【セレクトセール特注馬】高額馬だけじゃない!プロが選ぶ“馬体よし価格よし”の原石たち(1)
11日12日の2日間にわたって開催された「セレクトセール2016」。初日の1歳セッションの売上は前年を10億円以上上回り、翌日の当歳セッションの売上は史上最高額に。2日間の売上合計額は149億4210万円で、これも史上最高額を記録した。
1歳の最高落札額は「オーサムフェザーの2015」で2億6000万円。当歳は2億8000万円の値をつけた馬が2頭。「イルーシヴウェーヴの2016」と「マルペンサの2016」で、いずれも“サトノ”の里見治氏が落札した。
そんな高額馬への注目はさることながら、“馬体よし価格よし”の魅力あふれる原石たちの存在も忘れてはならない!
そこで、毎年セレクトセールに足を運び、その目で数々の馬を見定めてきたプロ2名による、覚えておきたい特注馬を発表。5つの共通テーマを設け、それぞれに当てはまる馬を挙げていただきます。まずは、血統評論家の栗山求氏から!
【テーマ1】『落札価格“総額1億円”以内で、注目の馬を当歳1歳それぞれ3頭』
▼当歳
■356番「オーヴァーアンダーの2016」(牡、父ヘニーヒューズ) 3500万円
1歳上の全兄は昨年の同じセールでノーザンファームが1300万円で落札し、今年のサンデーサラブレッドクラブの募集馬となっている。全弟はそうした背景を価格に上乗せする形で3500万円。3倍近い価格となったものの、この配合と馬体なら決して高くはないと思わせる。ダートで手堅く稼いできそうだ。
■441番「プリモスターの2016」(牡、父ロードカナロア) 1800万円
プリモスターの2016は「ロードカナロア×サンデーサイレンス」というスタンダードな配合で、母は短い距離で活躍したプリモスター。芝の短距離またはダートで活躍できるだろう。ロードカナロアの牡馬で1800万円はセレクトセールでは安い部類。しかし、馬体は上々でサイズの問題もなく、上位にランクされる良馬だと思われる。
■446番「モアザンセイクリッドの2016」(牡、父ロードカナロア) 3600万円
モアザンセイクリッドの2016はロードカナロア産駒で、母はニュージーランドオークスを勝ったモアザンセイクリッド。母方に入ったデインヒルの影響を思わせる雄大なトモは印象的。当日朝の下見では数人の外国人が腕組みをしながら眺めていたが、おそらく母の故郷であるオセアニアからのバイヤーだろう。落札したのはR R Bloodstock。外国で走ることになるのではないか。パワー兼備の馬体だけにそのほうが合っている。
▼1歳
■108番「ミネルバサウンドの2015」(牡、父ハーツクライ) 2300万円
2年前のセレクトセールは、オークス、ダービー、安田記念をハーツクライ産駒が制した直後だったので、“ハーツクライ・バブル”が巻き起こり、前年に比較して同産駒は当歳、1歳ともに約1.5倍に価格が上昇した。現在はバブルが一段落して落ち着いた価格となり、日高の名門牧場が生産した好配合の牡馬が2300万円で買える。ミネルバサウンドの2015はマジックタイム(ダービー卿CT)と同じく「ハーツクライ×ブライアンズタイム」で、母はカフェブリリアント(阪神牝馬S)の全姉。スピード豊かな牝系なので鈍重さはないだろう。
■130番「メジロコウミョウの2015」(牡、父クロフネ) 3500万円
レイクヴィラファームになってメジロの名牝の血筋が復活してきた。ショウナンラグーン(青葉賞)を出したメジロドーベル牝系もそのひとつ。メジロコウミョウの2015は「クロフネ+ミスタープロスペクター+サンデーサイレンス+ラトロワンヌ」という方程式どおりの配合で、馬体にも欠陥がなく素晴らしい。
■240番「ステージヴァージンの2015」(牡、父ドリームジャーニー) 2900万円
ステージヴァージンの2015は「ドリームジャーニー×トニービン×ヌレイエフ」という組み合わせ。これは初年度産駒で高い素質を垣間見せたエスティタート(つわぶき賞)と同じ。ドリームジャーニー産駒にしては馬格があり、お買い得品だろう。