簡単に楽観視してよい条件替わりでないことも事実
今週の札幌記念、注目はやはりモーリスだ。転厩前には2200mの京都新聞杯を使ったこともあったが(7着)、本格化してからは1600mがほとんどで1800mの条件戦が1走だけ。距離延長をこなせるかどうかが問題になる。
同馬に関する客観的な指標も見ているであろうノーザンファームが適性を大きく見誤ってくるということは考えづらいし、スクリーンヒーロー×カーネギー×モガミ×フィディオンという血統は、むしろマイルでスピード勝負をしているのが不思議でもある。ただ、簡単に楽観視してよい条件替わりでないことも事実だ。
1996年以降の約20年間で、GIかGIIの芝2000m古馬戦に出走した馬はのべ1147頭。そのうち前走が芝のマイル戦だった馬は71頭いたが、その成績は[1-3-5-62]と奮っていない。回収率は単9%・複44%となっている。
該当出走馬の多くを前走オープン特別組が占めているのも事実なのだが、唯一の勝ち馬がその組だったミッキーダンス(都大路S7着→金鯱賞1着)なので、前走重賞組に限定すると[0-3-5-32]となる。前走重賞1〜2着馬に限定した場合は[0-0-2-6]、距離延長の2000mのレースで1〜2番人気に推されたケースに限定すると[0-2-0-4]などとなるが、いずれにしても強調材料にはならない。ちなみに後者で1番人気だけでなく2番人気も入れたのは、1番人気だったケースがファレノプシス(マイラーズC10着→札幌記念7着)しかいないからだ。
まあ、近走の内容が良く、距離延長の一戦で堂々1番人気になるような馬はいままでいなかったわけだから、データでは計れない→素直に買う、という選択も否定はできない。今回に一番近いケースは、エアジハードだろうか。同馬は安田記念1着から天皇賞秋へ向かい、その時点で2000mは完全な初距離。それでも天皇賞では3着に頑張った。
エアジハードよりモーリスが強く、スペシャルウィーク・ステイゴールドのいた天皇賞秋より今回のほうが相手が弱い、と考えれば、モーリスは買える。一方で、先述したように2ハロンの距離延長が良いパターンでないのも事実。どちらのシナリオに賭けるか、これはギャンブルというよりも、各自の性格を映すような話になってきそうだ。
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