ドゥラメンテか、キタサンブラックか、それとも思わぬ伏兵か!? 春競馬を締めくくる宝塚記念は多士済々で、予想に頭を悩ませそう。そこで今回は『ウマい馬券』から予想家5人に、宝塚記念攻略のポイントを日替わりで語ってもらいます。第四回は「馬体」について、若原隆宏が予想のヒントを伝授します!文=
若原隆宏 検討の中心はドゥラメンテの取捨判断
穴党にとってはもちろん、本命党にとっても、検討の中心はまず
ドゥラメンテの取捨判断になるだろう。まず見ておきたいのは、ドバイで発走直前に落鉄した右前蹄だ。発走直前に落鉄に見舞われ、左前は装蹄、右前は裸蹄で走った。これが敗因と言われ、陣営も同調している。
美浦帰厩後、厩舎外で常歩の様子を観察する限りでは、蹄壁はいたってきれいだ。装蹄したサラブレッド成馬では、蹄の伸長速度は蹄壁の先端(蹄尖部)に沿った線をベースにして8mm/月程度。ドバイの敗戦から今走まではほぼ3カ月で、蹄は2.5cm弱、伸びている計算になる。蹄釘(ていちょう)が蹄壁に顔を出す部位と大まかにリンクする。
たとえ鉄と釘の外れ方が不正形で蹄壁に一定の損傷を受けていたとしても、その部分は伸びきって削蹄されてしまっている。従って今回、直接は前走落鉄が影響してくることはない。
ただし、帰国直後の調整が本当に「順調」だったかといえば疑問符だ。現状の見た目からは仕上がりの面に逆らい目が見え隠れする。体幹と前肢の接合部は人間のヒジに相当する部位だが、上腕周囲の膨隆感がドバイへ向かう前より1枚落ちる。中山記念が見た目からしてあからさまに仕上がり途上での圧勝だっただけに、それでも地力で足りてしまう可能性はあるものの、豪華メンバーのグランプリでは疑ってみるだけの価値があろう。
▲ドバイで落鉄した影響はなさそうだが…(写真はドバイシーマクラシック出走時、撮影:高橋正和)
後駆の充実が著しいキタサンブラック
キタサンブラックは母父サクラバクシンオーという血統が菊花賞当時は距離適性の不安材料として議論を呼んだ。結論はその後の戦績が雄弁に物語るが、体形には母父サクラバクシンオーの影響が色濃く残る。
最大の特徴は後駆上縁に位置する中殿筋だ。収縮すると大腿骨(とその先に接続する後肢全体)を後ろに引く筋で、推進力を生む基幹となる筋だ。バクシンオーの豊かなスピードは、この中殿筋が生み出していた。距離適性とは別に、地面を蹴る力において、同馬は母父のスピードをよく受け継いでいる。レーシングビュアーで見られる調教動画から察するに、後駆の充実感は天皇賞・春当時に遜色ない。むしろ肩の柔らかみは増しているようにすら感じる。
▲サクラバクシンオーから受け継いだのは推進力(写真は2015年菊花賞優勝時)
目を引く馬体のマリアライトとラブリーデイ
直近の上昇度で注目しているのは
マリアライトだ。目黒記念ではトモの表面がつるんとしてかなり絞り込み余地の残った体での2着。この中間で、外側広筋の後縁に分かれ目がくっきり見えるようになった。この部分、脂肪沈着の動向が最も観察しやすい部位だ。前走よりも腹回りはゆったり見えるが、実はよく絞り込まれている。
週刊誌掲載の立ち馬写真で目を引いたのは
ラブリーデイだ。調教動画ではゼッケンに隠れて見えなかったが、体幹に斑紋が浮いている。芦毛ではよく斑紋が観察されて好調のサインに挙げられるが、他の毛色では観察しにくいだけで共通して起こる。毛先がよくそろい、光を一定レベルでよく反射させて起こる現象で、体調のよさの裏付けに使える。
アンビシャス、ラストインパクトにも触れておこう。
アンビシャスは
若原隆宏の宝塚記念・最終回答は『ウマい馬券』でチェックしよう!※予想はレース前日深夜以降に公開予定です