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芝中距離で重賞を狙える大器アドミラブル

  • 2016年08月17日(水) 12時00分
アドミラブル(牡 栗東・音無秀孝 父ディープインパクト、母スカーレット)
 タブレット(1000万下)、イサベル(準OP)の全弟。2頭とも大成する前に競走生活が終わってしまったため、大舞台で活躍したわけではないが、素質は重賞級だった。2頭合計で連対率56.3%、複勝率75.0%は素晴らしい。母スカーレットはヴィクトリー(07年皐月賞-GI)やリンカーン(04年阪神大賞典-GIIなど重賞3勝)の半妹で、2代母グレースアドマイヤはフサイチコンコルド(96年日本ダービー-GI)の半妹、アンライバルド(09年皐月賞-GI)の半姉にあたる良血。「父ディープインパクト、2代母の父トニービン」というパターンは、ハープスター(14年桜花賞-GI)をはじめ出走15頭中13頭が勝ち上がり、芝連対率41.1%と高確率で走っている。兄姉と違って脚もとに不安がなく、500kg近い雄大な馬格を誇る。芝中距離で重賞を狙える器だろう。

スワーヴリチャード(牡 栗東・庄野靖志 父ハーツクライ、母ピラミマ)
 きさらぎ賞(GIII)2着馬バンドワゴン(父ホワイトマズル)の弟。母ピラミマは現役時代未勝利に終わったものの、繁殖牝馬としては前出のバンドワゴンを含めて出走4頭がすべて勝ち上がっておりなかなか優秀。ダノンプラチナ(14年朝日杯フューチュリティS-GI)の母バディーラとほとんど同じ血統構成(Unbridled's Song×General Meeting+Never Bend)なのもセールスポイントだ。本馬の父はハーツクライ。同馬はSeattle Slewを含んだ繁殖牝馬と相性がよく、この条件に当てはまる本馬は配合的に見どころ十分。Unbridled's Songの肌にサンデー系種牡馬、というパターンは前出のダノンプラチナのほかにトーホウジャッカル(14年菊花賞-GI)が出ており、このところ目立ってきている。1歳上の全姉エマノンは現1勝馬ながら晩成タイプだと思われるのでまだまだ上を目指せるだろう。本馬は一昨年のセレクトセール当歳で1億5500万円(税抜)の値がついた高馬。芝向きの中距離タイプとして大きな期待が掛けられる。

セイウンシナツ(牡 美浦・松山将樹 父リーチザクラウン、母コンドルウイング)
 新種牡馬リーチザクラウンはスペシャルウィークの代表産駒の1頭で、現役時代に重度の引っ掛かり癖がありながらマイラーズ(GII)ときさらぎ賞(GIII)を制し、日本ダービー(GI)でも2着と健闘した素質馬。これまでJRAで10頭の産駒がデビューし、ニシノアップルパイ、ニシノオウカン、エスケークラウン、セイウングロリアス、キョウヘイの5頭が勝ち上がっている。[5-1-1-9]という成績は素晴らしい。産駒数が少なく、なおかつさほどレベルが高いとはいえない繁殖牝馬にもかかわらず、現時点で新種牡馬の勝利数ランキングで首位、賞金ランキングで3位という好成績。来年は社台スタリオンステーションに移籍することが発表され、種付け頭数は大幅に増加しそうだ。本馬の母コンドルウイングは「エルコンドルパサー×アンバーシャダイ」という重厚な配合ながら、父の母クラウンピースの主要な構成要素かつスピードの源泉でもあるSeatle SlewとMr.Prospectorを同時にクロスさせているので、スピード面の懸念は案外小さいかもしれない。芝・ダート兼用の中距離タイプ。

セイントヘレナ(牝 美浦・高柳瑞樹 父ディープスカイ、母オルダニー)
 ブルーストーン(父コマンズ/15年シルクロードS-GIII・6着)、ドーヴァー(父アドマイヤムーン/16年クロッカスS-OP・3着)の半妹。ダーレージャパンの生産馬らしく、交配種牡馬はダーレージャパンスタリオンコンプレックス繋養馬から選ばれている。本馬の父はディープスカイ。同馬はダーレーで5年間供用されたあと、成績不振で放出され、2015年から浦河のイーストスタッドへ移籍。この年の種付け数はわずか8頭にまで激減したものの、現3歳世代からサウンドスカイ(15年全日本2歳優駿-JpnI、15年兵庫ジュニアグランプリ-JpnII)、キョウエイギア(16年ジャパンダートダービー-JpnI)と2頭のG1馬を出し、ダート向きの種牡馬として再評価されている。母オルダニーは英6戦1勝という競走成績で、名種牡馬Danehill Dancerの姪にあたる良血。ダート向きの中距離タイプだろう。

ルミナスコースト(牝 美浦・和田正一郎 父ハービンジャー、母ルミナスハーバー)
 アットザシーサイド(16年桜花賞-GI・3着、16年フィリーズレビュー-GII・2着)の半妹。父はキングカメハメハからハービンジャーに替わった。母ルミナスハーバーは阪神ジュベナイルフィリーズ(GI)の3着馬で、その半兄にヒシアトラス(05年平安S-GIII、06年マーチS-GIII、06年エルムS-GIII)がいる。「ハービンジャー×アグネスタキオン」の組み合わせからはフラワーC(GIII)4着のギモーヴ、札幌2歳S(GIII)5着のアラバスターなどが出ている。仕上がりが早くいきなり走れる血統なのでデビュー戦から狙える。ハービンジャーの娘なので最終的には芝1600〜2000mあたりで活躍しそうだ。

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68年生まれ。血統専門誌『週刊競馬通信』の編集長を務めたあと97年からフリー。現在は血統関係を中心に雑誌・ネットで執筆活動を展開中。 関連サイト:栗山求の血統BLOG

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