平取1歳馬品評会風景(写真は北島牧場)
今年は昨年以上に出陳馬のレベルが揃っていた
今週月曜日の20日、平取町にて1歳馬品評会が開催された。主催は平取町軽種馬生産振興会(北嶋佳和会長)。回を重ねること今年で47回目という。出陳馬15頭の立ち写真を収めた名簿があらかじめ10日前にそれぞれ関係者の元に郵送されており、それを手にしながら、各牧場を巡回して馬を見て歩く方式である。
集合場所は平取町二風谷の「びらとり温泉・ゆから」で、午後3時20分過ぎに参加者の車列が連なって出発した。
この日はあいにくの雨であった。日高地方は南部から次々に侵入してくる雨雲のせいで、終日降雨に見舞われ、時折小降りになる時間帯はあっても、止むことがなかった。
当日になり、15頭中2頭が欠場を決めたため最終的に13頭の出陳となった。巡回する牧場軒数は9軒である。
審査員は4名。JRA日高育成牧場場長・平賀敦氏を審査委員長に、中西信吾・JBBA日本軽種馬協会静内種馬場場長、三坂盛雄・東京都トレーナークラブ会長、田中淳司・北海道競馬調教師会副会長の各氏である。
審査方法は、各自が20点の持ち点で採点をし、合計点数の多い順番に、上位より最優秀賞、金賞、銀賞、銅賞がそれぞれ1頭ずつ決定する。
審査基準は、血統、性別よりも、対象馬の体形、管理や馴致などを重視する。終始降り続ける雨の下での展示となり、駐立、常歩の披露にも難儀する条件だったが、各牧場をほぼスケジュール通りに巡回することができた。
参加者は、JRA日高育成牧場や日高軽種馬農協、平取町やびらとり農協などの関連団体や、町内外の生産者、マスコミ関係者など総勢50人ほどであった。この人々が、それぞれ乗り合わせや単独で各自移動しながら馬を見て歩くのである。車列は20台にもなり、牧場によっては十分な駐車スペースを確保できないところもあって、そういう場合はやむなく道路上に止めることになる。
牧場に到着し、各自が展示スペースに集まったのを見計らって出陳馬が出てくる。引き手は概して若い世代が多く、平取の場合は他町と比較すると、世代交代が順調に進んでいることが窺える。
雨のせいで、馬体がくすんで見えるのは致し方ないところで、その分を勘案しながら審査が進められて行く。中には大勢の人々に立ちすくみ、なかなか歩こうとしない馬もいたが、総じて馴致は行き届いている印象であった。
平取1歳馬品評会風景(写真は高橋啓牧場)
また、各牧場とも、環境整備にも十分配慮している様子が窺えた。展示スペースは土か芝生が多かったが、綺麗に草を刈りこみ、また花などを配置して、「馬を見せる」ことに気を配っていることが分かった。
もちろん馬そのものが審査対象だが、こうしたことも牧場を訪れる際には気になる部分で、あまりにも雑然としていたり、周辺に余分なものが視界に入ってしまうのは決して良いことではない。できるだけ「馬が引き立つ場所」に立たせることが大事なのだが、そういう意識がかなり浸透してきている印象だ。
平取1歳馬品評会風景(写真はスガタ牧場)
2時間かけた巡回審査が終わり、そのまま「びらとり温泉ゆから」に戻って、午後6時より大広間にて審査の結果発表と表彰式が行われた。平取の1歳馬品評会は、賞品が充実しており、すでに会場の一角には並べきれないほどの数々の品物が陳列してある。
JRA日高育成牧場・平賀敦場長より審査結果が発表され、最優秀賞に「クリアムーブメントの2015」(父パイロ、牡、生産者、飼養者ともに北島牧場、セレクションセール上場予定)、金賞に「エリカ」(父パイロ、母ユーワゼフィルス、牝、生産者・船越伸也牧場、飼養者オークツリーファーム、セレクションセール上場予定)、銀賞に「ワンサイドゲームの2015」(父ゴールドアリュール、牡、生産者、飼養者ともに北島牧場、セレクションセール上場予定)、銅賞に「パンデモニウムの2015」(父シンボリクリスエス、牝、生産者、飼養者ともにスガタ牧場、サマーセール上場予定)と発表された。
クリアムーブメントの2015
エリカ(父パイロ、母ユーワゼフィルス)
ワンサイドゲームの2015
パンデモニウムの2015
今年は昨年以上に出陳馬のレベルが揃っており、審査が難しかったと思う。それぞれ好みもあるので簡単に優劣がつけられないのだが、これらの入賞馬たちが今後、それぞれ市場でどんな評価を受けるかがひじょうに興味深い。
昨年も一昨年もそうだったように、この品評会で上位にランクされた1歳馬は、市場でも高額取引されるケースが多く、それぞれ最優秀に輝いた一昨年の「ホーマンソレイユの2013」(父エンパイアメーカー、牡)と昨年の「ハナマルの2014」(父ヨハネスブルグ、牡)は、ともにリザーブ価格を大幅に上回る価格であった。
平取1歳馬品評会受賞各氏(右より北嶋佳和氏、船越伸也氏、オークツリーファーム・柏木陽子氏、スガタ牧場様)
なお、かつては日高各町の生産振興会ごとに開催されていた1歳馬品評会だが、現在は三石とここ平取で行なわれているのみ。平取は軽種馬生産牧場が20軒程度しかないにもかかわらず、ひじょうに意欲的な活動を行なっている。そのひとつがこの品評会の充実ぶりにも如実に表れている。