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「加害馬と被害馬の騎手でケンカになることは?」ユーザー質問3連発

  • 2016年07月12日(火) 18時01分
小牧太

ユーザーの素朴な疑問を小牧騎手がズバッと解決!


今回は、ユーザーからの質問3連発です。「加害馬と被害馬に乗っていたジョッキー同士でケンカになったりしないの?」「調教タイムの見方をジョッキー目線で教えてください!」などなど、ユーザーの素朴な疑問を小牧騎手がズバッと解決!
(取材・文/不破由妃子)


調教は、通った場所によっても時計の価値が変わる

──今回もユーザーからの質問を3つほど。まずは、「騎乗停止処分を下される理由はいろいろとあると思いますが、加害馬と被害馬に乗っていたジョッキー同士でケンカになったり険悪な雰囲気になったりすることはあるのでしょうか?」というものです。

小牧 そりゃあ、あるでしょう。ある意味、しょっちゅうや。ヤラれたほうは、やっぱり腹が立つからね。

──でも、加害馬のジョッキーが素直に謝れば、ケンカにまでは発展しないのでは?

小牧 そうやね。ただ、お互いに言い分があるケースもあるから。まぁ、みんな大人やし、なんせ競馬は毎週のことやから、それほど大きいケンカになったのはあんまり見たことがないけどね。

──小牧さんご自身は、言い合いになったことなどありますか?

小牧 僕はほとんどないね。自分が加害者になってしまうこともあるから、ヤラれたときもしょうがないと思うようにしてる。

──続いては、「予想のヒントに調教タイムを取り入れてみようかと思っているのですが、どのように見ればいいでしょうか? ジョッキー目線で教えていただきたいです」という質問です。確かに調教タイムにはカラクリがありますからねぇ。

小牧 カラクリというほどではないけど、坂路でも右側を通ったときのほうが時計が出るからね。通った場所によっても時計の価値が変わってきますわ。映像を観られる環境にあればやけど、時計よりジョッキーの手応えを見たほうが参考になるんちゃうかな。持ったままか、ある程度気合いを付けて追っているのかとかね。

──なるほど。つまり、数字だけではわからないということですね。坂路では、通った位置によっても時計が変わるとのことでしたが、馬場状態によってもずいぶん変わってきますよね。

小牧 そうそう、馬場状態によって1秒、2秒変わってくる。馬場が悪いときは脚を取られて、普段時計が出る馬でも54秒、55秒かかることもあるからね。坂路だけではなく、CWもそうやで。Eコースも雨が降れば馬場が締まるから時計が速くなるしね。変わらないのはポリトラックだけかな。なんせ馬場が悪いと馬のバランスが崩れるから、乗っていてもなんか気持ち悪いときがありますわ。

──つまり、その馬1頭の時計で判断せず、その日全体の時計の傾向をチェックしたほうがいいということですね。

小牧 そうやね。あとは、映像でジョッキーの手応えをチェックすること。その2つがポイントかな。ちなみに、2歳に関しては、速い時計が出ている馬イコール、スピードがあると思ってもらっていいと思う。

──なるほど。続いて、最後の質問ですが、「先日、久々に52キロに騎乗されていましたが、体重調整が大変でも依頼を受けるのは、やはり勝負になると思うからですか? また、いつもとは違った減量方法で体重を落とすのでしょうか?」というものです。

小牧 勝負になるということももちろんあるけど、最近は軽い馬具が増えたことも大きいね。ただ、52キロに乗るには51キロ台まで落とさなアカンから、いつもよりしんどいのは確か。まずは月曜日から体を動かし始めるね。52キロに乗る予定があるときは、前の週の日曜日から気持ちが落ちるわ(笑)。

小牧太

52キロに乗る予定があるときは、前の週の日曜日から気持ちが落ちるわ(笑)



──小牧さんが500g落とすことのしんどさは、私たちの非ではないですからね。

小牧 ホンマやで。いつもギリギリまで落としているのに、そこからさらにやからね。食べながらじゃないと体が持たんから、蕎麦とか鶏肉と野菜の鍋とかを少しずつ食べながら調整してるわ。あとは、先週も話したけど、Eコースを走って調整ルームのサウナで汗取りして…。

──気温の高い時期ですから、体調に気を付けてくださいね。

小牧 はい。そういえばこの間、雨の日にジョッキーが着るナイロンの服があるんやけど、それを着て競馬場の馬場を走ったんですわ。1週半走ったところで死にそうになって、向正面から戻るに戻れなくなってしまったわ(笑)。

──確かに気が遠くなりそう(笑)。

小牧 そやろ? やっぱり走るときは着込んじゃアカンね。さて、今日もトレセンのEコースを走ってきますわ。
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1967年9月7日、鹿児島県生まれ。1985年に公営・園田競馬でデビュー。名伯楽・曾和直榮調教師の元で腕を磨き、10度の兵庫リーディングと2度の全国リーディングを獲得。2004年にJRAに移籍。2008年には桜花賞をレジネッタで制し悲願のGI制覇を遂げた。2024年には再度園田競馬へ復帰し、活躍中。史上初の挑戦を続ける。

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