今週は、加藤騎手のルーツに迫ります。少年時代の話や競馬を知るようになったきっかけ、競馬学校時代のことなどをお聞きしました。
(取材・文/大薮喬介)
最初は野球選手になりたかった
――加藤騎手がジョッキーを志すようになったきっかけを教えてください。
加藤 小学6年生頃に、兄やその友達が競馬のゲームをしていたんですね。そこで競馬を知るようになって、ゲームをしているうちに競馬がすごく好きになりました。そこから、テレビでも観るようになって、パソコンで色々調べていましたね(笑)。両親はまったく競馬に興味がなかったんですが、自分から「競馬場に連れて行ってくれ」と頼んだんです。阪神競馬場だったんですが、レースを観て、その迫力に魅せられました(笑)。
――ちなみにその時の重賞レースは?
加藤 朝日チャレンジCでした。ドリームジャーニーが勝ったレースですね。
――なるほど。では、最初は純粋な競馬ファンだったんですね。
加藤 ええ、小学6年生にして、めちゃくちゃ詳しかったですよ。当然、周りの友達とは趣味の話は合いませんでした(苦笑)。
――でしょうね(笑)。いつ頃からジョッキーになりたいと思うようになったんですか?
加藤 それも小学6年の頃ですね。乗馬クラブに通ったりしていました。ずっと野球をやっていたんですが、騎手試験は体力測定があると聞いて、中学では陸上部に所属しましたね。
――野球をしていたんですか。
加藤 野球といっても地域のソフトボールチームに所属していたんです。父親が野球好きでしたし、兄もソフトボールをしていたので、僕も1年生から入っていました。だから、最初は野球選手になりたかったんです。競馬ゲームでガラッと変わりましたけど(笑)。
――競馬学校に合格された時はいかがでしたか?
加藤 うれしかったですね。まさか自分が入れるとは思っていませんでしたから。
――自信がなかったんですか?
加藤 自分の力は出せたと思いますし、運動神経も悪いほうではなかったんですが、一緒に受験した人たちが運動神経抜群で、乗馬も自分よりすごく上手くて。競馬関係者の子供もいたりしたので、その雰囲気に圧倒されました(苦笑)。
――競馬ファンだったから、名前でわかりますもんね。
加藤 はい(笑)。
――競馬学校に入学されてからは、いかがでしたか?
加藤 思ったよりも厳しくなかったですし、どちらかといえば楽しかったですね。同期とも仲が良かったですから。
――では、苦い思い出はなかった?
加藤 1年生の時に乗馬の順位を3カ月に1度の割合で発表されるんですが、いつも下だったので、すごく悔しい思いをしたことはありました。でも、徐々に順位を上げられたので、トータルでは楽しかったと思います。

徐々に順位を上げられたので、トータルでは楽しかったと思います
――最終的にはどのくらいの順位だったんですか?
加藤 3位か4位だったと思います。だから、満足感はなかったですね。今思えばですが、やれることがたくさんあったんじゃないかなと思います。
【次回のキシュトーークU25は!?】
加藤騎手のインタビューも次回で最終回。普段のトレーニングやレース前に準備していることなどをお聞きしました。時に豪快な騎乗を見せてくれますが、その裏には緻密な戦略があるようです!