こんなロブロイ産駒は初めて!! と西園師が感嘆 サトノマサムネ/吉田竜作マル秘週報
◆「サトノ=西園ライン」を強固なものにできるのか
POGで重要視される要素はいくつかあるが、「勢いのある馬主に乗っかる」のが手っ取り早い手段と言えようか。馬体の見方が分からず、血統に詳しくなくても、例えば天下の金子真人オーナーがセレクトセールで落札したディープインパクトやキングカメハメハ産駒となれば将来、名馬になる可能性も高いのだから、これはこれで立派な戦略だ。
このようにゲーマーが気楽に? 活用できる「馬主」も、実際にキュウ舎を経営している調教師からすれば当たり前の話だが、重みが全く違ってくる。噂では「ろくにキュウ舎に顔も出さないけど、夜な夜な銀座のクラブに入り浸ってオーナーを接待したり、新しいオーナーを見つけたりする」ツワモノ調教師も存在するらしいが、普通に仕事をしていれば、調教師はセレクトセールなどのセリ場や各競馬場でしか馬主との接点を持てない。有力オーナーや新規オーナーを掘り起こし、有望な若駒を集めるには、ひたすら「結果」を出すこと以外に近道はない。
特に拡大路線にある有力馬主とのつながりほど大事なものはない。最近でいえば、「サトノ」の冠号で知られる里見治氏。栗東ならば池江キュウ舎がメーンステーブルなのは言うまでもないが、これまで預けていなかったキュウ舎にも、ちらほらと預託するようになっており、チャンスをもらった調教師にしてみれば、結果で応えることが、より太いパイプ作りにつながるのだから気合も入るというものだ。
西園キュウ舎が、まさにそれ。過去、数頭入ったサトノ冠号の馬では目立った活躍は見せていないが、“縁”は続いており、14年セレクトセールで落札されたサトノマサムネ(牡=父ゼンノロブロイ、母エリドゥバビロン)が新たに入キュウ。西園キュウ舎にとっては、まさに“名誉回復”のチャンスだ。
「今までいろいろゼンノロブロイ産駒を見てきたけど、ここまで整ったのは初めて見た」と、西園調教師が期待を隠さないこの逸材は、7日のウッド併せ馬で6ハロン78.9秒という破格時計をマーク。併入に持ち込んだ相手がNHKマイルCで0秒3差6着と健闘したハクサンルドルフとなれば、その価値は高い。
このハクサンルドルフに騎乗して“胸を貸した”西園助手も「それほど速く感じなかったんだけど、後で時計を見てビックリしました。こちらは余裕を持たせたにしても、この時期の2歳馬があれだけ食らいつくのだから、すごいですよね」と目を丸くしていた。
このサトノマサムネが活躍することで里見オーナーから、さらに良質の馬を預託してもらうことができれば、西園調教師の残り10年の調教師生活も、より充実したものになるはず。デビューは日曜(24日)の中京芝1600メートル。「サトノ=西園ライン」を強固なものにできるのか、その走りにぜひ注目してほしい。