難しいG1戦が続きます。去年の菊花賞が安藤勝己騎手、そして今年が岩田康誠騎手と、目立つのは騎手。3000mを戦うのに、あまり距離を意識しない積極性が功を奏しているように思えてなりません。
自分なりの競馬に徹し切る、もちろん馬のタイプにもよるのですが、ザッツザプレンティもデルタブルースも、一歩早く動いてその持久力を生かすことができました。
そのレースにどんなタイプが一番合っているか、そして、それに合う騎乗が期待できるか、そこに勝者を見つけるカギがあったようです。どうしても検討の前提になってしまう過去の実績、そこから推理するというやり方では、巧くいかないことを思い知らされました。
もうひとつ、それぞれの騎手のおかれている立場も、微妙にレースに反映していたようです。
コスモバルクの五十嵐冬樹騎手は、どうしても守りの姿勢をとらざるを得ません。最後の4角で先頭にいるコスモバルクの脚力をもたせようと考えます。一方のデルタブルースの岩田康誠騎手は、この時点で攻めの形に持っていきます。この差が、今回の直線に現れていました。一度守勢に回ったコスモバルクは、デルタのスパートに一瞬遅れをとってしまいました。
長距離戦ほど、そうした騎乗者の心理が勝敗を分けることになるようです。
それに、いつもより時計のかかる馬場もありました。ハーツクライの切れ味は、この条件では苦しかったでしょう。
競馬は、あらゆる情況を読み取り、その中からどれをチョイスするか、その選択にカギがあるということで、秋の天皇賞2000mは、また異なる見方が秘んでいるということでしょう。今の東京の馬場、2000mの戦い方がどうであるか。そして、それに合った騎乗者のタイプ。G1戦ほど、騎手の比重が高くなっている点に注目していきたいと思います。