昨年に続いて今夏も北海道にフル参戦予定の加藤騎手。函館と札幌のコースについてお聞きしました。
(取材・文/大薮喬介)
好きなコースは函館ダ1000m!
――ダートといえば、昨年の11月15日福島2R・3歳上500万下(ダ2400m)のカフジスターはお見事でした。後方にいたのに向正面の中間から動いて、3コーナーで先頭。そのまま押し切りましたよね。あれはレース前から狙っていたんですか?
加藤 選択肢のひとつではありました。レース前からスローになりそうな展開でしたし、実際1周目の1コーナーに入るところでペースが落ちそうだったので、進路を内から外に切り替えて動いていきました。元々カフジスターはダートの長いところでいい競馬をしていたので、能力は間違いなくあると思っていましたが、事前にズブい馬で速い脚も使えないと聞いていたので、できれば勝負所では後ろにいたくないとは思っていたんです。展開が上手くハマってくれました。
――ペースを事前に読んでいたりしていることが、今の成績につながっているのかもしれないですね。
加藤 まだまだですが、どのようなペースになるかは事前に考えるようにしています。やはり、去年1年間でたくさん騎乗させていただいたのが大きかったですね。最初の頃は正直、レース中に考えることはあまりなかったんです。騎乗すればするほど競馬は奥深いなと感じるようになって、少しずつですが、周囲の馬がどんな動きをするかがわかるようになってきました。周りの手応えを把握することで、どのタイミングでスペースが開くかもわかりますし、いつ動けばいいかの判断も早くなりますから。
――それはいつ頃からわかるようになったんですか?
加藤 去年も意識するようにはしていたのですが、実際はすぐ前の馬しか把握できなかったんですね。それが少しずつ視野が広くなって、今はもう少し周りの馬の手応えがわかるようになってきました。
――今週から夏競馬が始まります。昨年は北海道にフル参戦でしたが、今年はどこを拠点にする予定ですか?
加藤 今年も北海道にフル参戦する予定です。去年は庄野先生から「北海道で乗ってみないか」と言われて、函館、札幌に滞在することになりました。函館や札幌は小回りのぶん、タイトな競馬が多くて、さらにトップクラスの騎手がそろっている場所ですからね。いろいろな先輩方にアドバイスも聞くことができたので、いい勉強になりました。
――デビュー当時と比較して、北海道を経験されて成長した部分はありましたか?
加藤 まだまだ未熟ですが、小回りコースの乗り方は上達したのではないかと思います。一番大きかったのは、落ち着いて乗れるようになったことですね。
――函館で好きなコースは?
加藤 コースに好き嫌いはないですね。成績がいいのは、函館ならダート1000mだったと思います。
――確かに函館ダート1000mが一番いい成績でした(勝率5.9%、連対率17.6%)。やはり、覚えているものなんですね。素人から見ると、函館と札幌のコースは似ていると思うのですが、実際に騎乗してみていかがですか?
加藤 似ていると思いますよ。札幌のほうが少し楕円形で直線が少し短いだけですし、芝の感じもほぼ同じです。
――札幌で一番成績が良かったコースはわかりますか?
加藤 やっぱりダートの1000mじゃないですか?
――勝利数でいえばそうですが、勝率だと芝1500mがよかったです。
加藤 そうなんですね。芝1500mは騎乗する機会も少なくて、掴みきれていないまま終わってしまったという感じなので、得意という意識はないんですけど(笑)。
――函館も札幌も最初のほうは先行が有利で、後半は差しが決まりやすいイメージがありますが、フル参戦して感じることはありましたか?
加藤 それはありますね。その日によって違います。でも、開幕週はもちろんですが、基本的には前が有利かなと思います。ただ、ペースや馬のタイプによって前に行ったほうがいい場合と、そうではない場合があるので、その都度、考えて乗るようにしていますね。
――長い距離よりも短い距離のほうが成績がいいですが、それについてはどう思われますか?
加藤 長距離に苦手意識はないんですけどね。乗っている時もじっくりと考えることができますし。
――どちらかといえば、長い距離のほうが面白い?
加藤 そうですね。でも、短い距離もじっくりと考える時間はないですが、ひとつのミスが仇になったりするので、それはそれで面白いですよね。緊張感は短い距離のほうがあるかもしれません。
――昨年は函館で3勝、札幌で2勝でしたが、今年の目標はありますか?
加藤 去年よりも多く勝ちたいです。あとは今年もトップクラスの騎手がそろっているので、より濃い内容にしたいですね。
今年もトップクラスの騎手がそろっているので、より濃い内容にしたいですね
【次回のキシュトーークU25は!?】
加藤騎手のルーツに迫ります。少年時代の話や競馬を知るようになったきっかけ、競馬学校時代のことなどをお聞きしました。