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【地方代表決定】“赤い彗星”永森大智騎手がWASJ出場へ「初のJRA、自分を見失わないように」

  • 2016年07月08日(金) 18時00分
地方企画

▲夢の舞台“WASJ”へ SJT第2ステージに駒を進めた精鋭12名


8月27、28日に札幌競馬場で行われる2016ワールドオールスタージョッキーズ(WASJ)。JRAのトップジョッキーや世界の名手が集まる中、過去29回のうち地方競馬の騎手は4名が優勝している。石崎隆之騎手、川原正一騎手、鮫島克也騎手、岩田康誠騎手(その後JRAに移籍)。今年は誰が地方競馬代表騎手に決定したのか。7月7日に行われた選定競走のスーパージョッキーズトライアル(SJT)第2ステージの模様をレポートする。(取材・文・写真:大恵陽子)

※過去回数・優勝は前身のワールドスーパージョッキーズシリーズを含む


【SJTとは?】

 JRAが主催するWASJには、地方競馬の代表騎手が1名出場できる。その座をかけて戦うのがスーパージョッキーズトライアル(SJT)。3部構成になっていて、まず「SJTワイルドカード」では、各地区のリーディング2位(対象期間2015.4.1〜2016.3.31)と選抜騎手による戦いが行われる。そこでの上位2名と各地区のリーディング1位騎手12名の計14名が6月13日盛岡競馬場で第1ステージの2レースを戦った。

 2レースの着順に応じたポイント合計で上位12名が7月7日名古屋競馬場の第2ステージ(2レース)へと進む。第1ステージと第2ステージの計4レースのポイント合計で優勝すれば地方競馬代表騎手としてWASJに出場することができる。地方競馬の騎手にとってJRAの舞台で騎乗できる機会は決して多くはない。また国内外のトップジョッキーと同じレースに乗れるとあって、普段各地区で最も勝利している騎手たちが、さらに高みを目指して勝負をかける。

 今年、第2ステージに駒を進めたのはポイント順に次の12名。矢野貴之騎手(大井)、山本聡哉(岩手)、真島大輔(大井)、五十嵐冬樹(北海道)、山本政聡(岩手)、川原正一(兵庫)、山口勲(佐賀)、永森大智(高知)、田知弘久(金沢)、的場文男(大井)、吉井友彦(笠松)、森泰斗(船橋)。



第2ステージ2連勝で優勝を引き寄せた


 WASJ地方競馬代表騎手が決まる日。舞台の名古屋競馬場は最高気温34度を記録した。北海道から参戦した五十嵐冬樹騎手は「今朝調教に乗ってから来ましたが、20度くらい気温が違いますね」と額から汗を滴らせながら話した。ダートは乾ききって白く舞い上がり、レースでは逃げ切り勝ちが決まりやすくなっていた。

 そんな中、行われたSJT第2ステージ1戦目・シルバーブーツ賞(ダ1400m)。それまでのレース傾向を読んでなのか、共に逃げ馬に騎乗していた田知弘久騎手と矢野貴之騎手がハイペースでレースを引っ張った。しかし、3〜4コーナーに差し掛かると後続馬が追い上げを開始。後方にいたメイショウコルシカ・永森大智騎手も外からまくり、直線半ばで抜け出すと、ゴール前迫る的場文男騎手や吉井友彦騎手をクビ差退け勝利した。

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▲1戦目シルバーブーツ賞 8番人気メイショウコルシカで勝利した永森騎手


 永森大智騎手は、第1ステージを8位通過(トップと12ポイント差)だったが、ここで1着20ポイントを加算し、暫定1位に躍り出た。SJTでは掲示板を確保すれば10ポイント以上が与えられる一方、2桁着順だと1〜2ポイントしか与えられない。そのため、勝ち星を挙げなくても優勝は可能だ。実際、2013年には川原正一騎手が未勝利ながら4戦すべてで掲示板を確保し、優勝した。

 そのため、永森大智騎手は2位に7ポイント差をつけているものの、それ以下は5ポイント差以内に7名がひしめき合う状態。また昨年は、藤田弘治騎手(金沢)が第1ステージ11位通過から第2ステージで2連勝をし、大逆転優勝を果たしたということもあった。最後まで誰が優勝するか本当に分からない。

「ここで喜んでも、いいことはないと思うので」と自分に言い聞かせるように話した永森大智騎手。「でも、勝ててよかったです。SJTでは勝ったことがなくって、ゴール前は勝ったかどうかも分からないくらい必死でした」

 続くシルバーホイップ賞(ダ1900m)がSJT最終決戦。ここでも後方からレースを進めた永森大智騎手はモズノハナミチ(8番人気)を直線入口で先頭に導き、そのまま後続を離してゴール。

 昨年の全国リーディング・森泰斗騎手や、通算5000勝以上を誇る川原正一騎手など名手ばかりが揃う中、2連勝をやってのけた。馬から降りて報道陣に囲まれると、「え、決まりですか? よかった!」と安堵と喜びの表情を見せた。

「今日の1戦目を終えて暫定1位だとは知りませんでした。2連勝して、おそらく優勝かな? と思いましたが、しばらくすると『僕がJRAで乗っていいのかな?』って気持ちになりました。もっと腕を磨いて、8月に世界のみなさんと乗れるよう頑張りたいです」

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▲優勝の自信を胸に、いざ!初のJRAの舞台へ


「優勝は先生のおかげ」師匠に伝えたい感謝の思い


 29歳の永森大智騎手は、高知・雑賀正光厩舎所属。4年連続で全国リーディングを獲ったことのある名門厩舎だ。2014年、全国リーディングに輝いた表彰式で師匠の雑賀正光師はこんな話をしていた。

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