立ち台となり、流暢な日本語でにこやかにインタビューに答えていた。そして表彰式後には柵沿いにズラリと並ぶ大勢のファンにサインする光景が見られた。
お立ち台に立つデムーロ騎手
表彰式後サインに応じるデムーロ騎手
なお、この日の門別は、大井競馬との競合であったが、メインレースに中央の有力馬が揃ったせいか馬券発売もひじょうに好調で、北海道スプリントカップだけでも約2億6800万円(場外、ネット含む)を売り上げた。また1日の売り上げも、レコードとなる4億9671万円に達した。ハイレベルな出走馬と、人気のある騎手が揃えば、確実に売り上げが伸びるということを改めて思い知らされた。
さて、北海道スプリントカップは過去20回のうち、道営勢が勝利を収めたのは2000年(札幌)のオースミダイナーのみ。翌2001年より今年までJRA勢が16年連続で制している。そろそろ道営勢の巻き返しを期待したいところだ。