【今月の喜怒哀楽】『“親父のぶんまで頑張れ”武邦先生の思いを感じて…』
先生のコラムはレース後の「答え合わせ」
8月12日、武邦彦調教師が亡くなった。体調があまり良くないことは知っていたが、突然の訃報にはやはり驚き、言葉を失った。
武家と福永家は実家が近所だが、子供の頃、自分はまったく競馬を知らなかったこともあり、武邦先生の印象といえば、“穏やかで優しい近所のおじさん”。すごい騎手だと知ったのは、だいぶ大きくなってからだった。昔からゴルフが大好きな方で、自分と妹がおもちゃのゴルフクラブを持って遊んでいるのを見て、なぜかすごく喜んでくれたことを今でも鮮明に覚えている。
ご存じの通り、武邦先生と親父にはしのぎを削った時代があり、プライベートでも交流があったという。その親父が志半ばで騎手生命を絶たれたこともあってか、自分がデビューしてからはずっと気にかけてくれていた。お会いするたびにニコニコしながら「いい競馬してるな」と声を掛けてくれ、その短い言葉のなかに、いつも「親父のぶんまで頑張れ」という武邦先生の思いを感じたものだ。
日刊紙で連載されていた先生のコラムも大好きだった。当たり障りのない内容に終始するコラムもあるなか、先生のコラムは変な気遣いもなければ、人を腐すようなこともしない。ポイントを的確に検証されていて、ものすごく説得力があった。
GIのあとは、特に熱心に読んでいた。なぜなら、武邦先生が自分の乗り方をどういうふうに感じてくださったのか、ジョッキーとして気になったからだ。なかでも印象に残っているのが、昨年の皐月賞(リアルスティール2着)の回顧。
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- 祐言実行 / 福永祐一
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