小倉名物「九州産限定」新馬戦 テイエムソッキュウ追うごとに良化/吉田竜作マル秘週報
◆コンスタントに九州産馬が入厩する山内厩舎には
今週から札幌、新潟、小倉と、3場とも新たな舞台で真夏の開催がスタートする。各場それぞれに売りはあるもので、小倉のオリジナルといえば「九州産限定」の新馬戦。当コラムでもこの時期、必ず取り上げているのだが、例年ならチラホラ聞こえてくる評判馬の噂が今年は耳に入ってこない。
例えばコンスタントに九州産馬が入厩する山内厩舎にはテイエムソッキュウ(牡=父ブラックタイド、母テイエムハナフブキ)がスタンバイしているのだが、「前評判は高かったみたいだけど、言うほどかなあ。普通ちゃう?」と川江助手のジャッジは辛口だ。
もっとも比較対象の問題もあるのかもしれない。山内厩舎の現5歳テイエムゲッタドン(牡)はこの時期、坂路で好調教を連発。九州産限定の新馬戦こそ勝てなかったものの、その後は一般馬相手に1000万下を勝つほどの活躍を見せ、現在は準オープンに在籍している。
「テイエムゲッタドンでも新馬戦を勝てなかった。あの年は特にレベルが高かったのかもね」と振り返る13年を基準にすれば、評価が辛口になるのも無理はないが…。川江助手も今年の九州産のレベルの低さ?はうすうす感じているようで、「びっくりするような時計を出している馬もいないし、この馬でもやれるのかな。まあ追うごとに良くなってきたのも確かだからね」と手応えを感じてきているよう。
日曜(31日)の九州産限定芝1200メートル新馬戦で買い馬に迷ったときは、このテイエムソッキュウはいかがか。
栗東詰めの記者としては小倉の新馬戦をなるべく取り上げたいのだが、評判馬ほど新潟を目指す傾向が年々強くなってきた。「今年の2歳はこれまでになく揃ったで」と早くから進軍ラッパを鳴らしている北出調教師も、期待のカリーニョミノル(牝=父クロフネ、母ダイワジェラート)を日曜新潟の芝内1400メートル(牝)へ送り込む。
牝馬の目標といえば来春の桜花賞。小倉芝の1200メートル、1800メートルでは“帯に短し、たすきに長し"で結局、近い距離の番組がある新潟に目が向くのは自然な流れなのだろう。
「育成で見ている時から動きに余裕があった。これなら早くからと思ってこの時期に連れてきたんだ。まだトモに甘いところはあるが、まあ2歳馬だからね。併せた時の走りがいいし、期待できると思うよ」
今年52歳となったトレーナーは、今月に入ってから一念発起(?)して調教に再びまたがるようになり、感触も自ら確かめる念の入れよう。このカリーニョミノルにはローカルの夜のための軍資金も安心して託せるとみている。