注目が集まるリーチザクラウン産駒
高い馬を買ってそれが活躍するのと、安い馬が活躍するのとでは、後者のほうが良いというのが馬主として当然の話。ただ、実際には高馬を買っている馬主のほうが脚光を浴びるし、価格が反映されないPOGの世界ではなおのことだ。
赤本を作る際も、やはり血統価値や価格の高い馬を優先しないわけにはいかないし、載っていないと「なぜ?」と思われてしまう可能性もある。限りある掲載枠を活用するために時には思い切った良血馬を敢えて非掲載にしたりということもある。ただ、それでも限界はある。
そんな中で、載せた安馬(悪い意味ではなく、純粋に安い馬)が走るとちょっとうれしくなる。今年の2歳ではヴァルツァーがオータムセール324万円。ただその後にロードクエストが走っているので、これはどのみち載った馬。ヒットと呼べるのはサマーサプライズか。こちらはオータムセール334.8万円で、新馬2着から未勝利1着。既に馬代金の倍は稼いだ。
たかが1勝と思われるかもしれないが、300万の馬が1勝するのと、3000万の馬が2勝するのとだったら、前者のほうが採算性としては良かったりするのが本物の馬主だ。また、セリは財力で敵を圧倒するゲームではなく、安くて走る馬を買うゲームでもある。
と言いつつ、安くて走る馬を買うのはそう簡単ではない。可能性があるとしたら、評価の定まっていない種牡馬を当てることだろう。スクリーンヒーローしかり、リーチザクラウンしかり。ただ、この2頭のように既に注目されてしまった馬では遅い。更地からギャンブルしないと本当の安値にはならない。
リーチザクラウンといえば、ちょうど同馬の産駒でセール価格も安いスペランツァ(牝/母テディベア・オータムセール162万円)が小笠厩舎に入っているので電話で様子を聞いてみた。ちょっとゲートでてこずりはしたが、スピードがあってけっこうやれそうとのこと。リーチザクラウン産駒は全体として気性がキツめな一方、短距離からマイル向きのスピードがあるようで、ひょっとすると父自身も、マイラーズCを勝ったときの姿が本来のものなのかもしれない。
ちなみに、今年の赤本巻末リストに載っていたリーチザクラウン産駒は2頭だけ。うちセイウングロリアスが勝ち上がっている。それにしても2頭とは少ない。自身の不明を恥ずるところではあるが、競馬界全体似たようなものといえば似たようなものだったはず。それが競馬の難しさでもあり、面白さでもある。