◆リアル馬主目線での「安い注目馬」
前回はサマーセール直前にこの原稿を書いたが、そのサマーセールに行ってきた。今年のサマーセールは台風に見舞われ、2日目の上場馬が一部セリ場に到着できず。そのうちの一部は3日目と5日目にスライドして上場された。
私は3日目から参戦の予定が、前日に崖崩れで千歳からのルートが寸断され、急遽帯広〜浦河からの静内入り。逆に、美浦に戻れなくなって帯広経由で火曜夜に帰った調教師もいたと聞く。
曜日による売れ方にもだいぶムラがあった。初日の序盤は意外と大人しめで始まったが、台風に直撃された2日目は意外なほどの盛況。台風明けの3日目はぼちぼちの盛況くらいで、4日目が大盛況で買い手にとってはしんどいセリだった。そこから一転、5日目は意外と買い手が楽なセリで、同じセールでもこれほどまでに違うのかと驚かされた。
最終日はセレクション主取組を入れても頭数が少なく、こうなると買うべき予定数が決まっているバイヤーは4日目までも勝負せざるをえない。逆に、「買ってもいいし買わなくてもいい」というスタンスのバイヤーなら、薄いところを狙ってお得な買い物ができたことだろう。
最終的に取引されたのは805頭で、税込み1000万円以上は69頭。昨年が52頭、一昨年は41頭。いちばん少なかった2011年は15頭だったから、馬も高くなった(というか、盛り返した)ものである。
こうなると逆に、安くてある程度走る馬を見つける快感を追求したくなるもの。今回私は理由あってダートっぽい馬だけを探していたのでチョイスもダート寄りになるが、「安い注目馬」を何頭か挙げておきたい。先述したように水曜以降の参戦だったので、初日と2日目の馬は含まれていない。
シンボリクリスエス×ケイエスアカリ(牡・658万円)は山口ステーブルが落札。自分で使うかトレーニングセールに出てくるか分からないが、後者なら来年もう一度見てみたい。
パイロ×ダイワスプレンダー(牡・540万円)はJRAが一声落札。ブリーズアップセールはダートの短距離っぽい馬が良いというのが私の持論なので、来年の同セールのときどうなっているか楽しみだ。
スターリングローズ×カナザワノハナ(牡・864万円)は全兄が中央未勝利・名古屋2勝という状況なのだが、本馬のデキは明らかに良い。そしてデキ一本で800万円になってしまった。「デキより指標派」としてはこの価格になると手が出ないのだが、逆にデキは誰が見ても良い。
スウェプトオーヴァーボード×ベルモントフェリス(牝・324万円)はもうちょっとパンチが欲しいが、配合など私自身の評価手法では良い要素が多い馬。この値段はお得感がある。
バトルプラン×サトノフォワード(牡・324万円)は母の初仔だがサイズ不足ということはない。この馬が出てきた時点で私は予定数終了していたので競る機会はなかったが、この馬が一声落札というのは正直うらやましい。購買者からして南関東に行きそう。
ヘニーヒューズ×ゲッコウ(牡・1080万円)は、ブラックタイプの薄さが影響したかこの価格止まり。ただヘニーヒューズ人気+本馬のデキを考えたらもっと行ってもよかったように思える。5日目の後半という出番も災いしたか。4日目にいたらもっと価格は行っていたかもしれない。
正直なところ、こういった馬たちがPOGで機能することはない。POGではリアル馬主のコスト面が反映されないので、高額超良血馬を指名したほうが効率が良いからだ。しかし、現実の競馬の面白さはこういった馬たちのほうにある。そちらもうまくゲームに取り込めれば、POGはもう一盛り上がりあるかもしれない。